早期発症型侵襲性歯周炎(遺伝性急性進行型歯槽膿漏症候群)の診断基準確立の更なる推進に関する研究

文献情報

文献番号
201128267A
報告書区分
総括
研究課題名
早期発症型侵襲性歯周炎(遺伝性急性進行型歯槽膿漏症候群)の診断基準確立の更なる推進に関する研究
課題番号
H23-難治・一般-112
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
村上 伸也(大阪大学 大学院歯学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 森崎 裕子(国立循環器病研究センター 分子生物学部)
  • 梅澤 明弘(国立成育医療研究センター 生殖・細胞医療研究部)
  • 齋藤 正寛(東京理科大学 基礎工学部)
  • 北村 正博(大阪大学 大学院歯学研究科)
  • 山田 聡(大阪大学 歯学部附属病院)
  • 山崎 和久(新潟大学 大学院医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究課題では、早期発症型侵襲性歯周炎の診断基準および技術を確立することを目的として、平成22年度の研究をさらに推進する。すなわち、国立循環器病研究センター歯周病外来において、マルファン症候群患者を対象に歯周組織検査を行う。さらに、マルファン症候群モデルマウスを用いた病態解析を行い、これらの成果をもとにして早期発症型侵襲性歯周炎の診断基準および技術の確立を目指す。
研究方法
マルファン症候群と早期発症型侵襲性歯周炎の関連を解析するために、国立循環器病研究センター病院に新たに開設した歯周病外来において、マルファン症候群患者約200人を対象に、歯周病の罹患実態を調査する。マルファン症候群の歯周組織検査を行い、歯周病の罹患実態について統計学的に解析する。加えて、全身疾患、特に心疾患と侵襲性歯周炎との関連性について疫学調査を行う。さらに、マルファン症候群モデルマウスを用いた病態解析を行い、最終的に早期発症型侵襲性歯周炎の診断基準の確立を目指す。
結果と考察
国立循環器病研究センター病院に開設した歯周病外来において、マルファン症候群および類縁患者患者97名について歯周組織検査を行った結果、高口蓋を伴う歯列不正や歯周組織の炎症などの口腔内所見が得られた。さらに、マルファン症候群類縁疾患であるロイス・ディーツ症候群と早期発症型侵襲性歯周炎との関連性が示唆され、培養歯根膜細胞の実験結果から、同細胞の硬組織形成分化過程においてTGF-bシグナルが重要な役割を担っていることが明らかとなった。また、早期発症型侵襲性歯周炎患者ゲノムの解析条件設定を行った結果、早期発症型侵襲性歯周炎患者ゲノムのCGH解析にはADM2Threshold=6が最適と判断できた。さらに歯周病原細菌Porphyromonas gingivalisSU63株に対する抗体価が高いほど、歯周炎患者では動脈硬化性疾患に罹患する危険性が高まることが示された。また、マルファン病モデル動物を用いて歯周組織の創傷治癒機構を解析した結果、ADAMTSL6bをマルファン症候群モデル動物の歯根膜に局所投与すると、微細線維形成不全のみならず創傷治癒不全も改善することが判明した。
結論
歯周病原性細菌に対する抗体価が高い歯周炎患者では動脈硬化性疾患に罹患する危険性が高まること、マルファン症候群の類縁疾患であるロイス・ディーツ症候群は侵襲性歯周炎の発症と関連があること、ADAMTSL6bの異常が歯周組織の異常とマルファン症候群の発症に関連していることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2013-03-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128267Z