健康食品の情報提供システム体制の構築と安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
201131008A
報告書区分
総括
研究課題名
健康食品の情報提供システム体制の構築と安全性確保に関する研究
課題番号
H21-食品・一般-008
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
梅垣 敬三(独立行政法人国立健康・栄養研究所 情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 長村 洋一(鈴鹿医療科学大学保健衛生学部)
  • 齋藤 邦明(京都大学大学院医学研究科)
  • 信川 益明(医療法人社団千禮会)
  • 山田 浩(静岡県立大学薬学部)
  • 金澤 秀子(慶應義塾大学薬学部)
  • 石長 孝二郎(広島女学院大学生活科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
27,360,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康食品問題に取り組んできた各団体が保持している知識・経験・システムを最大限に活用し、健康食品の安全性・有効性情報を消費者に効果的に提供するためのアドバイザリースタッフ等のレベルアップ、消費者に効果的に情報提供するツール等の開発、ハイリスクグループによる健康食品の利用実態調査等を行う。
研究方法
レベルアップのため教育支援プログラムと健康食品情報検索システムのプロトタイプを作成した。アドバイザリースタッフや薬剤師・管理栄養士等が利用しやすい健康食品情報提供ツールは、実際に利用による評価を受けてさらに改良した。妊婦のサプリメント利用については利用形態と摂取時期を中心にアンケート調査した。健康食品の有害事象評価法は、実際の事例を適用して有用性を検証した。
結果と考察
アドバイザリースタッフレベルアップのためのe-ラーニング教育支援プログラムならびに健康食品情報検索システムのプロトタイプを作成した。また、情報提供ツールとして、一般向けクイズ形式のもの、消費者に対面で利用する印刷版とパワーポイント版、主に薬剤師等が利用する冊子版とiPad版、病院の薬剤師・管理栄養士が利用する疾患別のもの、GMPマーク普及リーフレットと教育ツールなどを作成し、「『健康食品』の安全性・有効性情報(https://hfnet.nih.go.jp/)」に掲載できるものは直ぐに公開した。ツール等は概ね良好な評価を得た。妊婦のサプリメント利用調査では葉酸を含む製品の利用が多いが、その利用時期や製品の安全性について正しく理解されていないことが明らかとなった。健康食品の有害事象評価判定のアルゴリズム作成では、被害相談事例200例を適用して実用的なものに改良した。
結論
多様なアドバイザリースタッフが養成・認定されているが、資格取得後の支援と各種の情報提供ツールを提供することで、消費者等への比較的均一な情報提供ができ、資格取得者の活躍の場と認知度を高めることができる。妊婦のサプリメント利用については、摂取時期等より適切な情報提供が必要であり、健康食品の有害事象評価判定アルゴリズム作成は、有害事象の因果関係の判定や報告の取扱いに役立つものである。

公開日・更新日

公開日
2012-05-01
更新日
-

文献情報

文献番号
201131008B
報告書区分
総合
研究課題名
健康食品の情報提供システム体制の構築と安全性確保に関する研究
課題番号
H21-食品・一般-008
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
梅垣 敬三(独立行政法人国立健康・栄養研究所 情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 長村 洋一(鈴鹿医療科学大学保健衛生学部)
  • 齋藤 邦明(京都大学大学院医学研究科)
  • 信川 益明(医療法人社団千禮会)
  • 山田 浩(静岡県立大学薬学部)
  • 金澤 秀子(慶應義塾大学薬学部)
  • 石長 孝二郎(広島女学院大学生活科学部)
  • 阿部重一(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康食品問題に取り組んできた各団体が保持している知識・経験・システムを最大限に活用し、健康食品の安全性・有効性情報を消費者に効果的に提供するためのアドバイザリースタッフ等のレベルアップ、消費者に効果的に情報提供するツール等の開発、ハイリスクグループによる健康食品の利用実態調査等を行う。
研究方法
アドバイザリースタッフの実態は養成団体と資格取得者に対するアンケート調査により、レベルについては養成・認定に利用されているテキスト等により把握した。アドバイザリースタッフのレベルアップは教育支援プログラム等の作成により対応した。情報提供ツールは、パンフレット、パワーポイント版等を試作し、アドバイザリースタッフ等の評価を受けて改良し、「健康食品」の安全性・有効性情報のサイトに掲載して一般公開した。妊婦や小児の健康食品の利用は、アンケート調査により実態把握し、健康食品の有害事象の判定法は実例を適用して作成・改良した。
結果と考察
アドバイザリースタッフと想定される資格の養成・認定団体は20以上も存在し、資格取得者のレベル、国家資格の有無、職種、関連業務への関与度などが様々で、社会的認知度が低かった。資格取得者が消費者からの疑問に比較的均一に回答ができ社会で活躍できるようにするため、支援プログラムを作成し、また対面で利用する印刷版とパワーポイント版、薬剤師の利用を想定したもの、より一般的なクイズ形式版、GMP製品の普及版などの情報提供ツールを作成した。それらの評価は概ね良好であった。幼児や妊婦は健康食品を安易に利用し安全性を正しく理解していないことから、正しい知識を普及するためのパンフレットを作成した。健康食品の摂取に伴う健康被害事例の評価法については、アルゴリズムを何度か改変して実用的なものとした。
結論
多様なアドバイザリースタッフ等が本来求められている社会的役割を果たせるようになるには、資格取得後のフォローアップや必要な情報提供、情報提供ツールの提供による継続的なサポートが求められる。小児や妊婦等の安易な健康食品の利用については適切な情報提供が重要である。健康食品の有害事象の判定法は情報源に応じた評価票の改良が必要である。健康食品の安全性確保には、さらなる問題点の把握と適切な情報提供等のさらなる体制整備が必要である。

公開日・更新日

公開日
2012-05-01
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201131008C

成果

専門的・学術的観点からの成果
健康食品の安全性や有効性に関する情報を消費者に効果的に提供する人員と想定されるアドバイザリースタッフ等の実態を調査し、現状の問題点を明らかにした。また、アドバイザリースタッフ等が消費者に正しい情報提供を行うためのツール開発やレベルアップなどの具体的な支援システムを提示した。さらに、小児や妊婦などのハイリスクグループによる健康食品の利用実態を明らかにし、健康食品による有害事象の判定法の開発を試みた。
臨床的観点からの成果
患者の自己判断による健康食品の利用は、適切な医療を実施する上での障害になっている。その対策として、患者に健康食品の実態を正しく認識してもらうための効果的な情報提供がある。そこで薬剤師や病院栄養士が、患者に健康食品情報を提供する際に利用できる情報提供ツールを作成し、それらをインターネットでも公開した。
ガイドライン等の開発
「健康食品」の安全性確保に関する検討会フォローアップ会議(平成22月2月3日、医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室)において、アドバイザリースタッフの実態調査が参照された。厚生労働省の「統合医療」のあり方検討会の平成24年10月5日の会議でも参照された。
その他行政的観点からの成果
健康食品の正しい利用法のパンフレット(平成23年3月発行)、健康食品のGMPの解説リーフレット(平成24年3月発行)などの厚生労働省医薬食品局食品安全部発行のパンフレットやリーフレットに研究成果が活用された。また、成果は誰でも閲覧できる健康食品情報のページ(https://hfnet.nih.go.jp/)に掲載し、アドバイザリースタッフ等を介した正しい情報の提供に利用されている。
その他のインパクト
紹介記事: 2009.8.31週刊保健衛生ニュース(子どものサプリメント)、2010.4.22朝日新聞(科学的根拠確かめて、健康食品効果は不明)、2010.6.13日本経済新聞(栄養食品頼り過ぎ注意)、2010.7.18読売新聞(「幼児にサプリ」母親の1割)、2010.10.15東京新聞(子どものサプリ利用、多用避け慎重に)、2011.5.18東京新聞(背伸るさぷり効果のないのはあきらか)、2011.8.18読売新聞(妊婦のサプリメント)、2011.10.16日本経済新聞(サプリ依存にご用心)

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
11件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
32件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Sato Y, Yamagishi A, Hashimoto Y et al.
Use of dietary supplements among preschool children in Japan
J Nutr Sci Vitaminol , 55 (4) , 317-325  (2009)
原著論文2
山田 浩, 松本圭司, 清水雅之, 他
健康食品摂取と健康上の有害事象の因果関係を評価するためのアルゴリズムの提案
臨床薬理 , 40 (4) , 163-168  (2009)
原著論文3
中西朋子, 佐藤陽子, 狩野照誉,他
「健康食品」の安全性・有効性情報Webサイトの認知度と提供情報に関する調査
臨床栄養 , 119 (2) , 207-213  (2011)
原著論文4
松本圭司, 高橋光明, 梅垣敬三,他
健康食品摂取に伴う健康被害報告の因果関係評価法の構築改定評価票による評価者間信頼性評価
臨床薬理 , 42 (4) , 211-214  (2011)
原著論文5
橋本洋子、佐藤陽子、中西朋子、他
幼児を持つ母親の食や栄養、サプリメントに関する知識と情報源
栄養学雑誌 , 69 (1) , 39-47  (2011)
原著論文6
Sato Y, Nakanishi T, Chiba T et al
Prevalence of inappropriate dietary supplement use among pregnant women in Japan
Prevalence of inappropriate dietary supplement use among pregnant women in Japan. Asia Pac J Clin Nutr , 22 (1) , 83-89  (2013)

公開日・更新日

公開日
2016-06-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201131008Z