再生医療製品の品質・安全性評価のための新たな指標に関する研究

文献情報

文献番号
201132051A
報告書区分
総括
研究課題名
再生医療製品の品質・安全性評価のための新たな指標に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H23-医薬・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 和博(国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子細胞医薬部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 陽治(国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子細胞医薬部)
  • 澤田 留美(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)
  • 遊佐 敬介(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
22,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
再生医療は,従来治療が困難だった重篤な疾患・障害を治療できる革新的な方法として注目されている.再生医療に使用することを目的に,生きた細胞を加工して製造される製品を細胞・組織加工製品(再生医療製品)と言い,その細胞ソースとしては,患者自身の細胞の他に,ES細胞や最近開発されたiPS細胞(人工多能性幹細胞)が有望視されている.細胞・組織加工製品は,臨床使用経験が少ないために知見の蓄積も乏しく,有効性・安全性の評価のための科学的合理性のある試験法や評価指標の整備が遅れている.本研究は,承認審査に役立つ指標作成に貢献することを目的とする.
研究方法
臨床応用の研究・開発が活発に行われている体性幹細胞であるヒト間葉系幹細胞(hMSC)を中心に実験研究を展開した.
結果と考察
①hMSCの虚血応答性サイトカイン(VEGF)分泌能を原材料・中間製品段階で予測するための指標(候補)を網羅的遺伝子発現解析により同定し,そのVEGF分泌機構への関与を検討した.②細胞のがん化の指標となり得る遺伝子を探索する目的でhMSCの遺伝子発現のin vitro培養時の変化およびhMSCがん化の陽性対照となり得るEwing肉腫由来細胞株の遺伝子発現を網羅的に解析し,Ewing肉腫由来細胞株の遺伝子発現パターンとhMSCとの類似性・相違性を検討した.③がん化に関連する細胞のゲノム安定性の評価指標探索の方法としての次世代シーケンサーの有用性を評価するため,hMSCの遺伝子突然変異の検出と蓄積を次世代シーケンサーを用いて評価した.④細胞・組織加工製品のウイルス安全性に関し,前立腺癌や慢性疲労症候群への関与が疑われていた新規MLV関連ウイルス(XMRV)について検討を進めていきたが,ウイルスの感染報告そのものが学界で否定されることになったため,XMRVのウイルス粒子をウイルス試験法に使われるモデルウイルスであるマウス白血病ウイルスの代替ウイルス様粒子としての利用を検討し,有用なウイルス様粒子の作製のためのいくつかの要件を明らかにした.
結論
これらの成果を更に展開することにより細胞・組織加工製品の有効性・安全性に関する品質評価に必要な指標が示され,迅速で適切な審査および再生医療の実用化推進に貢献できると考えられる.

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201132051C

収支報告書

文献番号
201132051Z