男性退職予定者を中心とした自律的社会支援実現に向けた「ケアウィル」モデルの実践と検証

文献情報

文献番号
201201024A
報告書区分
総括
研究課題名
男性退職予定者を中心とした自律的社会支援実現に向けた「ケアウィル」モデルの実践と検証
課題番号
H23-政策-若手-011
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
藤森 純子(国立大学法人富山大学 地域連携推進機構地域医療・保健支援部門)
研究分担者(所属機関)
  • 鏡森定信(国立大学法人 富山大学)
  • 立瀬剛志(国立大学法人 富山大学医学部医学科保健医学講座)
  • 中森義輝(北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科)
  • 新鞍真理子(国立大学法人 富山大学医学部看護学科老年看護学講座)
  • 小林俊哉(九州大学科学技術イノベーション政策教育研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究が最終的に目指す目標は、高齢者自身のQOL充実を前提として、ひとりひとりが、他の人の迷惑にならないように、ただ生きるのではなく、自分らしく活き活きと生きるための努力をすることのできる高齢社会の構築である。
本研究では、現在から介護状況に至る各段階における暮らしの意思決定を「ケアウィル(豊かな暮らしに向けた意志)」と新たに定義し、アクションリサーチを中心とした退職者の自律的生活基盤の検討を目的として進めている。
今後、高齢者の大半を占める企業退職者が、自らの人生を豊かにする意思決定を行なう過程で、地域でのコミュニケーション方法を獲得しながら、自律的な社会参画の促進や退職後に多くの時間を過ごす家庭での裁量権を重視することにも特色がある。
研究方法
厚労省科学研究費による3年間の研究の2年目である本年度は、初年度に設置した研究会に新たな協力者を迎え、①ケアウィルの持つイメージや意義の検討、②ケアウィル研究の進め方の共有とコンセプトモデルの検討、③ケアウィル講座の実施方法とカリキュラム及びプログラムの検討、④ケアウィル講座の実施体制、の4つの基本となる指針をまとめて推進した。
結果と考察
23年度から続く地域既存団体や講座、勉強会での継続調査の結果からケアウィルコンセプトモデルの検証や自己効力感向上教育プログラムとしてのケアウィル講座の実践評価、知識構成システム論に基づくケアウィル講座の評価を行なった。
ケアウィル研究会で作成した「ケアウィルコンセプトモデル」について調査結果も踏まえて様々な立場から検討し、モデルの妥当性が確認された。
初年度に開催した「ケアウィル講座(以下、講座)」修了者の会「富山ケアウィル勉強会(以下、勉強会)」を新たに立ち上げ、自律的社会支援の場の整備段階に至った。24年4月に発足した勉強会では、会員ニーズの整理支援を行ない、25年1月に自立的運営に向けた会員有志による準備会が設置された。今年度、知識科学の視点から行なった講座修了者の意識レベルに関する調査からは、講座受講に意義を感じ、さらに向上しようという意志が見られると同時に、講座修了後のケアの必要性が抽出された。
初年度講座や修了者会で実施した調査を元に検討し、募集範囲を含めた実施体制やプログラム、コンテンツなどをカスタマイズして第2回講座を開催した。初年度に比べ、講座の評価は高くなり、講座修了後の活動の必要性が得られた。また、初老期QOLと自己効力感の視点から評価を行なった結果、一般性自己効力感や初老期QOLは有意に向上したが、社会性自己効力感に有意な差は見られなかったことから、一定の成果はあるものの講座修了後のケアの必要性が示唆された。
今年度は、研究会で検討されてきた退職後生活へのソフトランディングの視点から老後の不安と老後の準備の時期について調査を行なった結果、早く取り組んで良かったと思うことについては、経済的なこと以外において、趣味を通じた仲間や社会的な役割、積極的に関わる態度や健康など、講座や勉強会で取り組む課題と一致する結果が得られた。
結論
本年度は、研究全体の指針として作成したコンセプトモデルの検証を行なった。また、自己の生きてきた過程も含めた人生や暮らしに対する態度や信念の再統合、社会の中での関係性やコミュニケーションに関する再構築を支援するプログラムの構築に取り組んでいる。現在開発中の講座には、一定の成果はあるが、講座修了後のケアが必要であることが課題として残された。講座の実施に関するマニュアルを作成すると共に、講座修了後のケアについての検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2013-10-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2014-06-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201201024Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,500,000円
(2)補助金確定額
2,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 289,795円
人件費・謝金 475,950円
旅費 595,933円
その他 838,322円
間接経費 300,000円
合計 2,500,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2014-08-27
更新日
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