文献情報
文献番号
201205012A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅医療・介護の連携における情報通信技術(ICT)活用に関する研究
課題番号
H24-特別-指定-017
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
武林 亨(慶應義塾大学 医学部衛生学公衆衛生学)
研究分担者(所属機関)
- 川越 正平(あおぞら診療所・内科)
- 秋山 美紀(慶應義塾大学 環境情報学部)
- 福井 小紀子(日本赤十字看護大学 大学院地域看護学分野)
- 森川 富昭(慶應義塾大学 大学院政策・メディア研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
在宅医療・介護の連携の在り方について、情報共有ならびに情報共有を支えるICT の活用の観点から検討し、地域で安心して療養できる環境の整備に資することを目的とした。
研究方法
全国各地で医療介護連携に取り組んでいる施設に対し、質問票調査とインタビュー調査を行った。
結果と考察
在宅医療と看護の連携に際して必要とされる情報は、いわゆる医療情報に限定されることなく、ADLに加え、クライアントの状態変化や家族の健康状態、服薬忘れなど多岐にわたり、これらの情報をタイムリーに共有することが、質の高い在宅医療やケアを提供する鍵になると考えられた。また、多職種との協働、多施設との連携、地域に密着した医療の実現の手段として、ICT導入の必要性が共有されていたが、現状では、ICT導入比率は約半数であり、電話、FAX、eメールでの情報共有・交換が行われていた。情報共有システムの将来機能としては、診療情報、介護情報、コミュニケーションツール機能に加え、紹介状機能、空床情報、スケジュール・カレンダー機能が多く挙げられた。ICT を用いた医療・介護連携システムの導入を進めるためには、初期導入費用、運用費用、ユーザーのリテラシー、ガイドライン準拠の難しさ、個人情報保護への不安、職種間の守秘義務・意識の違い、ICTの有用性・必要性に関する意識の違い、ユーザーへのサポート体制、地域内の連携・ヒューマンネットワーク、停電・災害など非常時への対応、などが大きな課題として認識されていた。インタビュー調査においては、今後の課題として、セキュリティに関する点が多く挙げられた。特に、すでに国によってガイドライン化されている情報セキュリティガイドラインについては、医療情報に対する個人情報保護の必要性は認めつつも、生活状況などの情報の比率が増し、かつ患者自身や家族も情報の発信源となる可能性が高い介護情報については、患者や家族による同意を前提として、現行の情報セキュリティガイドラインが許容する幅の中での柔軟な運用を求める声が多かった。
結論
今後、地域で在宅医療・介護連携における情報共有を進めるためには、それぞれ、地域の実状に合わせた在り方を作り上げていく必要がある。その際、情報共有の目的や意義の理解、 地域の情報共有のモデルパターンの参照、 共有する情報の内容の整理、現状の地域の情報共有の把握、 地域の情報共有に対するICT導入の意義、手順、問題点の理解の視点が必要である。
公開日・更新日
公開日
2015-05-28
更新日
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