国際協調により公的な試験法を確立するための手順に関する研究

文献情報

文献番号
201133004A
報告書区分
総括
研究課題名
国際協調により公的な試験法を確立するための手順に関する研究
課題番号
H21-化学・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 小野 敦(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 小島 肇(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 森田 健(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 能美 健彦(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 中嶋 圓((財)食品農医薬品安全性評価センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,640,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国あるいは欧米で開発された新しい安全性試験法の内、行政試験法として見込みのある方法について、欧米の研究機関と協力して妥当性を評価・確認し、国際的に受け入れられることが妥当とされた方法をガイドライン化することを通じて、新規試験法を国際的方法として公定化する手順を確立する。
研究方法
バリデーションは、内外の機関と協力し、多施設への技術移転、プレバリデーションを通じたプロトコルの確立、本バリデーションでの再現性と予測性の確認と、段階的に進めた。内分泌かく乱化学物質スクリーニング法としては、我が国発のERαアンタゴニスト測定法(HeLa法)と米国発のLUMI-CELL法を、遺伝毒性試験としては、in vivo及びin vitroコメットアッセイ、皮膚感作性試験としては、我々の開発したヒト樹状細胞株を用いる方法(h-CLAT法)の国際バリデーションを実施した。また、遺伝子組み換えラットを用いるin vivo遺伝毒性試験法(gpt delta法)を検討した。
結果と考察
HeLa法については、用いた細胞の再現性や技術上の問題等があり、バリデーション終了に至らなかった。プロトコルの問題点を解決し、頑健な試験法とする必要がある。Lumi-Cell法のバリデーションが終了し、得られたデータをもとに判定基準を変更し、OECDテストガイドライン案を作成した。in vivoコメットアッセイについては、今までに作成したプロトコルと判定基準を示した図解集をもとにバリデーションを進めた結果、14施設から予定通りの良い結果を得られ、バリデーションを成功裏に終了できた。in vitroコメットアッセイでは代謝活性化を要する検体についての施設差の問題を解決できなかった。h-CLAT法については、不適切な結果が得られた施設について我々が技術指導を行い、問題を解決し、プレバリデーションを進めた結果、第一段階の実験終了が認められた。被験物質の選択を中心とするバリデーションの手順をまとめることができた。
結論
バリデーション手順、プロトコル確立や被験物質選定に関する国際的経験を積み、国際的貢献をした。また、バリデーションの手順をまとめることができた。

公開日・更新日

公開日
2012-05-25
更新日
-

文献情報

文献番号
201133004B
報告書区分
総合
研究課題名
国際協調により公的な試験法を確立するための手順に関する研究
課題番号
H21-化学・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 小野 敦(国立医薬品食品衛生研究所・安全性生物試験研究センター・総合評価研究室)
  • 小島 肇(国立医薬品食品衛生研究所・安全性生物試験研究センター・薬理部 新規試験法評価室)
  • 本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所・安全性生物試験研究センター・変異遺伝部第一室)
  • 森田 健(国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部 第一室)
  • 能美 健彦(国立医薬品食品衛生研究所・安全性生物試験研究センター・変異遺伝部)
  • 中嶋 圓((財)食品農医薬品安全性評価センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
行政試験法として見込みのある新規安全性試験法について、欧米の研究機関と協力して妥当性を評価・確認し、国際的に受け入れられることが妥当とされた方法をガイドライン化することを通じて、新規試験法を国際的方法として公定化する手順を確立する。
研究方法
バリデーションは、内外の機関と協力し、多施設への技術移転、プレバリデーションを通じたプロトコルの確立、本バリデーションでの再現性と予測性の確認と、段階的に進めた。内分泌かく乱化学物質スクリーニング法としては、我が国発のERαアンタゴニスト測定法(HeLa法)と米国発のLUMI-CELL法、及びアンドロゲン受容体転写活性化試験法(AR-EcoScreen法)を、遺伝毒性試験としては、in vivo及びin vitroコメットアッセイ、皮膚感作性試験としては、我々の開発したヒト樹状細胞株を用いる方法(h-CLAT法)の国際バリデーションを実施した。また、遺伝子組み換えラットを用いるin vivo遺伝毒性試験法(gpt delta法)を検討した。
結果と考察
HeLa法については、用いた細胞の再現性や技術上の問題等があり、バリデーション終了に至らなかった。プロトコルの問題点を解決し、頑健な試験法とする必要がある。Lumi-Cell法のバリデーションが終了し、得られたデータをもとに判定基準を変更し、OECDテストガイドライン案を作成した。AR-EcoScreen法についてはOECDでの審議のための資料を作成した。in vivoコメットアッセイについては、プロトコールを確定し、施設間再現性を調べるためのプレバリデーションを実施した。再現性を高めるために、判定基準を示した図解集を作成した結果、14施設から予定通りの良い結果が得られ、バリデーションを成功裏に終了できた。in vitroコメットアッセイでは代謝活性化を要する検体の結果に施設差があった。h-CLAT法については、不適切な結果が得られた施設について我々が技術指導を行い、問題を解決し、プレバリデーションの第一段階が終了した。gpt delta法の多施設予備的検討では予想された結果が得られた。
結論
バリデーション手順、プロトコル確立や被験物質選定に関する国際的経験を積み、国際的貢献をした。被験物質の選択を含むバリデーションの手順をまとめることができた。

公開日・更新日

公開日
2012-05-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201133004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
欧米の研究機関と協力して3つの内分泌攪乱化学物質試験法、DNA損傷を評価するin vivo及びin vitroコメットアッセイ、ヒト樹状細胞株を用いるin vitro皮膚感作性試験の国際バリデーションを実施した。その結果、Lumi-Cell法のバリデーションとin vivoコメットアッセイのバリデーションを成功裏に終了できた。他の試験法についても大きな進展があった。これらを国際的な試験法としてガイドライン化することにより、関連分野の発展と3Rsへの貢献が期待される。
臨床的観点からの成果
本研究は医薬品開発を志向したものでは無いことから、直接的に臨床に貢献することはない。しかし、本研究で検討している試験法は医薬品の評価にも使えるものであり、その成果は、安全な臨床試験を実施する上で役に立つ。特に、わが国で開発したin vitro皮膚感作性試験は単に動物実験における3Rsの原則に貢献するだけでなく、臨床での思いがけないアレルギーを未然に防止するのに有用であり、効率的な医薬品開発に寄与するものである。また、本研究の経験は安全性試験法の国際的開発に役立つ。
ガイドライン等の開発
国際的ガイドライン作成を目的に、内分泌かく乱化学物質試験法として、ERαに対するレポーターアッセイであるHeLa9903細胞を用いた方法及びLumi-Cell法、及びアンドロゲン受容体転写活性化試験法を、DNA損傷を評価するin vivo及びin vitroコメットアッセイ、ヒト樹状細胞株を用いるin vitro皮膚感作性試験法の国際バリデーションを実施し、Lumi-Cell法のOECDテストガイドライン案を作成し、in vivoコメットアッセイのバリデーションを成功裏に終了できた。
その他行政的観点からの成果
今回の研究を通じて、動物実験代替法を中心とする新規試験法の国際的バリデーションと評価に関する経験を積んだ。これは今後、わが国発の新規試験法を国際的な試験法とする上で有用であり、科学的・経済的に意義が高い。In vivo遺伝毒性試験法はわが国で開発したものであり、in vitroで陽性となった物質のin vivoでの遺伝毒性を科学的に正しく評価する上で有用であり、多くの化学物質を安全に使用するための評価を行っている行政当局にとって画期的な試験法であり、更に検討をすすめる必要がある。
その他のインパクト
in vitro皮膚感作性試験はわが国が主導して開発してきたものであり、EUがそれに追随しているものである。ERα受容体アゴニスト及びアンタゴニスト試験法は欧米と平行して開発してきたものである。これら動物福祉に考慮した安全性試験法をわが国が主導して開発していることは海外の動物愛護団体にも良く知られており、この分野におけるわが国の評判を高めたと自負している。これらは、わが国内外での安全な新規化学物質の開発に寄与する者である。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
27件
その他論文(和文)
11件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
24件
学会発表(国際学会等)
34件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
今回検討した7種の試験法は全て、OECDのガイドライン化を目指しているが、バリデーションと評価には時間が掛かるため、案の完成まで至ったものは1件であった。
その他成果(普及・啓発活動)
0件
学会や業界団体での講演や総説、解説という形で研究成果の普及に努めているが、一般人を対象としたものは無いため0件とした。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2016-06-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201133004Z