中枢性摂食異常症に関する調査研究

文献情報

文献番号
201128166A
報告書区分
総括
研究課題名
中枢性摂食異常症に関する調査研究
課題番号
H23-難治・一般-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
小川 佳宏(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 芝崎 保(日本医科大学大学院医学研究科)
  • 児島将康(久留米大学分子生命科学研究所)
  • 正木孝幸(大分大学医学部)
  • 中尾一和(京都大学大学院医学研究科)
  • 久保千春(九州大学病院)
  • 中里雅光(宮崎大学医学部)
  • 尾崎紀夫(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 鈴木眞理(政策研究大学院大学)
  • 堀川玲子(国立成育医療研究センター)
  • 遠藤由香(東北大学病院)
  • 岡本百合(広島大学保健管理センター)
  • 間部裕代(熊本大学医学部附属病院)
  • 横山 伸(長野赤十字病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
13,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国における若年女性の理想体重に対する認識は大きく変化し、中枢性摂食異常症患者と予備軍は増加しており、発症の低年齢化が進んでいる。しかしながら、本症は心療内科的な対応しかできない難治性疾患であり、有効な治療法がない。本調査研究の目的は、中枢性摂食異常症の成因・病態に関する基礎研究と臨床研究を組み合わせて本症の新しい治療法と予防法の開発を推進することである。
研究方法
基礎研究では、摂食・エネルギー代謝調節関連分子あるいは受容体の遺伝子改変動物を用いて、中枢性摂食異常症の成因と病態に関する摂食・エネルギー代謝調節の分子機構と中枢性摂食異常症における主要な中枢性神経伝達分子の病態生理的意義を検討した。臨床研究では、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)や近赤外線スペクトロスコピーなどの方法論も導入し、摂食障害の病態の解析を開始した。前年度までに設置した「摂食障害のプライマリケアを援助する基幹医療施設のネットワーク形成を目指したWG」により、小学生・中学生・高校生を対象とした全国疫学調査のパイロット研究を開始した。
結果と考察
基礎研究では、絶食時の骨髄B細胞分化障害におけるレプチンの病態生理的意義、中枢性摂食異常症や関連病態におけるCRFや神経ヒスタミンあるいはグレリンの生理的・病態生理的意義を明らかにした。臨床研究では、f-MRIを用いた食欲異常と脳神経活動の解析、神経性食欲不振症患者の低栄養状態が心身へ及ぼす影響、神経性食欲不振症(制限型)に対するグレリン投与による脳血流変化の解析、近赤外線スペクトロスコピーによる神経性食欲不振症の中枢神経機能障害の探索、神経性食欲不振症患者の骨質マーカーの検討、小児思春期摂食障害の内分泌合併症に関する検討を進めた。学校現場を対象とした全国疫学調査に向けて、パイロット研究として東京を中心とした首都圏における実態調査を進め、首都圏での神経性食欲不振症の実態把握と調査の妥当性を検討するともに、全国ネットワーク拠点(東京都、宮城県、長野県、愛知県、広島県、福岡県、熊本県、宮崎県)において全国実態調査の準備を進めた。
結論
中枢性摂食異常症の成因・病態に関する基礎研究と臨床研究を推進した。中枢性摂食異常症の克服に向けて有効な予防法と治療法に関する基盤データの集積と全国の実態調査が推進し、患者自身のQOL の向上とともに本症患者と予備軍の減少により医療福祉行政における経済損失の抑制につなげたい。

公開日・更新日

公開日
2013-03-12
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128166Z