NOD2変異に関連した全身性炎症性肉芽種性疾患(ブラウ症候群/若年発症サルコイドーシス)の診療基盤促進

文献情報

文献番号
201128259A
報告書区分
総括
研究課題名
NOD2変異に関連した全身性炎症性肉芽種性疾患(ブラウ症候群/若年発症サルコイドーシス)の診療基盤促進
課題番号
H23-難治・一般-103
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
神戸 直智(千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 松江 弘之(千葉大学 大学院医学研究院)
  • 池田 啓(千葉大学 医学部附属病院)
  • 金澤 伸雄(和歌山県立医科大学 医学部)
  • 武井 修治(鹿児島大学 医学部)
  • 西小森 隆太(京都大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
家族集積性のあるブラウ症候群および弧発例としての若年発症サルコイドーシスは,NOD2遺伝子の変異を背景に肉芽腫を来たし,本研究事業では「全身性炎症性肉芽腫性疾患」と総称する。しかし,NOD2の活性化が肉芽腫を形成させる機序は明らかでない。また,疾患概念が浸透しておらず,病勢を進行させている印象を抱いた。このため本事業では,実態調査を行うとともに疾患概念の浸透を図ること,患者検体におけるNOD2の活性化を検証し病態を明確化すること,関節エコーによる観察が臨床評価に有用であるかを検討することを目的とした。
研究方法
前年度のアンケート調査に引き続き本年度は眼科を対象にアンケートを実施し,疾患概念の浸透と疑診例の発掘を図った。NOD2変異が同定された患者から末梢血を採取し,発現する遺伝子の網羅解析を行った。また,関節エコーでの評価を対象患者数を増やして検討した。
結果と考察
前年度の調査と同じく500床以上の入院施設を有する病院の眼科宛に874通のアンケートを送付し,271通の返信を回収した(回収率:34.6%,このうち該当診療科がないという返信が24施設)。該当症例がある施設は12施設に留まり,診断確定例15例,疑い症例3例,また小児期発症のサルコイドーシスが8例という結果であった。前年度の小児科,皮膚科,整形外科,内科を対象としたアンケートで集積された症例との重複や詳しい臨床情報の収集に関しては,来年度の調査を予定している。患者末梢血で発現する遺伝子の網羅解析では,定常状態では末梢血CD14陽性単球におけるNOD2の発現がほとんど見られず,健常コントロールとの間に差異のある遺伝子発現がほとんど見られなかった。このため,ビタミンD3の添加により末梢血CD14陽性単球が抗菌ペプチドの発現とともにNOD2の発現を亢進することを確認し,現在この状態での遺伝子発現の網羅解析を継続している。超音波検査で関節病変を評価する症例数を増やし,炎症の主座が腱鞘滑膜であること,自然寛解し得ること,しかし長期的な経過の結果,関節破壊を来し得ることが示された。
結論
本症の臨床像は特徴的であるため,医療関係者等の関心を高めることができれば,適切な医学的対応が可能となり,生活に支障を来す重度障害の予防ができる。このため,疾患の紹介と情報提供を今後も継続して行う必要があると考えた。

公開日・更新日

公開日
2013-03-04
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128259Z