医師主導治験の運用に関する研究(指定型研究)

文献情報

文献番号
201132073A
報告書区分
総括
研究課題名
医師主導治験の運用に関する研究(指定型研究)
課題番号
H23-医薬・指定-024
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 裕司(浜松医科大学 臨床薬理学)
研究分担者(所属機関)
  • 景山 茂(東京慈恵会医科大学 薬物治療学)
  • 楠岡 英雄((独)国立病院機構 大阪医療センター)
  • 藤原 康弘(国立がんセンター中央病院)
  • 小野 俊介(東京大学大学院 薬学系研究科)
  • 斉藤 和幸((独)医薬品医療機器総合機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
1,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医師主導治験の現状について多面的な検討を加え、医師主導治験がわが国で根付く対策を提案することを本研究の目的とした。
研究方法
Web調査、公表資料に基づく調査分析、日本製薬工業協会医薬品評価委員会臨床評価部会加盟企業に対するアンケート調査等を通じてデータを取得し、研究班会議でのConsensus method(コンセンサス形成手法)により意見を集約した。
結果と考察
医師主導治験の実施件数は年間10件前後にとどまり、その大部分は、既承認薬の適応追加を目的とする後期相の多施設共同試験であった。日本医師会治験促進センターを中心にサポート体制は整えられてきたが、その実施には膨大な業務が要求される。薬事承認を目指した医薬品開発計画に精通した医師が少なく、さらに膨大な業務を支える人的・経済的資源が不足していることは医師主導治験の進展を阻害する大きな要因である。今後は、適応拡大を目的とした医師主導治験から、希少疾病治療薬やアカデミア発のシーズの早期探索的臨床試験、あるいは、遺伝子解析による患者層別化など現在の技術を用い、過去に臨床試験の段階で開発が断念され製薬企業内に埋もれているシーズを再評価するような臨床試験にシフトすることが、臨床試験に対応する貴重な人的・経済的資源を真に活かす方法と考えられる。医師主導治験の活性化を図るためには、治験調整医師や担当医師のインセンティブの確保、さらには、医師主導治験の成果によって製造販売を担当する製薬企業が一定の利益を得た場合には、その一部を将来の医師主導治験の資金源とするような非営利的ファンド機構の構築などを検討すべきである。
広義の研究者主導の臨床試験の数は近年着実に増加している。これらの中には、医師主導型治験での実施が望ましい試験も少なからず含まれるものと期待される。外資系製薬企業のみならず内資系製薬企業もその臨床試験拠点を海外に求める現在、医師主導治験が活性化することにより、移転した臨床試験を国内に回帰させることも夢ではない。
結論
わが国で臨床試験に対応しうる人的・経済的資源は限られており、適応拡大など高度医療などの制度で開発可能な領域と、医師主導治験の特長が活かされる領域を選別し、限られた資源の効率的分配と必要とされる分野への集中的な資源投入を行うべきである。その一つである早期探索的試験に対するインフラ整備が積極的に進められており、今後は、国レベルでの臨床試験システムの改革や人材育成を図ることにより、効率的な医薬品開発の体制作りを目指さなければならない。

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201132073C

成果

専門的・学術的観点からの成果
医師主導治験について、臨床研究と治験を視点として広く調査分析したものは少ない。また、医師主導治験と製薬企業の望ましい連携のあり方についての調査も未着手であった。本研究では、医師主導治験の現状を、医師に対するWeb調査、公表資料に基づく調査分析、商用データベースPharmaprojectsを用いた日欧米の臨床開発プロジェクト数分析、日本製薬工業協会医薬品評価委員会臨床評価部会加盟企業に対するアンケート調査等を通じて多面的に解析したものであり、専門的学術的価値が高いと考えられる。
臨床的観点からの成果
本研究は、今後求められる医師主導治験のあり方を提案するものである。この研究を基に、医師主導治験を実施しやすい環境整備が進み、医師主導治験が増加することにより、革新的医薬品の早期開発が実現し、患者の治療の選択肢を増やすことが期待される。
ガイドライン等の開発
本研究中に議論された課題の一部は、平成24年2月21日に発せられた「自ら治験を実施しようとする者による薬物に係る治験の計画の届出等に関する取扱いについて」によって解決された。
その他行政的観点からの成果
本研究は、医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業として実施しており、行政的観点からの成果が主体となる研究である。分担研究者や研究協力者には、アカデミアや産業界からの研究者とともに、行政担当者やPMDAの研究者が含まれており、その成果は、国レベルでの臨床試験システムの改革や人材育成、効率的な医薬品開発の体制作りに活かされることが期待される。
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
山中洋介、平井由香、樋爪太郎、小野晋也、草間真紀子、杉山雄一、小野俊介:ドラッグラグの直近の状況と発生メカニズムの分析.第32回日本臨床薬理学会2011.12.1.浜松
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
2017-05-30

収支報告書

文献番号
201132073Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,000,000円
(2)補助金確定額
2,001,984円
差引額 [(1)-(2)]
-1,984円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 982,362円
人件費・謝金 0円
旅費 534,740円
その他 284,882円
間接経費 200,000円
合計 2,001,984円

備考

備考
差異1984円は分担研究者の自己負担で精算をした。

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-