アカントアメーバ角膜炎制御におけるレンズケアの重要性

文献情報

文献番号
201132039A
報告書区分
総括
研究課題名
アカントアメーバ角膜炎制御におけるレンズケアの重要性
課題番号
H22-医薬・指定-021
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
大橋 裕一(愛媛大学 医学系研究科 視機能外科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 下村嘉一(近畿大学 医学系研究科 眼科学分野)
  • 中田和彦(メニコン株式会社)
  • 井上幸次(鳥取大学 医学系研究科 眼科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
コンタクトレンズ関連角膜感染症の中でも、最も難治性でかつ急増しつつあるアカントアメーバ角膜炎に焦点を絞り、その制御に向けて種々の視点から解決策、対応策を模索すること。
研究方法
1.光線力学療法をもちいた抗アメーバ効果の試み
光感受性物質としてメチレンブルー(MB)を用いて、MBの最大吸収波長である660nmの光を照射することで酸化ストレスによる細胞障害を惹起する光線力学的療法光線力学療法の抗アカントアメーバ効果について検討した。
2.アカントアメーバのソフトコンタクトレンズ(SCL)への親和性および擦り洗いの効果の検討
シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズにアカントアメーバを接着させた後、MPSによる各種洗浄処理を行い、残存アカントアメーバを定量して、MPSによる除去効果を比較検討した。
3.アカントアメーバ角膜炎発症動向の全国定点調査
全国9の大学附属病院をベースに、アンケート調査を行い、アカントアメーバ角膜炎の発生状況を調査した。
4.SCL消毒剤ボトル汚染状況の定点診療所調査
コンタクトレンズ診療に精通した医師の診療所5カ所を基点に、SCL消毒剤ボトルの汚染動向を調査した。
結果と考察
1.光線力学療法をもちいた抗アメーバ効果の試み
メチレンブルーを用いた光線力学療法による抗アカントアメーバ作用が示され、将来的なアカントアメーバ角膜炎治療法につながると期待される。
2.アカントアメーバのソフトコンタクトレンズ(SCL)への親和性および擦り洗いの効果の検討「こすり」洗いのアカントアメーバ除去効果が最も高く、「すすぎ」洗いの効果はボトルからの液体噴出量に依存し、こすり洗い+すすぎ洗いの重要性が示された。
3.アカントアメーバ角膜炎発症動向の全国定点調査
2009年以後アカントアメーバ角膜炎発生の減少傾向が認められた。
4.SCL消毒剤ボトル汚染状況の定点診療所調査
容器内液の3%(183検体中6例)、注出口サンプルの32%(183検体中58例)において細菌が検出された。真菌、アカントアメーバは検出されなかった。
結論
アカントアメーバ角膜炎の制御に向けて、特に、光感受性物質による抗アメーバ治療法の開発、レンズケアにおけるすすぎ・擦り洗いの重要性、およびSCL消毒剤汚染の実態把握などにおいて、今後に有益な成果が得られたものと考える。

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201132039Z