新しい抗マラリア戦略を目指した糖鎖関連薬の開発

文献情報

文献番号
201203022A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい抗マラリア戦略を目指した糖鎖関連薬の開発
課題番号
H24-地球規模-若手-001
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 健太郎(帯広畜産大学 原虫病研究センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
3,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
マラリアはPlasmodium属原虫の感染によって引き起こされる感染症で、ハマダラカ属の蚊の吸血によってヒトに感染する。マラリアの感染者は、亜熱帯や熱帯地域、特にアフリカ、南アメリカ、東南アジア等の途上国を中心として年間約3億人,死亡者は年間150-300万人にのぼると報告され、その対策が急務とされている。昨今、既存の抗マラリア剤耐性株の出現のため、多くの新しい抗マラリア剤が開発され、また、マラリアワクチン開発の研究が世界規模で試みられているが未開発であり、マラリア撲滅には至っていない。この大きな原因の1つに、先進国の製薬企業では市場性が見込めないことを理由に抗マラリア薬、ワクチンの開発を進めないことが挙げられる。
研究代表者らは抗マラリア薬開発を目的として、まずウイルスベクターを用いてマラリア原虫の赤血球感染レセプターの同定系の開発に独自に成功した。さらにこの感染レセプター同定系を用いてヘパラン硫酸等の糖鎖レセプターの同定に成功し、糖鎖がマラリア原虫の赤血球侵入(感染)を著しく阻害することを見出した。本研究の目的は、これまでの研究代表者らの研究において抗マラリア作用があることを見出した糖鎖について、新しい抗マラリア戦略を目指した糖鎖製剤とマラリアワクチンの実用化に向けた開発研究を行うことにある。以上の途上国の現状とマラリア薬開発の遅滞を鑑みると当該研究の必要性が極めて大きい。
研究方法
研究代表者らは原虫の感染レセプターの同定系を確立し、これまでにヘパラン硫酸、シアル酸、コンドロイチン硫酸といった糖鎖レセプターを同定してきた。平成24年度は、様々な糖鎖とその派生体を用いてどの糖鎖構造体がマラリア原虫の感染に重要か解析を行った。以下に平成24年度に実施した研究の方法について記す。
(i)ヘパリン、コンドロイチン硫酸、フコイダン、デキストラン硫酸等の各種硫酸化多糖類を用いて、熱帯熱マラリア原虫の赤血球侵入(感染)阻止能についての解析をマラリア原虫の培養系において行った。
(ii)(i)で感染阻止に効果のあった糖類について硫酸基等の側鎖の位置が異なる派生体や様々な分子量の糖鎖群を用いて、感染阻止能の解析を行い、どの糖鎖構造体が原虫感染阻止に重要であるかを解析した。
結果と考察
(i)ヘパリン、λ、κ、ιカラギーナン、硫酸化κカラギーナン、ジェランガム、硫酸化ジェランガムの各種硫酸化多糖類を用いて、熱帯熱マラリア原虫の赤血球侵入(感染)阻止能についての解析をマラリア原虫の培養系において行った。
(ii)(i)で感染阻止に効果のあった糖類について硫酸基等の側鎖の位置が異なる派生体や様々な分子量の糖鎖群を用いて、感染阻止能の解析を行い、ヘパリン、λカラギーナン、硫酸化ジェランが高い阻害効果を示した。
結論
熱帯熱マラリア原虫の赤血球培養系において、硫酸化多糖類としてヘパリン、λ、κ、ιカラギーナン、硫酸化κカラギーナン、ジェランガム、硫酸化ジェランガムを用いて、赤血球侵入阻害試験と増殖阻止試験を行った。この結果、ヘパリン、λカラギーナン、硫酸化ジェランが高い阻害効果を示した。また、ジェランガムをはじめ、硫酸化を付加した糖鎖の作製を進めた。λカラギーナンについては、他のカラギーナンと比べて元々硫酸化度が高い。

公開日・更新日

公開日
2014-04-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201203022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,420,000円
(2)補助金確定額
4,420,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,398,440円
人件費・謝金 0円
旅費 1,560円
その他 0円
間接経費 1,020,000円
合計 4,420,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
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