食品を介する伝達性海綿状脳症のリスクと対策等に関する研究

文献情報

文献番号
201131042A
報告書区分
総括
研究課題名
食品を介する伝達性海綿状脳症のリスクと対策等に関する研究
課題番号
H23-食品・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
堀内 基広(北海道大学 大学院獣医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 新 竜一郎(長崎大学 大学院医歯薬総合研究科)
  • 石黒 直隆(岐阜大学 応用生物科学部)
  • 北本 哲之(東北大学 医学系研究科)
  • 坂口 末廣(徳島大学 疾患酵素学研究センター)
  • 柴田 宏昭(独立行政法人 医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター)
  • 堂浦 克美(東北大学 医学系研究科)
  • 飛梅 実(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 萩原 健一(国立感染症研究所 細胞生化学部)
  • 福田 茂夫(北海道総合研究機構 畜産試験場)
  • 室井 喜景(帯広畜産大学 畜産学部)
  • 村山 裕一(独立行政法人 農業食品産業記述総合研究機構 動物衛生研究所)
  • 横山 隆(独立行政法人 農業食品産業記述総合研究機構 動物衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
47,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
大きな社会問題となった定型BSEは適切な管理措置により発生は減少している。しかし、非定型BSE、非定型スクレイピー、鹿の慢性消耗病(CWD)など、性質が良くわかっていない伝達性海綿状脳症(プリオン病)が存在する。本研究は、1)動物プリオン病のヒトおよび動物への感染リスクの解明、2)プリオン病の感染・伝播・発病機構の解明、および、3)我が国に存在しない伝達性海綿状脳症への対策、に資する知見を得ることを目的とする。
研究方法
1)非定型BSEの病態および動物プリオン病のヒトへの感染リスクの解明:非定型および定型BSE感染牛およびカニクイザルの運動機能、学習記憶能、および感染病態を解析する。
2)BSEの起源の推定:異常型プリオンタンパク質を増幅可能なPMCAおよびQUIC法を応用して、試験管内でBSE様プリオンの産生について解析する。
3)プリオンの伝播・増殖機構および発病機構の解明:初代神経培養細胞系と感染動物を用いて、プリオンの伝播・増速機構と、神経変性機構を解析する。
4)我が国に存在しない動物プリオン病の対策整備:CWDのサーベイランスを実施し、非定型スクレイピーの診断法を整える。
結果と考察
・非定型BSE感染牛では、夜間安静時の行動量が増加することが明らかとなった。
・非定型L-BSE接種カニクイザルが、非定型BSEの人へのリスクの解析に加えて、sCJDの発症機序解明および早期診断系確立などに有用なモデル系になることが明らかとなった。
・定型BSE経口投与カニクイザル(未発症)の血漿からPMCA法によりPrPScが検出されたことから、血液を用いたvCJDの早期診断の可能性を提示した。
・BSE由来PrPScの増幅法としてQUIC法の条件検討を行い、検出感度が100倍させることに成功した。
・BSE由来のBSEKUS株は、分化Neurospheresの神経細胞に感染し、前シナプスマーカーであるsynaptophysinの発現を低下させることを見出した。
・抗プリオン活性を有する新たな化合物として、グリコシド‐9を発見した。
・エゾシカ用簡易と殺場で処理されたシカは全てCWDは陰性であった。
・エゾシカはCWD感受性のPrPアミノ酸多型を有していた。
結論
・非定型BSE感染牛およびカニクイザルの解析から、非定型BSEの臨床症状および感染病態の一端が明らかとなった。
・BSE由来PrPScを増幅するQUIC法およびPMCA法を改良した。
・プリオン感染に伴う神経変性機構を解析するex vivoモデル系が構築できた。
・エゾシカでCWD陽性個体は発見されなかった。

公開日・更新日

公開日
2012-06-11
更新日
-

収支報告書

文献番号
201131042Z