文献情報
文献番号
201128142A
報告書区分
総括
研究課題名
先天白内障の原因究明と診断基準の創生
課題番号
H22-難治・一般-183
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
東 範行(独立行政法人 国立成育医療研究センター 外科系専門診療部 眼科)
研究分担者(所属機関)
- 不二門 尚(大阪大学大学院 医学系研究科感覚機能形成学分野)
- 石橋 達朗(九州大学大学院 機能制御医学部門構造機能学講座眼科学部門)
- 佐藤 美保(浜松医科大学 眼科学教室)
- 近藤 峰生(三重大学大学院医学系研究科生命医科学専攻 神経感覚医学講座)
- 大鹿 哲郎(筑波大学大学院 人間総合科学研究科疾患制御医学専攻眼科学)
- 黒坂 大次郎(岩手医科大学医学部 眼科学講座)
- 永本 敏之(杏林大学医学部 アイセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
先天白内障に関して、全国の主要な治療機関と連携し、診断と機能評価および治療の適応の決定に用いる基盤的資料を収集し、診断・治療プロトコールを作成する。
研究方法
Ⅰ.白内障手術の全国調査:1)2005-2009年の先天・発達白内障手術の調査 2)眼内レンズ(IOL)2次移植の調査
Ⅱ.手術技術の開発:1)手術補助剤や観察システムの工夫 2)小切開創手術の切開創治癒の前眼部光干渉断層計(OCT)
Ⅲ.術前後の評価:1)IOL手術後の前眼部OCTと術後眼圧上昇の検討 2)弱視程度や中枢視機能を判定する視覚誘発電位(VEP)3)小児用の網膜電図(ERG)検査の開発
Ⅳ.早期発見法:小児科医による1ヶ月および4ヶ月健診
Ⅱ.手術技術の開発:1)手術補助剤や観察システムの工夫 2)小切開創手術の切開創治癒の前眼部光干渉断層計(OCT)
Ⅲ.術前後の評価:1)IOL手術後の前眼部OCTと術後眼圧上昇の検討 2)弱視程度や中枢視機能を判定する視覚誘発電位(VEP)3)小児用の網膜電図(ERG)検査の開発
Ⅳ.早期発見法:小児科医による1ヶ月および4ヶ月健診
結果と考察
Ⅰ.1)IOL挿入群(A群)と非挿入群(B群)を比較した。術前合併症はB群に多く、IOL挿入率は1歳未満11.3%、1歳27.1%、2歳45.2%で、3歳以上は75%以上であった。術後合併症は、緑内障はB群で多く、術式、小眼球合併が影響した。後発白内障はA群が多かった。術後視力は、0.8以上の良好例はA群が多く、0.1以下の不良例はA群が少なかった。
2)本邦ではIOL2次移植を行う施設は少なく、慎重である。海外報告も数施設のみで、術後合併症は緑内障が32%に上るので、適応は慎重にすべきである。
Ⅱ.1)手術の補助剤として水晶体嚢染色用Brilliant BlueGや、手術観察システムを開発した。
2)小切開創手術での角膜切開創では、stromal hydration効果は1週間持続する一方、デスメ膜剥離,gapingの微細構造異常は1週間で消失し,切開創が約1週で安定する。
Ⅲ.1)IOL手術後は、嚢内固定群は嚢外固定群と比較し虹彩-角膜角が大きかった。ある程度眼球が成長してからのIOL手術は、緑内障発症からは安全と考えられた。一過性眼圧上昇はIOL2次挿入眼で慎重な観察を要する。
2)手術適応決定で弱視や中枢視機能を判定するVEPを検討した。1-2歳に検査・適応決定・手術、3-4歳の視力は両眼性0.3-0.6、片眼性0.08-0.2であった。Flash VEPは治療適応決定に最も有用である。3)従来の小児ERGはflash ERGのみであったが、皮膚電極を用いた杆体反応とflicker反応の記録法を開発した。
Ⅳ. 小児科医の1ヶ月・4ヶ月健診において、73%で瞳孔反射を小児科医が確認でき、乳児スクリーニングは実行可能である。
2)本邦ではIOL2次移植を行う施設は少なく、慎重である。海外報告も数施設のみで、術後合併症は緑内障が32%に上るので、適応は慎重にすべきである。
Ⅱ.1)手術の補助剤として水晶体嚢染色用Brilliant BlueGや、手術観察システムを開発した。
2)小切開創手術での角膜切開創では、stromal hydration効果は1週間持続する一方、デスメ膜剥離,gapingの微細構造異常は1週間で消失し,切開創が約1週で安定する。
Ⅲ.1)IOL手術後は、嚢内固定群は嚢外固定群と比較し虹彩-角膜角が大きかった。ある程度眼球が成長してからのIOL手術は、緑内障発症からは安全と考えられた。一過性眼圧上昇はIOL2次挿入眼で慎重な観察を要する。
2)手術適応決定で弱視や中枢視機能を判定するVEPを検討した。1-2歳に検査・適応決定・手術、3-4歳の視力は両眼性0.3-0.6、片眼性0.08-0.2であった。Flash VEPは治療適応決定に最も有用である。3)従来の小児ERGはflash ERGのみであったが、皮膚電極を用いた杆体反応とflicker反応の記録法を開発した。
Ⅳ. 小児科医の1ヶ月・4ヶ月健診において、73%で瞳孔反射を小児科医が確認でき、乳児スクリーニングは実行可能である。
結論
先天白内障のIOL手術の予後と2次挿入の実態を全国調査で明らかにした。手術の技術改善、新規検査システム、早期発見法の開発を行った。
公開日・更新日
公開日
2013-03-12
更新日
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