Menkes病・occipital horn症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発

文献情報

文献番号
201128247A
報告書区分
総括
研究課題名
Menkes病・occipital horn症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発
課題番号
H23-難治・一般-091
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
児玉 浩子(帝京大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小川英伸(帝京大学 医学部 )
  • 藤澤千恵(帝京大学 医学部 )
  • 新宅治夫(大阪市立大学大学院医学研究科)
  • 清水教一(東邦大学 医学部)
  • 黒澤健司(神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター)
  • 顧艶紅(国立成育医療研究センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Menkes病(MD)は銅の腸管・血液脳関門等での銅輸送障害により、銅欠乏による重篤な中枢神経障害や結合織異常を呈する。本症患児の殆どは神経障害発症後の生後3か月以降に診断される。しかし神経障害発症後では現在の治療・ヒスチジン銅皮下注射は効果がなく、神経障害は進行する。早期治療開始で神経障害は多少予防できるが、結合織障害は予防できない。したがって早期診断法と有効な治療法の開発が待たれている。Occipital horn症候群(OHS)はMDの軽症であるが、発症頻度は不明で、治療法もない。
本研究の目的は(1)実態調査で両疾患の発症頻度及び神経症状発症前の患児の特徴を明らかにし、早期診断基準を作成し、(2)MD、OHS患者に“ヒスチジン銅皮下注射とジスルフィラム(ノックビン)の併用療法”という新規治療を試み、その効果・副作用を検討し、治療指針を提唱することである。
研究方法
1.早期診断のための病歴調査・広報活動
2.新規治療法(ジスルフィラム経口投与とヒスチジン銅皮下注射の併用療法)の効果の検討 
①Macularマウスでの新規治療の効果の解析 
②患者への新規治療の実施
結果と考察
全国2次調査結果では、在胎週数に対する出生時の体重、身長、頭囲は対象児と差がなかったが、64例のMD患者の26.6%は小奇形を合併しており、これは全国の先天奇形の発症率である1.9%より有意に高かった。主な小奇形は、高口蓋、小頭症、脳または肺のう胞、房室ブロック、眼裂狭小であった。これら奇形を合併する児では本症を疑う必要がある。
モデルマウスでは、併用療法で脳の銅濃度、チトクロームC オキシダーゼ活性の改善が認められた。7例のMD患者、1例のOHS患者で新規併用法をジスルフィラム投与は30mg/日から開始し、徐々に増量し、現在、約100mg/日(2.5~10mg/kg/日)で経過を観察している。副作用は見られておらず、数例で臨床症状や血清銅・セルロプラスミン濃度の改善が認められている。
結論
MDおよびOHSは希少疾患で、現在有効な治療法がない。全国アンケート調査の2次調査で、発症前の症状・所見を明らかにした。これらの結果を踏まえて早期診断法が提唱できると考えられる。
新規治療法に関しては、現在治療中の患者で副作用は見られておらず、数例で臨床症状の改善や血清銅・セルロプラスミン、骨密度等の改善が認められている。より詳細に経過を評価して、来年度中に治療指針を提唱する予定である。

公開日・更新日

公開日
2013-03-04
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128247Z