原発性リンパ浮腫患者におけるリンパ機能評価による重症度分類と新たな治療法の検討

文献情報

文献番号
201128116A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性リンパ浮腫患者におけるリンパ機能評価による重症度分類と新たな治療法の検討
課題番号
H22-難治・一般-156
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
前川 二郎(横浜市立大学 附属病院 形成外科)
研究分担者(所属機関)
  • 青木 一郎(横浜市立大学大学院医学研究科 分子病理学)
  • 井上 登美夫(横浜市立大学大学院医学研究科 放射線医学)
  • 雫石 一也(横浜市立大学大学院医学研究科 放射線医学)
  • 三上 太郎(横浜市立大学大学附属病院形成外科)
  • 安村 和則(横浜市立大学大学附属病院形成外科)
  • 細野 味里(横浜市立大学大学附属病院形成外科)
  • 友枝 裕人(横浜市立大学大学附属病院形成外科)
  • 矢吹 雄一郎(横浜市立大学大学附属病院形成外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
23年度ではリンパシンチやICG蛍光赤外リンパ管造影によるリンパ機能の評価をさらに積み増し、原発性リンパ浮腫のタイプ分類を完成する。さらにこの分類に応じた最適な治療法(保存療法と外科療法の組み合わせ)のプロトコールを作成し、新たな治療法確立の一助とする.
研究方法
リンパシンチによるリンパ機能の評価を行い、得られた画像所見のタイプを分類し、重症度・病期分類を検討した.また、術中の創から一部皮膚の生検を行い、皮膚の変化について病理学的検討を行った.浮腫肢の皮下組織硬度を圧センサー付き超音波診断装置で測定した.手術例で原発性におけるリンパ管静脈吻合術の効果検討を行い、リンパシンチタイプ別の弾性着衣の選択についてフローチャートを作成した.これらから、保存療法と外科療法を組み合わせた新たな治療法の結果を検討した.
結果と考察
23年度では下肢原発性リンパ浮腫症例をさらに積み増し、リンパシンチ分類を行った.リンパの皮膚逆流パターンDBFの確認できる部位によってタイプⅠからⅤ(タイプⅣは中枢リンパ管残存群と非残存群でⅣAとⅣB)に分類した.122部位のリンパ浮腫皮膚病理所見の検討を行った結果、続発性リンパ浮腫例と比較して真皮内リンパ管数が有意に少なく、原発性リンパ浮腫のリンパ低形成を裏付ける結果となった.慢性リンパ浮腫患肢の硬さを、筋硬度測定用超音波画像装置を用いて押し付け力に対する皮膚・皮下組織厚の変化として計測し検討を行った.リンパシンチでタイプが進み重症とされている症例ほどヤング率は低く、皮下組織が柔らかいという結果になった.リンパ管静脈側端吻合術の術後の体積変化や長期開存に関する研究では、原発性と続発性例で吻合部開存に差はなく、原発性リンパ浮腫における有用性を確認した.この外科療法と保存療法を組み合わせる治療法が効果的であると考えられた.下肢リンパ浮腫でのリンパシンチ分類別の弾性着衣使用評価を行い、シンチ分類が上がるにつれ着圧を上げる工夫が必要であった.
結論
原発性リンパ浮腫のリンパ機能評価による重症度分類としてタイプⅠからⅤに分類した.新たな治療法の検討として、タイプ別に患者QOLを改善する弾性着衣の選択方法を確立し、弾性着衣を中心とした保存療法とリンパ管静脈吻合術を主体とする外科療法の組み合わせによる新たな治療法の効果性が確認された.

公開日・更新日

公開日
2013-03-28
更新日
-

文献情報

文献番号
201128116B
報告書区分
総合
研究課題名
原発性リンパ浮腫患者におけるリンパ機能評価による重症度分類と新たな治療法の検討
課題番号
H22-難治・一般-156
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
前川 二郎(横浜市立大学 附属病院 形成外科)
研究分担者(所属機関)
  • 青木 一郎(横浜市立大学 大学院医学研究科 分子病理学)
  • 井上 登美夫(横浜市立大学 大学院医学研究科 放射線医学)
  • 雫石 一也(横浜市立大学 大学院医学研究科 放射線医学)
  • 三上 太郎(横浜市立大学大学 附属病院 形成外科)
  • 山本 康(横浜市立大学大学 附属病院 形成外科)
  • 細野 味里(横浜市立大学大学 附属病院 形成外科)
  • 友枝 裕人(横浜市立大学大学 附属病院 形成外科)
  • 矢吹 雄一郎(横浜市立大学大学 附属病院 形成外科)
  • 安村 和則(横浜市立大学大学 附属病院 形成外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
原発性リンパ浮腫の原因、病状、診断、治療についての詳細な報告はごくわずかでリンパ機能という点から分類した報告はない.本研究の目的は原発性リンパ浮腫の客観的な診断と機能的評価を行い、重症度分類を試み、さらにリンパ機能分類に応じた保存療法と外科治療による新たな治療法を確立することである.
研究方法
リンパシンチグラフィー(リンパシンチ)によるリンパ機能の評価を行い、得られた画像所見のタイプを分類し、重症度・病期分類を検討した.また、術中の創から一部皮膚の生検を行い、皮膚の変化について病理学的検討を行った.手術例でリンパ管静脈吻合術の効果検討を行い、保存療法と外科療法を組み合わせた新たな治療法の結果を検討した.浮腫患肢の硬さを客観的に評価するために、超音波プローブに圧力センサーを内蔵した新たな診断機器を用い、皮膚皮下組織の硬度を計測し浮腫重症度との関係を検討した.さらに、リンパシンチタイプ別の弾性着衣の選択と使用法について検討した.
結果と考察
原発性リンパ浮腫患者82例100肢のシンチ分類ではリンパの皮膚逆流パターンDBFの確認できる部位によってタイプⅠからⅤ(タイプⅣは中枢リンパ管残存群と非残存群でⅣAとⅣB)に分類した.リンパ浮腫皮膚病理所見の検討を行った結果、続発性リンパ浮腫例と比較して真皮内リンパ管数が有意に少なく、原発性リンパ浮腫のリンパ低形成を裏付ける結果となった.慢性リンパ浮腫患肢の硬さを、筋硬度測定用超音波画像装置を用いて押し付け力に対する皮膚・皮下組織厚の変化として計測し検討を行った.リンパシンチでタイプが進み重症とされている症例ほどヤング率は低く、皮下組織が柔らかいという結果になった.リンパ管静脈側端吻合術の術後長期開存に関する研究では、原発性と続発性例で吻合部開存に差はなく、原発性リンパ浮腫における有用性を確認した.この外科療法と術前後の保存療法を組み合わせる治療法が効果的であると考えられた.下肢リンパ浮腫でのリンパシンチ分類別の弾性着衣使用評価を行い、シンチ分類が上がるにつれ着圧を上げる工夫が必要であった..
結論
原発性リンパ浮腫は有効な診断法があまりなく、リンパシンチを中心としたリンパ機能評価を行い診断する必要がある.また、保存治療には看護師、理学療法士、セラピストなど様々な職種が関わり、外科治療と共に職種を越えた複合的な治療を行うことが必要である.

公開日・更新日

公開日
2013-03-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201128116C

収支報告書

文献番号
201128116Z