弾性線維性仮性黄色腫の病態把握ならびに診断基準作成

文献情報

文献番号
201128258A
報告書区分
総括
研究課題名
弾性線維性仮性黄色腫の病態把握ならびに診断基準作成
課題番号
H23-難治・一般-102
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
宇谷 厚志(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 谷岡 未樹(京都大学 大学院医学研究科)
  • 北岡 隆(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 築城 英子(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 田村 寛(京都大学 医学部附属病院)
  • 前村 浩二(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 山本 洋介(京都大学 大学院医学研究科)
  • 荻 朋男(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 服部 友保(群馬大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
実態調査をおこない、その結果を統計学的に検討することにより、PXE診断基準を作成する。 ABCC6遺伝子解析方法を確立させ、PXE遺伝子診断の拠点を構築する。本研究により患者相談窓口の充実、疾患や受診施設情報の発信によってQOLの向上を図ることが可能となる。
研究方法
1.臨床疫学調査によるPXE患者の把握 
全国医療機関の、皮膚科、眼科、循環器科へ臨床調査個人票を送る。調査項目作成は皮膚・眼・心血管のそれぞれの専門家が班員として作成した。
2.遺伝子診断
同意を得られた患者のDNAサンプルを用いてABCC6のdirect sequenceを行い、遺伝子変異を同定した。
結果と考察
集計された141例のうち129例に皮疹が認められ、9例に皮疹は存在しなかった。141例中109例(77.3%)に病理学的変化を認めていた。9症例は、全ての例において組織検査で弾性線維変性が確認できている。このことから、皮疹と組織所見を組み合わせることで診断の感度が上がると考えられる。
全症例141例中、眼科症状は108例に認めた。網膜色素線条、網膜オレンジ皮様外観が、他では認められないがPXEには高率に認められる所見であることが確認された。
本邦の虚血性心疾患、脳梗塞の有病率を考えるとPXE患者での虚血性心疾患ならびに脳梗塞の割合は極めて高率である。従って、PXE症例においての病変は、その多くが弾性線維性仮性黄色種を原因とする動脈病変によるものと考えられる。
PXE皮疹の非連続性分布に着目し、皮疹分布部位ごとに皮疹あり、なしをアンケートで質問し、それぞれ1点、0点とした。その結果、別表のごとく高い皮疹スコア、口腔粘膜疹の存在などが、循環器症状と相互相関するという結果がでた。すなわち、皮疹スコアが高い患者、口腔粘膜疹がある患者は循環器異常と相互相関するため、より積極的に検査・治療を進めるべきである。
結論
診断基準を作成した。また遺伝子診断は、24例で検索を終了し、軽症例の診断を含めて、診断に役立てている。
A.診断項目
 a 皮膚病変がある
 b 皮膚病理検査で弾性線維石灰化をともなう変性がある
 c 網膜色素線条がある
 d ABCC6遺伝子変異がある
B.診断
I. 確診:(aまたはb)かつ c
II. 疑診:(aまたはb)のみ、cのみ
   注意:疑診例に遺伝子変異を証明できた場合は、確実とする。

公開日・更新日

公開日
2013-03-12
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128258Z