文献情報
文献番号
201131017A
報告書区分
総括
研究課題名
いわゆる「健康食品」と医薬品との併用に関わる安全性評価に関する研究
課題番号
H22-食品・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
永田 清(東北薬科大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
- 松永民秀(名古屋市立大学 大学院薬学研究科 )
- 細川正清(千葉科学大学 薬学部 )
- 頭金正博(名古屋市立大学 大学院薬学研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
20,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、いわゆる「健康食品」の使用実態を調査した上で、申請者らが構築した薬物代謝酵素活性阻害及び酵素誘導評価法を用いて、薬物相互作用を同時に評価するところにある。また、ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)を肝細胞あるいは小腸内皮細胞に分化させ、より正確な薬物相互作用評価法の構築を目指すことである。
研究方法
1. 「健康食品」の使用状況および有害事象についての調査とまとめ
2. 「健康食品」による相互作用の測定
3. 抱合酵素およびトランスポーター誘導評価系の樹立
4. 薬物代謝酵素活性を示すヒトiPS細胞分化肝細胞および小腸内皮細胞の樹立検討
2. 「健康食品」による相互作用の測定
3. 抱合酵素およびトランスポーター誘導評価系の樹立
4. 薬物代謝酵素活性を示すヒトiPS細胞分化肝細胞および小腸内皮細胞の樹立検討
結果と考察
1. 全国の調剤薬局を対象にアンケート調査を行ったところ、アンケート送付調剤薬局の店舗回収率は37.3%で、1,034件のアンケートが回収された。アンケートを解析した結果、薬局来局者の60%は、医薬品と健康食品を併用しており、約300製品の健康食品の使用が確認された。
2. アンケート調査あるいは事前の文献調査から抽出した健康食品について、相互作用のスクリーニングを行った。板藍根及びCYP3A4を誘導することが知られているセントジョーンズワートとイチョウ葉エキスを用い、CYP3A4レポーター活性を測定した結果、いずれもCYP3A4を誘導した。
3. CYP3A4およびMDR1レポーター遺伝子を腸管由来細胞の染色体に組み込むことで、小腸の誘導評価を安定的に行うことが可能な細胞株の樹立に成功した。
4. iPS細胞をより成人の肝臓に近い機能を有する細胞への分化させるために、幾つかの肝特異的発現転写因子をアデノウイルスによって導入した。その結果、HNF-6の導入により幾つかの薬物代謝酵素mRNA発現が強く上昇することが判明した。小腸の細胞(腸管上皮細胞)に近い機能を有する細胞への分化については、培養液中に分化誘導が期待できる液性因子の添加により、腸管上皮細胞に非常に類似した性質を有する細胞分化に成功した。
2. アンケート調査あるいは事前の文献調査から抽出した健康食品について、相互作用のスクリーニングを行った。板藍根及びCYP3A4を誘導することが知られているセントジョーンズワートとイチョウ葉エキスを用い、CYP3A4レポーター活性を測定した結果、いずれもCYP3A4を誘導した。
3. CYP3A4およびMDR1レポーター遺伝子を腸管由来細胞の染色体に組み込むことで、小腸の誘導評価を安定的に行うことが可能な細胞株の樹立に成功した。
4. iPS細胞をより成人の肝臓に近い機能を有する細胞への分化させるために、幾つかの肝特異的発現転写因子をアデノウイルスによって導入した。その結果、HNF-6の導入により幾つかの薬物代謝酵素mRNA発現が強く上昇することが判明した。小腸の細胞(腸管上皮細胞)に近い機能を有する細胞への分化については、培養液中に分化誘導が期待できる液性因子の添加により、腸管上皮細胞に非常に類似した性質を有する細胞分化に成功した。
結論
薬局来局者を対象とした調査においては、3%ほどの有害事象の報告があったがアンケート回答者本人の主観的意見のみであるため、健康食品による有害事象を十分に抽出できていない可能性が考えられ、客観的に評価可能な手法が求められた。一方、健康食品の薬物相互作用スクリーニングから酵素誘導を示すものが幾つか見いだされた。iPS細胞から薬物代謝酵素活性を示す肝細胞への分化を促進する条件を検討し、発現上昇は認められたが、まだ成熟肝あるいは小腸細胞と同等活性を示す細胞の分化には至らなかった。
公開日・更新日
公開日
2012-05-28
更新日
-