安全衛生活動の費用対効果を算出する手法の開発とその公表ガイドの作成

文献情報

文献番号
201130016A
報告書区分
総括
研究課題名
安全衛生活動の費用対効果を算出する手法の開発とその公表ガイドの作成
課題番号
H23-労働・若手-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
永田 智久(産業医科大学 産業医実務研修センター)
研究分担者(所属機関)
  • 梶木 繁之(産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • 立石 清一郎(産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • 丸山 崇(産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • 永田 昌子(産業医科大学 産業医実務研修センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,748,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
安全衛生活動の費用対効果を可視化することで、事業者が自ら活動を評価し、効率的・効果的な活動を促進するとともに、その結果を外部に公表することで企業価値が高まることがインセンティブとなり、より一層、自主的活動が推進されることを目指す。そのため、安全衛生活動の費用対効果を算出するための手法を確立することを目的とする。
研究方法
(1)衛生・健康管理コストの算出:4社(いずれも製造業)の衛生・健康管理コストを集計表で算出した。また、1社(製造業)で実際に発生した災害について、事後的に災害コストの算出を行った。(2)安全衛生活動の評価指標の文献検索を実施した。(3)CSR関連報告書の記載内容の分析:東証一部上場企業を特定し調査対象(1703社)とし、PDFファイル形式で公表されている報告書の記述内容を確認し、集計および解析を行った。本研究は、産業医科大学倫理委員会の承認を得た。
結果と考察
(1)衛生・健康管理コストの算出:衛生・健康管理を担当する者の人件費は33,302-55,184円であった。一方、衛生・健康管理を担当しない者の人件費は21,437-200,716円と幅があった。経費額は、39,744-141,991円であった。また、1事業所(製造業)で災害(被災者1名の不休災害)が起こった後に企業が支出した費用を算出したところ、合計額は2,309千円であった。(2)評価指標として多かったのは、absenteeism, presenteeism, 業務上疾病数であった。また、productivityも多かったが、その定義が文献によって様々であった。(3)CSR関連報告書の記載内容の分析: 報告書公開率が2004年は26.7%であったところから、2010年には41.9%となり年々増加傾向にある。2011年の報告書の公表企業数(率)は575社(33.8%)であった。労働安全衛生に関する記述は2011年報告書1冊あたり1.5ページで、1冊の報告書に占める割合は3.6%であった。
結論
・衛生・健康管理コストを算出するツールを開発し、4事業場でデータを収集した。ツールは、http://ohtc.med.uoeh-u.ac.jp/health-accounting.htmlよりダウンロード可能である。・安全衛生活動の評価指標を「労働・安全レベル」「支出」「休業」「生産性、品質」「職場風土、労働者のモラル」に分類できた。・2004年以降、CSR報告書の分析を継続して実施している。ここ数年間、CSR報告書の記載内容に大きな傾向の変化は認めなかった。

公開日・更新日

公開日
2012-06-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201130016Z