副腎ホルモン産生異常に関する調査研究

文献情報

文献番号
201128165A
報告書区分
総括
研究課題名
副腎ホルモン産生異常に関する調査研究
課題番号
H23-難治・一般-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
柳瀬 敏彦(福岡大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 諸橋 憲一郎(九州大学大学院 医学研究院)
  • 宮本 薫(福井大学 医学部)
  • 加藤 茂明(東京大学 分子生物学研究所)
  • 田中 廣壽(東京大学 医科学研究所)
  • 高柳 涼一(九州大学大学院 医学研究院)
  • 成瀬 光栄(京都医療センター 臨床研究センター)
  • 長谷川 奉延(慶應義塾大学 医学部)
  • 田島 敏広(北海道大学大学院 医学研究科)
  • 勝又 規行(国立成育医療研究センター 研究所)
  • 棚橋 祐典(旭川医科大学 医学部)
  • 西川 哲男(横浜労災病院)
  • 宮森 勇(福井大学 医学部)
  • 柴田 洋孝(慶應義塾大学 医学部)
  • 武田 仁勇(金沢大学大学院 医学系研究科)
  • 曽根 正勝(京都大学大学院 医学研究科)
  • 佐藤 文俊(東北大学病院)
  • 岩崎 泰正(高知大学 臨床医学部門)
  • 笹野 公伸(東北大学大学院 医学系研究科)
  • 上芝 元(東邦大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
33,981,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
副腎ホルモン産生・作用異常症の実態把握と病因・病態の解明により、適切な診断・治療法を提示する。
研究方法
(1)全国疫学調査:平成22年度報告の全国調査の対象疾患のうち、H23年度は21水酸化酵素欠損症(21OHD)、原発性アルドステロン症(PA)についてサブ解析を行った。(2) 施設研究としてサブクリニカルクッシング症候群(SCS)の予後調査を行った。(3)基礎・臨床研究:PA診断法や成因に関する研究等を行った。
結果と考察
(1)全国調査のサブ解析の結果、PAのアルドステロン/レニン(ARR)>200の陽性率は83%、副腎静脈サンプリング(AVS)施行は66%と判明し、H10年調査時よりAVS施行率の上昇を認めた。21OHDの全国調査サブ解析から成人身長は糖質コルチコイド(GC)投与下で男女とも低身長傾向でコントロール不十分な実態が明らかとなった。SCSは予後不明で副腎腺腫摘出手術の適応が明確でない。患者予後調査により高血圧、糖尿病を合併するSCSでは手術によりこれらの改善を認めた。今後、大規模調査を予定している。
(2)ACTH不応症のAllgrove症候群5家系で原因変異を同定し臨床的特徴を解明した。
(3)間葉系幹細胞へのSF-1導入によりAII応答性のアルドステロン産生細胞を創出した。SF-1標的遺伝子として解糖系酵素遺伝子群が同定され、SF-1による副腎細胞増殖との関連が示唆された。
(4)アルドステロン産生腺腫(APA)患者では他病型に比べACTH負荷後のPACが高値であり、末血18-oxocortisol濃度もAPA診断に有用であった。これらはAVSを必要とするAPA症例の選別に有用である。AVS時のカテーテル挿入の迅速判定にコルチゾール迅速半定量測定が有用で、超選択的AVSによりAPAの片側副腎部分切除術が可能であることが示された。
(5)GC誘発性筋萎縮機序としてmTOR活性抑制、ユビキチンリガーゼ発現亢進による骨格筋同化抑制と異化促進機序が示された。偽性アルドステロン症I型の原因遺伝子であるミネラルコルチコイド受容体発現を負に制御する新規因子p150が同定された。
(6)APAの病因としてKチャンネルのKNCJ5遺伝子変異が日本人APA例においても体細胞変異として確認された。
結論
得られた成果は、本領域の疾患の病態の理解、新たな診断法や治療法の開発に有用である。

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128165Z