Perry(ペリー)症候群の診断および治療方法の更なる推進に関する研究

文献情報

文献番号
201128279A
報告書区分
総括
研究課題名
Perry(ペリー)症候群の診断および治療方法の更なる推進に関する研究
課題番号
H23-難治・一般-124
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
服部 信孝(順天堂大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 坪井 義夫(福岡大学 医学部)
  • 佐藤 栄人(順天堂大学 医学部)
  • 富山 弘幸(順天堂大学 医学部)
  • 斉木 臣二(順天堂大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 Perry症候群はパーキンソニズム,うつ,体重減少,低換気をきたす予後不良の稀な遺伝性疾患とされる.2009年坪井らのグループによりDCTN1が原因遺伝子として報告されたが,本邦2家系を含む世界で9家系のみの報告で,分布や頻度、臨床像は明らかでない.L-Dopa反応性の症例もあり,パーキンソン病(PD)との異同が問題である.DCTN1は筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因遺伝子であることも報告されていた.
 このような背景の中,その診断基準を作成し,世界及び本邦での疾患の分布,頻度およびその実態を明らかにすることを本研究の主目的とした.さらには,医学の向上から,間接的には行政及び国民の保健・医療・福祉の向上等社会へ貢献することを究極の目的とした.
研究方法
 昨年度までのDNAバンク症例中,日本の973例に対し,DCTN1の変異解析を行った.正常対照の解析も行い,解析可能な家系では家系内での変異の共分離も確認し,病的変異としての意義を確認した.変異陽性家系については同意を得た上で実地診療に赴き,変異陽性患者を実際に診察の上,検査所見を検討,解析した.G71A変異についてはジェノタイピングを行い推定ハプロタイプから創始者効果の有無を検証した.
 その情報に基づき,国際臨床診断基準(案)を世界のPerry症候群患者の担当医,世界のPerry症候群患者の研究者とともに作成した.
 また,機能解析は細胞実験でdynactinの凝集の確認,dynactin凝集体の局在の確認,免疫組織化学・生化学的検討を行った.ハエのモデル動物も作成した.
結果と考察
 日本に少なくとも5家系24人の患者が存在することが明らかとなり,地域特異性,創始者効果の有無,有病率,分布など疫学調査を進めることができた.新規変異も同定できた.5家系とも九州に存在したが,G71A変異については共通祖先からの創始者効果であることが推定された.実地診療に基づく臨床dataの蓄積もでき,これらの結果が得られたことにより,臨床像の評価に基づき,臨床診断基準の作成・再検討を行った.
 また,今年度は,さらに未報告の新規変異をもつ九州地方の1家系の情報を得ることができたが,これまでのPerry症候群の臨床像と若干異なる部分もあり,診断基準に反映していく予定である.
結論
 Perry症候群の遺伝学的疫学的解析を進めるとともに国際臨床診断基準案を作成した.機能解析も並行し,モデル動物の作成を行い,評価を進めている.これらのことから,Perry症候群の実態の把握から病態の解明,治療に繋がっていくことが期待された.

公開日・更新日

公開日
2013-03-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128279Z