ナノ食品の安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
201131041A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノ食品の安全性確保に関する研究
課題番号
H23-食品・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
小川 久美子(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
研究分担者(所属機関)
  • 西川 秋佳(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター)
  • 広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所 総合評価室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ナノマテリアルには、様々の材質が考案されており、その工業的利用の振興が期待されている。モンモリロナイト((Na,Ca)0.33(Al,Mg)2Si4O10(OH)2・nH2O)を主成分とするナノクレイは、加工食品の固化防止や内容物の保存安定性の向上を目的としてPETボトルなどの包装容器への使用が検討されているが、安全性に関する情報は充分ではない。本研究は、ナノクレイの経口暴露による毒性影響や体内動態の解明および使用状況の把握による安全性の確保を目的としている。
研究方法
23年度は、F344雄性ラットを用いて、食品添加物規格として市販されているナノクレイのうち、粒子サイズが異なる2種類の天然鉱物由来のモンモリロナイト(ベンゲルフレーク・ベンゲルクリア)について4週間混餌投与による用量設定試験後、13週間投与による亜急性毒性試験を行った。また、これらを1.3g/kg体重で単回胃内投与後および4週間混餌投与試験の検体を用い、アルミニウムおよびマグネシウムを指標に、血液および組織への移行や沈着をICP-MSにて検討した。さらに、被験物質の粒子サイズの電子顕微鏡観察およびナノクレイの食品・食品容器分野における使用実態について、データベース検索やヒアリング調査を行った。
結果と考察
5%の4週間混餌投与では、肝重量の減少はみられたが、明らかな病理組織学的変化は認めなかった。13週間の混餌投与(0、0.2、1、5%)では、一般状態、体重、臓器重量には投与に関連した変化は見られず、現在、血液生化学および病理学的検討を進めている。単回胃内強制投与後、経時的に血液を採取したが、投与によるアルミニウム濃度の変動は見られなかった。さらに、4週間の5%混餌投与群の腎臓、肝臓、脳、脾臓および脛骨のアルミニウムとマグネシウムの濃度にも対照群との間に差異はなかった。電顕上、今回被験物質としたナノクレイは、いずれも100ナノ以上のサイズと考えられたが、ベンゲルクリアはさらに挫滅により細粒化する可能性が見られた。ナノクレイの、実用化されている食品分野における主な用途は、ガスバリア性の向上を主目的とした包装容器材の他、液体農薬の沈降防止剤としても用いられていることが明らかとなった
結論
これまでの検討では、ベンゲルクリアおよびベンゲルフレークは、生体への移行は否定的であり、経口投与による明らかな毒性はないと考えられたが、粒子サイズを考慮したさらに詳細な検討が望まれた。

公開日・更新日

公開日
2012-05-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201131041Z