文献情報
文献番号
201202001A
報告書区分
総括
研究課題名
WHO伝統医療分類からの日本版漢方分類の作成
課題番号
H23-統計-一般-003
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 賢治(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
1,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
WHOのICD-11改訂の中で、新たに伝統医学を盛り込むことが決定されたので、それに向けて日本版漢方分類を作成した。
研究方法
国際伝統医学分類(ICTM)の国内版として日本版漢方分類を作成する。この国内版はICTMとリンクした形で作成される必要があるため、WHO主催のICTMの会議およびICD改訂全体協議するWHO国際分類ファミリーネットワークからの情報を得ながら、国際的および一般の西洋医学分類との整合性の取れた漢方国内分類を作成した。
結果と考察
2011年にWHO-FIC協力センターの一員に認定された日本東洋医学会用語および病名分類委員会と協力しながら漢方分類の作成を行った。国際伝統医学分類(ICTM)の会議は2011年3月に第3回全体会議が香港で行われ、具体的な作業工程が示された。2012年3月に用語の最終決定のために、上海で会議が行われた。そこで最終的にピンインを使わない方針が決定された。上海会議で一番問題となったのは伝統医学病名の「瘧」などをどう訳すかである。「瘧」というのはマラリアを指すが、マラリア原虫を証明していないために、厳密にマラリアだけかというと必ずしもそうとは言い切れない。その意味において、malaria-like disorderとすることにした。2012年5月2~5日の香港におけるICTM全体会議では、上海会議での決定を受けて、伝統医学病名(disorder)のセクションをほぼ完成した。証に関しては、2012年9月13~14日に東京で会議で、数を大幅に削減した。その過程において、日本の漢方分類についてはポストコーディネーションを導入することで、数を減らすことにした。2011年度に日本が提案した「薬方の証」は、表音文字であるローマ字表記の使用が禁止されたため、新たに英文表記を作成した。日本が提案した「薬方の証」については英文表記のルールを作成し、薬方の証分類を作成した。しかしながら各国の用いる漢方処方が異なることから、「薬方の証」という項目は残したが、内容は各国対応となった。日本版漢方分類のコンテントモデルはウェブ上のICD-11ベータ版に組み入れられた。伝統医学分類については2012年のWHO-FICネットワーク会議にてポスター発表を行い、優秀ポスター賞が授与された。
結論
漢方の証およびコンテンツモデル作成はWHOのICD改訂作業と同期する形で順調に進捗した。今後はレビューおよびフィールドトライアルを経て最終産物となる予定である。現在ICD-11のベータ版には23章として伝統医学分類が入っている。
公開日・更新日
公開日
2013-06-24
更新日
-