統合医療を推進するための日本伝統医学の標準化

文献情報

文献番号
201129010A
報告書区分
総括
研究課題名
統合医療を推進するための日本伝統医学の標準化
課題番号
H22-医療・一般-012
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
新井 信(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 村松 慎一(自治医科大学 地域医療学センター)
  • 日置 智津子(東海大学 医学部)
  • 東郷 俊宏(東京有明医療大学 保健医療学部 鍼灸学科)
  • 吉川 雅之(京都薬科大学)
  • 並木 隆雄(千葉大学大学院医学研究院)
  • 形井 秀一(筑波技術大学 保健科学部)
  • 花輪 壽彦(北里大学東洋医学総合研究所)
  • 小曽戸 洋(北里大学東洋医学総合研究所 医史学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
13,714,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本伝統医学である漢方と鍼灸は、他の東アジア伝統医学とは異なる独自の優れた医療技術や学問体系を備えている。しかし、近年国際標準化機構(ISO)に中医学の国際標準化を提訴した中国に対し、日本には国の標準として提起できる伝統医学の資料に乏しい状況である。教育においても日本伝統医学は臨床で広く普及しているにもかかわらず、標準的なテキストがなく、統一した教育は行われていない。これらを背景として、本研究では日本伝統医学の標準化に向けた学問的基盤構築を行うことを目的とした。
研究方法
平成22年度に引き続き、平成23年度は日本伝統医学の標準化に向けた学問的基盤作りを目的とし、基礎研究(各論的研究)として、日本漢方の医史学的研究、東アジア伝統医学の国際比較研究、地域医療における現状調査、腹診の標準化研究、医学部における卒前教育の現状調査などを行った。さらに基盤整備(総論的研究)として、これらの基礎研究の成果を『日本伝統医学テキスト(漢方編・鍼灸編)』に反映させ、標準化への基盤とした。用語は、(社)日本東洋医学会で定める用語集、国際標準化された用語(WHO-IST)と経穴名に準拠した。未収載用語は日本東洋医学会用語委員会と協議決定した。
結果と考察
 基礎研究として、伝統医学の標準化に関する国際比較研究では、中国、韓国、台湾を訪問して伝統医療の現状調査を行った。歴史に関する研究は、紀元5?6世紀に日本に伝来した古代中国医学が日本で多様に発展していく過程を医史学的に明らかにするとともに、日本漢方を特徴づける診察法についても文献的に考証した。地域医療における現状調査は、論文として地域のプライマリケアを担う総合医と鍼灸師に必要な伝統医学の標準的な知識、処方、技術などを明らかにした。腹診の標準化研究は、明治期以降の主要な文献および『傷寒論』『金匱要略』など、35文献を参照し、各漢方処方に現れる標準的な腹診として整理した。臨床で有用な質の高いエビデンスに関しても、最新の知見をテキストに反映させた。さらに、全国80大学医学部における漢方と鍼灸に関する伝統医学教育の現状をアンケート調査した。
基盤整備として、基礎研究で得た結果を踏まえて『日本伝統医学テキスト』を編集した。
結論
日本伝統医学の標準化に向けて、基礎研究を中心に学問的基盤を整備した。基盤整備として、それらの結果を『日本伝統医学テキスト』に反映させた。

公開日・更新日

公開日
2012-05-29
更新日
-

文献情報

文献番号
201129010B
報告書区分
総合
研究課題名
統合医療を推進するための日本伝統医学の標準化
課題番号
H22-医療・一般-012
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
新井 信(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 村松 慎一(自治医科大学 地域医療学センター)
  • 日置 智津子(東海大学 医学部)
  • 東郷 俊宏(東京有明医療大学 保健医療学部 鍼灸学科)
  • 吉川 雅之(京都薬科大学)
  • 並木 隆雄(千葉大学大学院医学研究院)
  • 形井 秀一(筑波技術大学 保健科学部)
  • 花輪 壽彦(北里大学東洋医学総合研究所)
  • 小曽戸 洋(北里大学東洋医学総合研究所 医史学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本伝統医学は中医学や韓医学などとは異なる優れた医療技術や学問体系を備えている。東アジア伝統医学の国際化が急速に展開する現状において、日本伝統医学の独自性と有用性を世界に向けて主張するには、その考え方の多様性を担保しつつも、一定の標準化が望まれる。さらに国内においても、地域医療に携わる医師の大半が漢方薬を使用している。このような国内外の状況をふまえ、本研究では日本伝統医学の標準化に向けた学問的基盤整備を目的とした。
研究方法
漢方、薬学、鍼灸の3領域について、標準化に向けた基礎研究として、日本漢方の医史学的研究、東アジア伝統医学の国際比較研究、地域医療における現状調査、腹診の標準化、医学部における卒前教育の現状調査などの研究を行った。さらに、基盤整備として、基礎研究の成果を『日本伝統医学テキスト(漢方編・鍼灸編)』に反映させ、日本伝統医学全体の標準化への基盤を整備した。用語は、(社)日本東洋医学会で定める用語集、国際標準化された用語(WHO-IST)と経穴名に準拠し、これらに未収載の用語は日本東洋医学会用語委員会と協議の上、決定した。
結果と考察
1.基礎研究
日本漢方の医史学的研究では、5?6世紀に伝来した古代中国医学が日本で多様に発展していく過程を医史学的に明らかにするとともに、日本漢方を特徴づける診察法についても文献的に考証した。東アジア伝統医学の国際比較研究では、中国、韓国、台湾を訪問して伝統医療の現状調査を行った。地域医療における現状調査では、地域のプライマリケアを担う総合医と鍼灸師に必要な伝統医学の標準的な知識、処方、技術などを明らかにした。腹診の標準化研究では、明治期以降の主要文献などを参照し、各漢方処方に現れる標準的な腹診として整理した。医学部における卒前教育の現状調査では、漢方と鍼灸に関する伝統医学教育の現状をアンケート調査した。これらの研究結果は研究班主催のシンポジウム等で公開した。
2.基盤整備
基礎研究の結果をふまえ『日本伝統医学テキスト』を編集した。この成果は対外的には国際交渉のツールとして、国内的には伝統医学教育テキストとして活用する。
結論
日本伝統医学の標準化は、漢方、薬学、鍼灸の各領域における広範囲かつ膨大な基礎的部分を標準化する作業の上に成り立つ。本研究成果を今後も繰り返し修正し、さらに各論的研究を充実させ、全体の標準化をいっそう進める必要がある。

公開日・更新日

公開日
2012-05-29
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201129010C

収支報告書

文献番号
201129010Z