乱用薬物による薬物依存の発症メカニズム・予防・診断及び治療法についての研究

文献情報

文献番号
201132036A
報告書区分
総括
研究課題名
乱用薬物による薬物依存の発症メカニズム・予防・診断及び治療法についての研究
課題番号
H22-医薬・一般-015
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
鍋島 俊隆(名城大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 経之(長崎国際大学 薬学部)
  • 鈴木 勉(星薬科大学 薬学部)
  • 新田 淳美(富山大学 医学薬学研究部)
  • 疋田 貴俊(京都大学 医学研究科)
  • 間宮 隆吉(名城大学 薬学部)
  • 曽良 一郎(東北大学 医学系研究科)
  • 伊豫 雅臣(千葉大学 医学研究院)
  • 西川 徹(東京医科歯科大学 医学薬学総合研究科)
  • 池田 和隆(財団法人東京都医学総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
13,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
乱用薬物による神経毒性や依存症に対する診断法および予防方法・治療薬を開発し、国際的な依存・乱用防止の啓発に役立て、研究成果を社会に還元する.
研究方法
基礎研究と臨床研究のクロストークにより乱用薬物の依存および精神行動障害の分子機序の解明および治療薬のスクリーングを行った.
結果と考察
依存性薬物により黒質網様部のGABA作動性神経においてerphrin-Eph分子群が発現増加し、それら分子の活性化が依存性薬物による行動変化を抑制することを明らかにした.Shatiは脳部位依存的な機能を持ち、側坐核において依存形成ならびに関連するドパミン遊離を調節していることを明らかにした.薬物関連刺激による覚せい剤に対する渇望の発現をエンドカンナビノイド分解阻害薬が抑制することを明らかにした。覚せい剤による精神依存および精神障害に対するコレシストキニン2受容体拮抗薬の有用性を明らかにした.幼若期エンリッチ環境によるエピジェネティクス制御および新生児期GABA作動性神経前駆細胞の移植によるGABA作動性神経系の活性化が依存性薬物による精神障害の発現を抑制することを明らかにした.ケモカインとその受容体の発現増加とミクログリア活性化に関連した免疫系の活性化が覚せい剤による依存形成を抑制することを明らかにした.基礎研究において薬物依存への関与が明らかになったGタンパク質活性型内向き整流性カリウムチャンネル(GIRK)の遺伝子多系が覚せい剤精神病への発症脆弱性と関与することを見出し、GIRK阻害作用のある薬物がアルコール再使用リスクを抑制すること明らかにした.健常人における物質関連障害になりやすさを検出する心理検査法であるSubstance Use Risk Profile Scale日本語版を開発し、その妥当性と信頼性を実証した.違法ドラックであるメフェドロン・メチロンなどのカチノン誘導体のモノアミントランスポーターを標的とした薬理効果は、覚せい剤やMDMAとは異なる作用を持つことを明らかにした.依存性薬物による精神障害を抑制する効果を有するD-セリン脳内濃度の調節機構を明らかにし、それに関連する因子として3'-phosphoadenosine 5'-phosphosulfate transporter 1遺伝子を検出した.
結論
今後の活用が期待される多くの研究成果を得ており、次年度の更なる展開を目指す.

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2018-02-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201132036Z