文献情報
文献番号
201205010A
報告書区分
総括
研究課題名
新興感染症ワクチン等の品質及び有効性評価手法の検討に関する研究
課題番号
H24-特別-指定-013
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
研究分担者(所属機関)
- 尾内 一信(川崎医科大学 小児科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
新興感染症とは、かつては知られていなかった新しく認識された感染症で、局地的に、あるいは国際的に公衆衛生上の問題となる感染症であり、人や物の移動による国際的な感染拡大が公衆衛生上の大きな問題となっている。ウエストナイル熱、SARSなど、いつ何時、日本に持ち込まれ感染が拡大する可能性は否定できず、特に国際的に人や物の行き来が益々盛んになる中、海外渡航者も渡航先での感染のリスクにさらされている。
平成24年7月に政府の規制・制度改革事項として、「ワクチン・ギャップの解消」が新たに取り上げられ、閣議決定されたところである。海外ですでに承認され使用できる腸チフス等の感染症の予防を目的としたワクチンについては、国内における開発の困難さなどが指摘されており、上記の新興感染症のワクチン開発も含め、その臨床試験における安全性や有効性の評価において様々な課題が存在する。
本研究では、トラベラーズワクチンの品質、非臨床試験、臨床試験において考慮すべき事項について解析し、安全性や有効性の評価指標を明らかにすることを目指す。さらに得られた成果を基に、新興感染症等のワクチンのガイドライン作成に寄与することを目的とした。
一方がん治療のひとつとして、近年患者自身の免疫能を賦活化することにより抗腫瘍効果を発揮させる治療法が開発されつつある。樹上細胞の機能を始めがんに対する基礎的研究の進展やがんによる免疫抑制効果についての解析が進むと共に、強力な腫瘍免疫法が開発されがん免疫療法に期待が持てる成果が得られ始めている。
がんワクチンのがん免疫治療における品質、非臨床試験、臨床試験において考慮すべき事項について解析し、安全性や有効性の評価指標を明らかにすることを目指した。さらに得られた成果を基に、がん免疫治療薬のガイドライン作成において盛り込むべき要素を明らかする。
平成24年7月に政府の規制・制度改革事項として、「ワクチン・ギャップの解消」が新たに取り上げられ、閣議決定されたところである。海外ですでに承認され使用できる腸チフス等の感染症の予防を目的としたワクチンについては、国内における開発の困難さなどが指摘されており、上記の新興感染症のワクチン開発も含め、その臨床試験における安全性や有効性の評価において様々な課題が存在する。
本研究では、トラベラーズワクチンの品質、非臨床試験、臨床試験において考慮すべき事項について解析し、安全性や有効性の評価指標を明らかにすることを目指す。さらに得られた成果を基に、新興感染症等のワクチンのガイドライン作成に寄与することを目的とした。
一方がん治療のひとつとして、近年患者自身の免疫能を賦活化することにより抗腫瘍効果を発揮させる治療法が開発されつつある。樹上細胞の機能を始めがんに対する基礎的研究の進展やがんによる免疫抑制効果についての解析が進むと共に、強力な腫瘍免疫法が開発されがん免疫療法に期待が持てる成果が得られ始めている。
がんワクチンのがん免疫治療における品質、非臨床試験、臨床試験において考慮すべき事項について解析し、安全性や有効性の評価指標を明らかにすることを目指した。さらに得られた成果を基に、がん免疫治療薬のガイドライン作成において盛り込むべき要素を明らかする。
研究方法
トラベラーズワクチンの国際動向に関して、米国のCBERウエブサイト等から世界各国のワクチンの承認状況を調査し、日本の承認状況と比較することにより、ワクチン・ギャップの状況を整理する。また、現在、NIH Clinical Trialsウエブサイト等から世界で開発されている熱帯感染症に対するワクチンの臨床開発状況を調査し、有効性指標等を調査する。
NIH Clinical Trialsウエブサイトに掲載されている1293のがんワクチンプロトコールから臨床試験デザインの解析、想定されている免疫応答性のPDマーカーと有効性指標との関連、投与スケジュールとそれに関連する評価のタイミングなどを調査した。
NIH Clinical Trialsウエブサイトに掲載されている1293のがんワクチンプロトコールから臨床試験デザインの解析、想定されている免疫応答性のPDマーカーと有効性指標との関連、投与スケジュールとそれに関連する評価のタイミングなどを調査した。
結果と考察
トラベルクリニックでの未承認ワクチンの使用状況とニーズを調査した。この結果、既に多くの施設が未承認のトラベラーズワクチンを医師の個人輸入で入手し、接種している実態が明らかになった。また、「副作用救済」や「入手手続」などの面から、大多数の施設が未承認ワクチンの国内承認を求めており、承認に向けての動きを加速させる必要があるものと考えられる。今後は、こうしたワクチンの国内承認にあたっての手法を検討するとともに、どの種類の未承認ワクチンが国内承認を求められているかについて詳しく調査する必要があると結論した。
がんワクチンとして抗腫瘍免疫を誘導するために用いられているペプチド、融合タンパク質、イディオタイプ抗体等について製品ごとに分類し、その分類ごとに品質特性評価の手法についても明らかにした。さらに、臨床試験における有効性指標との設定について、医薬品の有効性を担保する品質規格をどう設定することができるのか品質特性解析における課題と整理した。
さらに、現在進行中のがんワクチン開発にも資することができるよう、臨床試験における免疫誘導や免疫の増幅効果についての評価指標とその測定法について明らかにした。また、免疫誘導のみならず腫瘍により免疫抑制からの解除ががんワクチンの効果に重要であるとされていることから、臨床プロトコールで実施されているがん免疫抑制解除の評価指標や評価方法についても調査を行い、臨床的有効性と免疫反応性の相関性をどのように評価することが必要かについて明らかにした。これらの評価指標等の情報を随時承認審査当局と情報共有することにより、将来のがんワクチンガイダンス等に取り入れるべき要素を明らかにした。
がんワクチンとして抗腫瘍免疫を誘導するために用いられているペプチド、融合タンパク質、イディオタイプ抗体等について製品ごとに分類し、その分類ごとに品質特性評価の手法についても明らかにした。さらに、臨床試験における有効性指標との設定について、医薬品の有効性を担保する品質規格をどう設定することができるのか品質特性解析における課題と整理した。
さらに、現在進行中のがんワクチン開発にも資することができるよう、臨床試験における免疫誘導や免疫の増幅効果についての評価指標とその測定法について明らかにした。また、免疫誘導のみならず腫瘍により免疫抑制からの解除ががんワクチンの効果に重要であるとされていることから、臨床プロトコールで実施されているがん免疫抑制解除の評価指標や評価方法についても調査を行い、臨床的有効性と免疫反応性の相関性をどのように評価することが必要かについて明らかにした。これらの評価指標等の情報を随時承認審査当局と情報共有することにより、将来のがんワクチンガイダンス等に取り入れるべき要素を明らかにした。
結論
トラベラーズワクチン及びがんワクチンについて、今後の国内での開発を推進していくために必要な要素について海外動向を含めて整理し、これらのワクチンの臨床開発でどのような評価を行うべきかについて明らかにした。
公開日・更新日
公開日
2015-06-17
更新日
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