医療現場にとって必要な医療情報標準化の整備と利活用に関する研究

文献情報

文献番号
201129027A
報告書区分
総括
研究課題名
医療現場にとって必要な医療情報標準化の整備と利活用に関する研究
課題番号
H22-医療・一般-029
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
大江 和彦(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
研究分担者(所属機関)
  • 木村 通男(浜松医科大学医学部附属病院 医療情報部)
  • 近藤 克幸(秋田大学医学部附属病院 医療情報部)
  • 中島 直樹(九州大学病院 メディカルインフォメーションセンタ)
  • 山本 隆一(東京大学大学院 情報学環)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
標準化の恩恵を医療者、患者、中小ベンダーが実感できる導入は十分とは言えず、各種標準化規格をいかに現場レベルに浸透させ、医療の質の向上、安全性の向上、利便性の向上等につなげていくかが残された最大の課題である。これまで焦点をあててこなかった具体性のある課題に対して今後の技術展開を見据えつつ具体的課題の存在を整理し、その対策提言をとりまとめる。
研究方法
医療情報システム供給サイド、情報システム導入医療機関、医療機関でのシステム利用者(医療者)、患者(在宅・職場を含む)、そして診療後の情報管理サービス利用者に焦点があてられ、全体として医療情報のフローのなかで標準化に関するすべてのアクターに順に課題が割り当てられている点が特徴である。2年目はこれまでの調査分析を踏まえ、今後の課題と提言に向けたとりまとめを行った。
結果と考察
大江らにより臨床検査マスタについて詳細な調査、検討が行われた結果、メンテナンスに関わる課題があきらかになった。処方オーダにおける用法の標準コードが策定された。木村らの調査により、診療情報の施設間連携では、紹介状を筆頭として各種文書や検査結果、処方、画像などの情報の連携の重要性が高い結果を得た。近藤らの病院情報システムの操作ログ分析手法により,診療科に応じた類似性が見いだされた。中島らは、一般消費者やメーカーに対する標準規格に準拠した転送機能の実装に関する啓発を行うことの重要性を示唆した。山本らは、新たなガイドラインにおいて医療機関等と受託事業者の間で齟齬のない契約が可能になり、一定の安全性とコストダウンが期待されという意味で評価することができた。サーバ仮想化技術への対応など、現実的に監査可能な安全策の具体的提示にはいたっておらず、今後も継続的に検討が必要と考えた。
結論
エンドユーザへの周知が十分に図られていない標準もあり、さらなる周知体制、供給体制の改善が必要である。特に、臨床検査マスタと医薬品HOTコードマスタのメンテナンスやリリースの在り方にはユーザから不満が潜在的にあることが明らかで、こうした標準マスタのメンテナンス体制の事後点検体制も必要である。標準の恩恵を利用者が受け、適切な利用が推進されるためには、こうした課題を解決しておき、必要な隙間を埋める標準の作成、標準の利用指針の整備、利用指針を遵守するために必要なソフトウエア等の整備も必要である。

公開日・更新日

公開日
2012-05-29
更新日
-

文献情報

文献番号
201129027B
報告書区分
総合
研究課題名
医療現場にとって必要な医療情報標準化の整備と利活用に関する研究
課題番号
H22-医療・一般-029
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
大江 和彦(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
研究分担者(所属機関)
  • 木村 通男(浜松医科大学医学部附属病院 医療情報部)
  • 近藤 克幸(秋田大学医学部附属病院 医療情報部)
  • 中島 直樹(九州大学病院 メディカルインフォメションセンタ)
  • 山本 隆一(東京大学大学院 情報学環)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療情報領域の標準化で課題分析と施策提言につながる研究、標準化の推進のための各種活動を行い、その途中成果を厚労省医療情報標準化会議のメンバーとして厚労省標準の採択方針の考え方などにも一定の反映をしてきた。しかし、標準化の恩恵を医療者、患者、中小ベンダーが実感できる導入は十分とは言えず、各種標準化をいかに浸透させ、医療の質の向上、安全性の向上、利便性の向上等につなげていくかが残された課題でこの改善提言を行うことを目的とする。
研究方法
「中小ベンダー医療情報システムの標準化」「外部から来る医療情報の取り込みにおける、標準的形式利用の推進」「利用者視点の標準規格・マスタの活用方法」「患者を中心に流通する生体情報の標準的取り扱い」「データ外部保存委託サービス利用時におけるセキュリティポリシー」に課題を設定し、医療情報システム供給サイド、情報システム導入医療機関、医療機関でのシステム利用者(医療者)、患者(在宅・職場を含む)、そして診療後の情報管理サービス利用者に焦点をあて各分担者が調査分析した。
結果と考察
標準病名マスタの普及に対して、臨床検査マスタ、臨床検査データ交換規約、医薬品マスタはほとんど使用されていなかった。臨床検査マスタは頻用される項目のうち6割程度しかカバーされていないことが明らかになりメンテナンス体制の再検討が必要である。医療施設間で情報連携する場合の責任分界について公開シンポジウムで議論をした。情報提供側が、伝達すべき情報を明示した上で、電子的で大量データはあくまで参考資料として提供すべきであるという考え方が示された。
結論
標準の現場での利活用と普及について、モザイク状に進みつつあり、不十分あるいは不適切な利用も多い。また、不足している標準や、製品への実装の不十分さが目立つ。一方で、エンドユーザへの周知が十分に図られていない標準もあり、さらなる周知体制、供給体制の改善が必要である。今後、標準の恩恵を利用者が受け、適切な利用が推進されるためには、こうした課題を解決しておき、必要な隙間を埋める標準の作成、標準の利用指針の整備、利用指針を遵守するために必要なソフトウエア等の整備も必要である。標準用法マスタとPDIチェックツールが開発され学会HPなどを通じて公表した。また臨床検査マスタについてメンテナンスに関わる課題があきらかにし、新たな協議会を設立して問題解決方向に動き出した。

公開日・更新日

公開日
2012-05-29
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201129027C

収支報告書

文献番号
201129027Z