今後のEBM普及促進に向けた診療ガイドラインの役割と可能性に関する研究

文献情報

文献番号
201129039A
報告書区分
総括
研究課題名
今後のEBM普及促進に向けた診療ガイドラインの役割と可能性に関する研究
課題番号
H22-医療・指定-042
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
中山 健夫(京都大学大学院医学研究科 健康情報学)
研究分担者(所属機関)
  • 飯塚 悦功(東京大学大学院工学系研究科 医療社会システム工学)
  • 棟近 雅彦(早稲田大学理工学術院 創造理工学部経営システム工学科)
  • 水流 聡子(東京大学大学院工学系研究科 医療社会システム工学)
  • 津谷 喜一郎(東京大学大学院 薬学系研究科 医薬政策学)
  • 稲葉 一人(中京大学法科大学院 法務研究科)
  • 森 臨太郎(一般社団法人 国際母子保健研究所)
  • 東 尚弘(東京大学大学院医学系研究科 公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
11,916,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
最良の臨床的エビデンスに基づき、患者の視点を反映した診療ガイドラインの作成・活用は、適切なEBMの推進に不可欠であり、医療の質向上や医療安全、さらには医療への社会的信頼の再生の観点からも重要な政策的課題の一つである。EBMを用いた診療ガイドラインの作成・利用は国内外で一般化しつつある。その伝統的な役割は臨床家・患者の意思決定支援であるが、医療の社会的信頼の再生に向け、診療ガイドラインの新しい役割、可能性を探る意義は大きい。
研究方法
本課題では適切なエビデンスが現場で実施されないエビデンス診療ギャップの問題、医療工学的に開発された患者状態適応型パスとの連携、エビデンスの系統的レビューと総意形成手法による診療質指標の開発、診療ガイドラインの法的位置づけ、医療経済的視点の適切な反映、利益相反のマネジメント、医療者、患者・家族等の意志決定支援やコミュニケーションの基点としての診療ガイドラインの役割・可能性の明確化など喫緊の課題に取り組んだ。
結果と考察
2012年度はPCAPSを用いたリンパ浮腫臨床プロセス設計から診療ガイドラインへの連携モデルを提示、添付文書の整合性、心臓リハビリテーションの診療質指標の開発、費用効果分析の反映の可能性を検討した。また日本消化器病学会、日本神経学会、日本内視鏡外科学会、日本睡眠歯科学会、医学情報サービス研究大会、日本矯正歯科学会、厚生労働科学研究での関節リウマチ診療ガイドライン班等で臨床家への情報提供と意見交換を実施した。診療ガイドラインが言及された裁判の事例検討からは、注意義務が医療者の判断を重視するようになったのに対して説明義務は患者の視点が重視されること、診療ガイドラインを基点とした説明とコミュニケーションが重要であることが指摘された。司法修習所(埼玉県和光市)では司法関係者への講演と意見交換を行った(2011年11月)。公益財団法人日本医療機能評価機構Mindsの意見交換会では代表者・中山と分担者・稲葉が本研究班の成果に基づく講演を行った(2011年12月)。成果還元のための一般向け公開フォーラムとして2012年2月に「診療ガイドライン-新たなステップへ-」を開催した。
結論
以上の取り組みの成果は各学会の診療ガイドライン作成と普及、法律関係者による適切な診療ガイドラインの利用に役立つことが期待される。

公開日・更新日

公開日
2012-05-30
更新日
-

文献情報

文献番号
201129039B
報告書区分
総合
研究課題名
今後のEBM普及促進に向けた診療ガイドラインの役割と可能性に関する研究
課題番号
H22-医療・指定-042
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
中山 健夫(京都大学大学院医学研究科 健康情報学)
研究分担者(所属機関)
  • 飯塚 悦功(東京大学大学院工学系研究科 医療社会システム工学)
  • 棟近 雅彦(早稲田大学理工学術院 創造理工学部 経営システム工学科)
  • 水流 聡子(東京大学大学院工学系研究科 医療社会システム工学)
  • 津谷 喜一郎(東京大学大学院薬学系研究科 医薬政策学)
  • 稲葉 一人(中京大学法科大学院 法務研究科)
  • 森 臨太郎(一般社団法人 国際母子保健研究科)
  • 東 尚弘(東京大学大学院医学研究科 公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
最良の臨床的エビデンスの系統的レビューに基づき、患者の視点を反映した診療ガイドラインの作成・活用は、EBMの推進に不可欠であり、医療の質や安全性の向上、社会的信頼の構築の観点からも重要な政策的課題の一つである。医療のバックボーンとも言える診療ガイドラインは、社会的認知が高まっているが、臨床現場が必ずしも診療ガイドラインの推奨を実施しないエビデンス診療ギャップの問題、医療工学的に開発された患者状態適応型パス(PCAPS)との連携、エビデンスの系統的レビューと総意形成手法による診療質指標の開発、診療ガイドラインの法的検討、医療経済的視点の反映、利益相反マネジメント、医療者、患者・家族等の意志決定支援やコミュニケーションの基点としての役割の明確化など喫緊の対応が求められている。
研究方法
近年の取り組みの到達点を踏まえ、診療ガイドラインが医療施策へ展開され、社会において適切に発展、機能することを目指して、関連諸課題の理論的・実証的研究に取り組み、日本社会において望まれる診療ガイドラインの在り方・方向性を提示する。
結果と考察
PCAPSを用いたリンパ浮腫臨床プロセス設計から診療ガイドラインへの連携モデルを提示、添付文書の整合性、心臓リハビリテーションの診療質指標の開発、費用効果分析の反映の可能性を検討した。裁判の事例検討からは、注意義務が医療者の判断を重視するようになったのに対し説明義務は患者視点が重視されること、診療ガイドラインを基点とした説明とコミュニケーションが重要であることが指摘された。公開フォーラム(2011年2月13日「診療ガイドライン:新たな課題と可能性を考える」、2012年2月12日「診療ガイドライン—新たなステップへ—」を開催し、関係者との意見交換の促進を図った。
結論
医療への関心の増大、社会の医療情報インフラの充実と共に、患者・国民と医療者・行政の関係の変化は加速されていく。診療ガイドラインが、臨床現場、そして社会で適切に認知されるにはEBMを基盤として患者の視点、経済的課題、医療制度、倫理、法律など多角的な検討を進める必要がある。それらを通して医療は社会における、そして社会に対してのアカウンタビリティとプロフェッショナリズムを問われるであろう。それらは医療者だけで取り組むべき課題、解決できる課題ではなく、様々な立場の関係者と社会的な合意形成の視点で、共に議論を進めていく必要があることを強調したい。

公開日・更新日

公開日
2012-05-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201129039C

収支報告書

文献番号
201129039Z