ナノマテリアルのin vitro評価系構築に向けた基礎研究

文献情報

文献番号
201133024A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノマテリアルのin vitro評価系構築に向けた基礎研究
課題番号
H23-化学・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
伊佐間 和郎(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉田 緑(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 病理部)
  • 宮島 敦子(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)
  • 花方 信孝(物質・材料研究機構 ナノテクノロジー融合ステーション)
  • 河上 強志(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
  • 戸塚 ゆ加里(国立がん研究センター 国立がん研究センター研究所)
  • 中江 大(東京都健康安全研究センター 医薬品部)
  • 渡邉 昌俊(横浜国立大学 工学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
19,780,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
単純化された培養細胞系において、十分にキャラクタリゼーションされたナノマテリアルによる細胞応答を捉え、ナノマテリアルの化学組成、サイズ、物性等が細胞応答に及ぼす影響を解明することを目的とする。
研究方法
金属酸化物等を対象に、細胞に暴露するナノマテリアルの物理化学的特徴を把握し、細胞内動態を明らかにした上で、細胞毒性・遺伝毒性発現メカニズム、バイオインフォマティクスによる遺伝子発現及び共存化学物質との相互作用による細胞機能影響をそれぞれ解析する。さらに、有用ナノマテリアルの遺伝毒性を低減化する物理的及び化学的な手法を検討する。
結果と考察
(1)注射用水及び培地中での粒径分布及びゼータ電位の測定を行い、基礎データを収集した。(2)銀を経気道曝露したラット肺の電顕用サンプルをTEM-EDSで観察し、肺胞内マクロファージ内のライソソーム内に銀の分布が認められた。(3)ヒト由来細胞を用いたin vitro生体影響評価系としてA549細胞が有用であることを確認した。複数の細胞応答に関する指標を用いて種々の酸化金属ナノ粒子の細胞毒性を評価した。(4)酸化銅ナノ粒子の毒性に対するヒト肺上皮細胞の遺伝子応答をDNAマイクロアレイにより調べ、発現量が増加及び減少した遺伝子群を同定した。(5)酸化チタンナノ粒子共存下で塩化アルミニウム、塩化銅及び塩化亜鉛の細胞毒性は変化せず、酸化ケイ素ナノ粒子共存下で塩化アルミニウム及び塩化銅の細胞毒性は増強することを明らかにした。(6)産地の異なるカオリンについて、ICRマウス用いてコメットアッセイを行い、DNA損傷性を解析した。肺胞上皮細胞及びマクロファージ内への各カオリンの移行率をフローサイトメーターで調べた。(7)磁性ナノ粒子マグネタイトを雄性ラットの気管内に単回投与し、体内動態を検索した。(8)磁性体ナノ粒子を用いたin vitro系で研究を行い、細胞毒性及び遺伝毒性のメカニズムを明らかにした。
結論
種々の酸化金属ナノ粒子の毒性試験条件下での粒径分布及びゼータ電位を測定し、複数の細胞応答に関する指標を用いて種々の酸化金属ナノ粒子の細胞毒性を評価した。また、酸化銅ナノ粒子の毒性に対するヒト肺上皮細胞の遺伝子応答をDNAマイクロアレイにより解析した。さらに、産地の異なるカオリンについて、ICRマウス用いてコメットアッセイを行い、DNA損傷性を解析した。また、磁性体ナノ粒子の気管内単回投与毒性試験を実施するとともに、細胞毒性及び遺伝毒性のメカニズムを明らかにした。平成23年度の目標は概ね達成した。

公開日・更新日

公開日
2012-05-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201133024Z