HTLV-1関連脊髄症(HAM)の新規医薬品開発に関する研究

文献情報

文献番号
201128280A
報告書区分
総括
研究課題名
HTLV-1関連脊髄症(HAM)の新規医薬品開発に関する研究
課題番号
H23-難治・一般-126
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山野 嘉久(聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 吉良 潤一(九州大学大学院医学研究院)
  • 藤原 一男(東北大学大学院医学系研究科)
  • 菊地 誠志(国立病院機構 北海道医療センター)
  • 長谷川 泰弘(聖マリアンナ医科大 医学部)
  • 中川 正法(京都府立医科大学大学院医学研究科)
  • 中村 龍文(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 竹之内 徳博(関西医科大学)
  • 永井 将弘(愛媛大学医学部附属病院臨床薬理センター)
  • 高嶋 博(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
  • 渡嘉敷 崇(琉球大学大学院医学研究科)
  • 齊藤 峰輝(琉球大学大学院医学研究科)
  • 植田 幸嗣(理化学研究所 ゲノム医科学研究センター)
  • 外丸 詩野(北海道大学大学院医学研究科)
  • 上野 隆彦(聖マリアンナ医科大学 医学教育文化部門)
  • 松本 直樹(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 青谷 恵利子(北里大学 臨床薬理研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HAMは希少神経難病であり、いまだ患者の機能予後は不良で、新規医薬品の開発と治療法の確立が急務である。そこで本研究では、HAMの新薬開発研究と本格的な臨床試験実施体制を構築して互いにリンクさせ、HAMの新規医薬品開発を目指す。
研究方法
(1)HAM患者登録システムの構築
(2)HAM臨床研究ネットワークの構築とクリニカルクエスチョン案の作成
(3)臨床試験検討委員会の構築と国際共同臨床試験のプルトコール作成
(4)医師主導治験候補薬の検証
(5)患者サンプルセンターの構築と新規医薬品候補のシーズ探索
結果と考察
HAMは希少疾患であるため、患者は様々な医療機関に点在し、その情報が集約されておらず、HAMの病態形成の全貌は未だ不明である。本研究で構築した「HAM患者登録システム」は、全国規模で様々な背景の患者登録が可能であることが示され、HAMの病態を理解する上で強力なツールと考えられた。また、全国のHAM専門医で「臨床研究ネットワーク」を組織し、臨床試験を実施する上で十分な症例集積性を実現した。さらに、専門家の視点によるクリニカルクエスチョン案を提示し、今後の臨床研究の課題を明確にした。本研究では臨床薬理学や生物統計学者等も加わり「検討委員会」を組織、世界を代表するHAM研究者らと協力して国際共同試験のプロトコール作成を進め、主要な「評価項目」やそのデータに基づいた必要症例数の算出に成功した。今後は本試験を実施することで、HAMの臨床研究に重要な「国際標準の評価項目」に関する情報や治療エビデンスを創出できると考えられる。さらに、治験薬の候補として既に我々がHAMへの有効性を示し特許申請済みである抗CCR4抗体の検証試験を完了。HAMにおける強力な抗感染細胞活性と抗炎症活性を証明し、医師主導治験の実施に向け国内製薬企業と準備に着手した。また、患者サンプルセンターの構築も完了、別の新規医薬品候補(抗CXCL10抗体)を同定し特許出願、456種類のリード化合物の一次スクリーニングを完了した。
結論
HAMの本格的な臨床試験実施基盤が構築され、今後は国際共同試験や医師主導治験を進めることで、治療エビデンスの創出や新規医薬品の開発が可能になると期待され、本研究の遂行はHAM治療法確立の推進に大きく貢献すると強く期待できる。

公開日・更新日

公開日
2013-03-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128280Z