健康な高齢労働者を有効に活用するためのエンプロィアビリティー評価手法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201130003A
報告書区分
総括
研究課題名
健康な高齢労働者を有効に活用するためのエンプロィアビリティー評価手法の確立に関する研究
課題番号
H21-労働・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
神代 雅晴(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門人間工学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 堀江 正知(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門産業保健管理学研究室)
  • 大和 浩(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門健康開発科学研究室)
  • 廣 尚典(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門精神保健学研究室)
  • 泉 博之(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門人間工学研究室)
  • 太田 雅規(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門健康開発科学研究室)
  • 樋口 善之(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門人間工学研究室)
  • 戸上 英憲(産業医科大学 産業医学研究支援施設生体情報研究センター)
  • 川波 祥子(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門産業保健管理学研究室)
  • 真船 浩介(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門精神保健学研究室)
  • 江口 泰正(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門健康開発科学研究室)
  • 佐藤 望(近畿大学 総合社会学部総合社会学科)
  • 榎原 毅(名古屋市立大学 大学院医学研究科環境保健学分野)
  • 舟橋 敦(マツダ健康推進センター)
  • 金 一成(トヨタ自動車㈱ 上郷工場診療所)
  • 赤津 順一(中部電力㈱ 浜岡原子力総合事務所浜岡診療所)
  • 杉村 久理(㈱アイ・ティ・フロンティア)
  • 三廻部 肇(日産自動車健康保険組合NTC地区診療所)
  • 青山 知高(トヨタ自動車㈱ 堤工場診療所)
  • 大槻 洋三(トヨタ自動車㈱ 貞宝工場診療所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成23年度は、エンプロイアビリティの評価を行うためのモデルの作成およびエンプロイアビリティ評価ツールに必要な評価指標を決定し、エンプロイアビリティモデルおよびツールの妥当性について検討する。
研究方法
平成22年度に行った身体的機能および労働と密接に関連する注意の集中維持機能ならび視覚探索機能、反応時間(単純・選択)、ワーキングメモリ機能、疲労自覚症、に関する実地測定調査、加えてメンタルヘルス状態、作業条件・適応能力等々に関する質問紙調査を用いて収集したデータ(質問紙調査の解析対象者は自動車製造業に従事する作業者2,502名、実値測定対象者は質問紙調査対象者から抽出)を解析し、エンプロイアビリティ評価ツールに必要な評価指標の検討を行った。この検討によりエンプロイアビリティの評価を行うためのモデルを作成した。
Dr.EAT質問項目およびWork Ability Indexを含む質問紙調査票を作成し、7企業1912名からDr.EAT関連データを収集した。収集したデータを用いて、エンプロイアビリティモデルの妥当性について検討した。
結果と考察
作成されたモデルは、“健康度”、“基本的仕事力”、“応用的仕事力”の3つの要素を持つ。このモデルおよび22年度に得られたデータを基にDr.EATの質問項目および以下に示す様な得点化の方法を決定した。
Dr.EAT = 健康度(軽度な健康障害+重大な健康障害×1.5+心身機能×1.5+運動習慣×3)
   +基本仕事力(ストレス対処能力×3+自覚的仕事力+汎用職務能力)
   +応用仕事力(仕事上の能力+疲労耐性×1.5+勤務への適応性×1.5)
収集したDr.EAT関連データを用いて、エンプロイアビリティモデルの妥当性について検討した結果、内部整合性を示すクーロンバックのα係数は、対象者全員においては0.60、45歳以上では0.62、45歳未満では0.59であった。
 これらの対象者に関して、Dr.EAT得点とWAIスコアとの間における相関を調べると、対象者全体では、Pearsonの相関係数は0.426(p<0.01)、45歳以上の対象者では0.475(p<0.01)、45歳未満では0.412(p<0.01)となり、45歳以上の対象者の方が高い相関を示した。
結論
“健康度”、“基本的仕事力”、“応用的仕事力”の3つの要素を持つエンプロイアビリティ評価ツール(Dr.EAT)を開発することが出来た。

公開日・更新日

公開日
2012-06-21
更新日
-

文献情報

文献番号
201130003B
報告書区分
総合
研究課題名
健康な高齢労働者を有効に活用するためのエンプロィアビリティー評価手法の確立に関する研究
課題番号
H21-労働・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
神代 雅晴(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門人間工学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 永田 頌史(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門精神保健学研究室 教授)
  • 堀江 正知(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門産業保健管理学研究室 教授)
  • 大和 浩(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門健康開発科学研究室 教授)
  • 廣 尚典(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門精神保健学研究室 教授)
  • 泉 博之(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門人間工学研究室 准教授)
  • 太田 雅規(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門健康開発科学研究室 講師)
  • Jemma Coleman(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門人間工学研究室 助教)
  • 樋口 善之(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門人間工学研究室 助教)
  • 戸上 英憲(産業医科大学 産業医学研究支援施設生体情報研究センター 助教)
  • 川波 祥子(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門産業保健管理学研究室 助教)
  • 真船 浩介(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門精神保健学研究室 助教)
  • 江口 泰正(産業医科大学 産業生態科学研究所健康支援部門健康開発科学研究室 助教)
  • 佐藤 望(近畿大学 総合社会学部 総合社会学科 准教授)
  • 榎原 毅(名古屋市立大学 大学院医学研究科環境保健学分野 講師)
  • 舟橋 敦(マツダ健康推進センター 産業医)
  • 金 一成(トヨタ自動車㈱上郷工場診療所 産業医)
  • 赤津 順一(中部電力㈱浜岡原子力総合事務所浜岡診療所 産業医)
  • 杉村 久理(㈱アイ・ティ・フロンティア 産業医)
  • 三廻部 肇(日産自動車健康保険組合NTC地区診療所 産業医)
  • 青山 知高(トヨタ自動車(株)堤工場 産業医)
  • 大槻 洋三(トヨタ自動車(株)貞宝工場 産業医 )
  • 佐々木 直子(三菱ふそうトラック・バス(株) 総務・労政部ヘルスケアセンター 産業医)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は産業医学的な視点、特に心身の健康側面に立脚して、機能年齢の視点から70歳現役を想定した日本独自のエンプロィアビリティー評価ツール(Dr. EAT)の開発・提供を目的とする。従前のエンプロィアビリティー評価では不足していた労働者個人の心身の健康度評価と労働に必要な注意の集中維持機能を始めとするメンタルキャパシティを組み込んだ独自のエンプロィアビリティーモデルに基づく評価システムを構築する。
研究方法
 本研究は3カ年計画で実施された。
 初年度である平成21年度においては、心身の状態および労働状況から労働者の生活・労働機能の前提条件となる健康度を把握するための質問項目と、労働能力の指標として確立されているワークアビリティー・インデックス(WAI)を併用した質問紙調査を実施した。これらの質問紙の統計解析を行い、労働能力の変動に影響を及ぼす要因を抽出した。
 平成22年度においては、労働の場に深く関与するメンタルキャパシティ評価指標に有効となる要因を探るために、身体的機能および労働と密接に関連する注意の集中維持機能ならび視覚探索機能、ワーキングメモリ機能とWAI得点との関係を検討した。併せて、高齢労働者のメンタルヘルス状態、作業条件・適応能力等々に関する質問紙調査を行った
 最終年度である平成23年度は、平成22年度に実地測定調査および質問紙調査を用いて収集したデータを解析し、エンプロイアビリティ評価ツールに必要な評価指標の検討を行い、エンプロイアビリティの評価モデルを作成した。その後、Dr.EAT質問項目およびWork Ability Indexを含む質問紙調査によって収集したデータを用いて、エンプロイアビリティモデルの妥当性について検討した。
結果と考察
 本研究で開発されたエンプロイアビリティ評価モデルは、“健康度”、“基本的仕事力”、“応用的仕事力”の3つの要素を持ち、このモデルに基づいて開発されたDr.EATは、以下に示す項目および得点化方法を有する。
Dr.EAT = 健康度(軽度な健康障害+重大な健康障害×1.5+心身機能×1.5+運動習慣×3)
   +基本仕事力(ストレス対処能力×3+自覚的仕事力+汎用職務能力)
   +応用仕事力(仕事上の能力+疲労耐性×1.5+勤務への適応性×1.5)
結論
“健康度”、“基本的仕事力”、“応用的仕事力”の3つの要素を持つエンプロイアビリティ評価ツール(Dr.EAT)を開発した。

公開日・更新日

公開日
2012-06-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201130003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究では、“健康度”、“基本的仕事力”、“応用的仕事力”の3つの要素を持つエンプロイアビリティの評価を行うためのモデルを作成し、自記式調査表によるエンプロィアビリティー評価システムを構築した。本研究によって開発されたエンプロィアビリティー評価システムは、定年延長/再雇用/就職を希望する高齢者の「雇用される能力」を簡便に自己診断評価するためのツールであり、高齢者が就業しやすい就労環境の整備を推進し、健康な高齢者による有効な労働力人口の確保につながる。
臨床的観点からの成果
定年延長/再雇用/就職を希望する高齢者が本研究で開発されたツールを用いて評価されたエンプロイアビリティの自己診断評価結果を活用することにより、定年後の再雇用あるいは定年延長の際に自己能力と職務要求とのミスマッチによる疾病や障害の発生を予防することが期待できる。また、自己診断評価結果に基づくエンプロイアビリティ向上に有効な活動を推奨し、高齢者の健康増進に貢献することが期待される。
ガイドライン等の開発
高齢労働者の定年後における再雇用や定年延長に関して高齢労働者および雇用者双方に利益が得られるような雇用に関するガイドラインの開発が求められる。本研究成果はそのようなガイドラインを開発するためのものではないが、本研究で開発されたエンプロイアビリティ評価ツールは、対象となる高齢労働者に適する職務を提供する上で有用な指標として用いることが出来る。
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
江口泰正 太田雅規 大和浩 他
労働形態別にみた自覚的ワークアビリティと体力との関係
健康開発  , 15 (12) , 52-57  (2011)

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201130003Z