運動失調症の病態解明と治療法開発に関する研究

文献情報

文献番号
201128170A
報告書区分
総括
研究課題名
運動失調症の病態解明と治療法開発に関する研究
課題番号
H23-難治・一般-014
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
佐々木 秀直(北海道大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 宇川 義一(福島県立医科大学 医学部)
  • 岡澤 均(東京医科歯科大学 難治疾患研究所)
  • 小野寺 理(新潟大学 脳研究所)
  • 吉良 潤一(九州大学 大学院医学研究院)
  • 祖父江 元(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 高嶋 博(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 瀧山 嘉久(山梨大学 医学工学総合研究部)
  • 武田 篤(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 田中 真樹(北海道大学 大学院医学研究科)
  • 辻 省次(東京大学 医学部附属病院)
  • 永井 義隆(独立行政法人国立・精神神経医療研究センター 神経研究所)
  • 中島 健二(鳥取大学 医学部医学科)
  • 中村 和裕(群馬大学 大学院医学系研究科)
  • 西澤 正豊(新潟大学 脳研究所)
  • 貫名 信行(独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)
  • 水澤 英洋(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 宮井 一郎(大道会森之宮病院 神経リハビリテーション研究部)
  • 吉田 邦広(信州大学 医学部)
  • 若林 孝一(弘前大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
46,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遺伝性脊髄小脳変性症の20%、及び孤発性SCDは原因不明であり、根治的治療法や予防法は確立していない。当研究班は、原因の解明されていない疾患の病因解明、病態機序の解明と創薬候補の探索、重症度・治療評価系の開発の三つを目標とした。
研究方法
分子遺伝子研究は次世代シーケンサやマイクロアレイなどを活用した解析体制を構築した。ポリグルタミン病、SCA31は、病態の分子機構を多角的に検討した。重症度・治療効果の評価系は、既存スケールを用いて自然歴調査を継承すると共に、画像解析、分子マーカー、神経生理学検査法など、定量可能な評価系を試みた。
結果と考察
遺伝性SCDの新規変異を二つ明らかにした。MSAではゲノムコピー数多型の解析、家系内多発家系の連鎖解析などにより素因遺伝子の解明が進められている。SCA31とSCA36では転写RNAに高親和性を示す核内因子の探索、SCA7翻訳タンパクの分子病態機序、臨床試料でのポリグルタミン重合体検出、内在性の重合阻止因子であるHsp40がエクソゾームにより細胞外へ分泌されること、選択的オートファジーの制御分子p62のS403リン酸化が凝集体分解を促進すること、MSAの病態にオートファジー系の障害が関与していること、PKCγ変異を導入したSCA14モデル動物の神経機能障害、などを明らかにした。MSAのバイオマーカーとしてはMSA-Pでは嗅覚テストの感度の高いこと、末梢血MMP3とTIMP1濃度が男性患者の重症度と相関すること、髄液サイトカインや白血球の遺伝子発現解析から炎症性因子の亢進していること、MRIパラメーターの経時的変化と撮影の課題などを検討した。自然歴関係では、CAGリピート数の発病寄与率が環境や遺伝的背景に影響されること、ジョセフ病(MJD)は転倒骨折の多いこと、重症度の経年変化もSCA6よりMJDで大きいことを明らかにした。生理学的指標としては、指タッピング運動、プリズム眼鏡下での偏倚適応能、運動の予測制御や適応学習の障害を考慮した課題が試みられ、重症度との相関が検討された。いずれも目的に沿った成果であり、今後の発展が期待される。
結論
今年度の研究成果を発展させ、モデル系作成、創薬候補化合物のスクリーニングなどにつなげる。また評価系は治療効果の判定ツールとして引き続き開発を継続する。

公開日・更新日

公開日
2013-03-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128170Z