原発性高脂血症に関する調査研究

文献情報

文献番号
201128167A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性高脂血症に関する調査研究
課題番号
H23-難治・一般-011
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
石橋 俊(自治医科大学 医学部 内科学講座 内分泌代謝学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 信博(筑波大学)
  • 及川 眞一(日本医科大学 内科学講座 血液・消化器・内分泌代謝部門)
  • 白井 厚治(東邦大学医療センター佐倉病院 内科・血管機能学講座)
  • 代田 浩之(順天堂大学 医学部 循環器内科学講座)
  • 山下 静也(大阪大学大学院 医学系研究科 循環器内科学講座 循環器脂質研究室)
  • 太田 孝男(琉球大学大学院 医学研究科 育成医学講座)
  • 武城 英明(千葉大学大学院 医学研究院 臨床遺伝子応用医学 )
  • 荒井 秀典(京都大学大学院 医学研究科 人間健康科学系専攻)
  • 小林 淳二(金沢大学大学院 医学系研究科 脂質研究講座)
  • 島野 仁(筑波大学大学院 人間総合科学研究科 内分泌代謝・糖尿病内科)
  • 林 登志雄(名古屋大学 医学部附属病院 老年内科)
  • 平田 健一(神戸大学大学院 医学研究科 内科学講座 循環器内科学分野)
  • 後藤田貴也(東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター 臨床分子疫学講座)
  • 斯波真理子(国立循環器病研究センター研究所 病態代謝部)
  • 大須賀淳一(自治医科大学 内科学講座 内分泌代謝学部門)
  • 石垣 泰(東北大学大学院 医学系研究科 分子代謝病態学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
23,333,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
原発性高脂血症の遺伝子異常の分子疫学的研究を推進し、有効な遺伝子診断法を確立する。また、予後調査を行い、それらのデータに基づいた診療ガイドラインの改訂を行う。
研究方法
高トリグリセリド(TG)血症の遺伝子解析、家族性高コレステロール血症(FH)の診断基準・重症度分類、家族性Ⅲ型高脂血症の診断基準、HDL代謝異常の病態解析、冠動脈疾患のリスクエンジンについて解析した。
結果と考察
1. 高度高TG血症の遺伝的要因としてアポ蛋白A-V変異の関与が示された。
2. 急性冠症候群におけるFHの頻度は5-10%であった。FHの診断に、LDL-C 180mg/dL以上を用いるのが適切であった。LDL-Cが250mg/dL以上の場合にはそれだけでFHを強く疑うことができると考えられた。また、未治療時LDL-C値が260 mg/dL以上、あるいはアキレス腱厚が14.5 mm以上の例では冠動脈硬化症リスクが極端に高いことが示された。FHの診断基準として以下を提案する。①未治療時LDL-C値180mg/dL以上、②腱黄色腫あるいは皮膚結節性黄色腫、③FHあるいは早発性冠動脈疾患の家族歴(2親等以内)の2項目以上を満たす場合にFHと診断する。
3. アポ蛋白B48/トリグリセリド比は、治療中の家族性Ⅲ型高脂血症においても診断的価値が高いことが示された。
4. 原発性低HDL-C血症を呈する家族性レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ欠損症では、粒子サイズの大きなリポ蛋白分画が腎障害の原因となる可能性が示唆された。また、血管内皮リパーゼは血中HDL-Cを規定する因子であることが示された。
5. 2型糖尿病の冠動脈病変の予測には、従来のリスクスコアにmax-IMTやLDL/HDL比を追加することで検出率が向上する。
6. 極低出生体重児の学童期には、脂質異常症やインスリン抵抗性は軽微であった。
7. 動脈硬化性疾患のリスクとしての脂質に年代差がある可能性が示唆された。
8. 日本人を含む東アジア人に特有な遺伝子座・SNPは報告されていない。
結論
今年度の研究により、FHの新診断基準と重症度に関する知見、家族性Ⅲ型高脂血症の有望な診断指標、高TG・低HDL-C血症に関する分子疫学的基盤、動脈硬化性症のリスク検出の向上が得られた。

公開日・更新日

公開日
2013-03-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128167Z