Aicardi症候群の疾患病態解明と診断・治療法の開発研究

文献情報

文献番号
201128256A
報告書区分
総括
研究課題名
Aicardi症候群の疾患病態解明と診断・治療法の開発研究
課題番号
H23-難治・一般-100
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
三宅 紀子(横浜市立大学 医学部 遺伝学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 直通(横浜市立大学大学院 医学研究科)
  • 加藤 光広(山形大学 医学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Aicardi症候群は、1965年にAicardiらにより初めて報告された脳梁欠損、網脈絡膜異常、点頭てんかんを三主徴とする先天性奇形症候群である。本症候群は、稀な疾患であるため頻度、原因、疾病病態は殆ど解明されていない。非常に予後不良の疾患であるが、治療法も確立されていない。より良い医療を提供するためにも、本疾患の実態把握と、早急な原因解明が急務であると考える。そこで本研究は、Aicardi症候群の疫学・臨床像を正確に把握するとともに、疾患責任遺伝子を単離・同定することを第一の目的とする。
研究方法
本年度は、脳梁欠損以外のAicardi症候群にみられる脳病変の特徴を明らかにするために、昨年度我々が施行した全国疫学調査で把握されたAicardi症候群の頭部画像を収集し、MRIで脳梁完全欠損が確認された16例の画像所見を解析した。また、責任遺伝子を同定するために、X染色体に特化し独自にデザインした高密度アレイによる微細コピー数異常の検出と、エキソームキャプチャーを併用した次世代シークエンサーによる塩基配列解読(エキソームシークエンス)の2つのシステムを用いて解析を行った。
結果と考察
今回行ったAicardi症候群の頭部画像所見の検討により、脳梁欠損以外に特徴的な病変を示すことが明らかとなり、従来の臨床所見に加え画像所見による診断基準の確立が必要であると考えられた。
X染色体に特化した高密度アレイ解析により20症例を解析したが、今回病的なコピー数異常は同定されなかった。次世代シークエンサーによる塩基配列解読は、まずX染色体のコード領域を網羅するゲノム分画を行い、次世代シークエンサーGenome Analyzer IIx(illumina社)を用いて塩基配列を解読したが、X染色体上にde novo変異を同定しなかった。そこで、遺伝的異質性及び常染色体上に責任遺伝子がある可能性も考慮し、常染色体・性染色体両方を網羅するゲノム分画を用いてエキソーム解析を行った。さらに de novo変異を効率よく同定する目的で、患者と両親検体を用いてトリオ解析を行った。塩基配列解読およびSanger法による検証の結果、4家系中3家系でそれぞれ1個のアミノ酸置換を伴うde novoの塩基置換を同定した。現在、それらの候補の病的意義についての検証を進めている。
結論
責任遺伝子の候補となるde novo変異を3個同定することができたが、すべて異なる遺伝子上の変異であった。それらの病的意義について慎重に検討を進めるとともに、症例数を増やして解析を進めていく。

公開日・更新日

公開日
2013-03-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128256Z