混合性結合組織病の病態解明、早期診断と治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201128186A
報告書区分
総括
研究課題名
混合性結合組織病の病態解明、早期診断と治療法の確立に関する研究
課題番号
H23-難治・一般-030
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
吉田 俊治(藤田保健衛生大学 医学部 )
研究分担者(所属機関)
  • 岡本 尚(名古屋市立大学大学院医学研究科)
  • 川口 鎮司(東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 川畑 仁人(東京大学医学部)
  • 桑名 正隆(慶応義塾大学医学部)
  • 田中 住明(北里大学医学部)
  • 中西 宣文(独立行政法人国立循環器病研究センター)
  • 深谷 修作(藤田保健衛生大学医学部 )
  • 藤井 隆夫(京都大学大学院医学研究科)
  • 松下 雅和(順天堂大学医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
18,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
混合性結合組織病(MCTD)は、複数の膠原病の要素を持ち抗U1-RNP抗体陽性という特徴を持つ予後良好な疾患として提唱された。しかし一般には非常に稀な肺高血圧症(PH)が最大の死因になるなど、難治性病態の存在も明らかとなった。抗U1-RNP抗体自身の病原性の解明、難治性病態の中で特に肺動脈性肺高血圧症(PAH)の病態解明と診断・治療法の確立を目的とする。
研究方法
プロジェクト研究として2つの研究を行う。1)MCTDおよびMCTD合併PAHの遺伝子レベルの解析。以前の三森班で集積した生体試料バンクを用いてNOS2遺伝子多型と全ゲノム関連解析を行う。また現在の班でも生体試料バンクへの登録を続行する。2)MCTDのPAH診断の手引きの検証。平成23年3月に厚労省MCTD研究班で改訂されたMCTDのPAH診断の手引きについて検証を行う。右心カテーテル検査をゴールドスタンダードとして後ろ向き調査と前向き調査を行う。そのほか各個研究も行う。
結果と考察
強皮症(SSc)においては、MCTDと同様にNOS2遺伝子多型がPAH発症と関連した。しかし全身性エリテマトーデス(SLE)ではその関連が認められず、SLEにおけるPAHの発症機序は、MCTDやSScにおける機序と異なっていることが示唆された。2.各個研究:(1) CTによる肺動脈径や大動脈径の計測、血清LR11がPHの診断に有用である可能性が示された。また膠原病PAH患者の剖検例の多くに静脈閉塞所見が認められた。(2)間質性肺炎とPAHを同時に発症するトランスジェニックマウスの開発やリンパ球減少マウスへのT細胞移入による自己抗体誘導マウスモデルを用いた抗U1-RNP抗体産生機序の検討が進んだ。(3)NO血管拡張能が末梢循環障害の評価に有用である可能性があり、また併発感染症の誘発因子として累積ステロイド投与量、IgG減少量が抽出された。(4)抗U1-RNP抗体陽性で精神神経症状を有した場合、脳脊髄液中の抗U1-RNP抗体は臨床的意義を有し、その中枢神経障害にインターフェロンαやMCP-1関与の可能性がある。
結論
遺伝子多型や全ゲノムSNPタイピングによりMCTDそのものやMCTD合併PAHの遺伝子レベルの解析をさらに進める。また、PAHの診断の手引き改定案の検証をすすめていく。

公開日・更新日

公開日
2013-03-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128186Z