文献情報
文献番号
201128114A
報告書区分
総括
研究課題名
リンパ浮腫治療へのbreak throughを目指して
課題番号
H22-難治・一般-154
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
福田 尚司(国立国際医療研究センター 心臓血管外科)
研究分担者(所属機関)
- 浜崎 辰夫(国立国際医療研究センター研究所 細胞組織再生医学研究部)
- 記村 貴之(国立国際医療研究センター研究所 細胞組織再生医学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
リンパ浮腫は現在までに有効な治療法が確立されていない。私たちは抗血小板療法としてcilostazolを投与したリンパ浮腫患者に、症状の寛解が見られた症例を経験した。これはPDE3(cGMP-inhibited phosphodiesterase)阻害作用によるリンパ管内皮細胞活性化効果が関与していると推測している。この推測を検証すべく今研究の実施を計画した。
研究方法
今研究は臨床研究と基礎研究パートに分かれる。
前者ではCTによる皮下断面積を主要評価項目とし、理学所見、皮膚毛細血流およびシンチグラフィにてcilostazolおよびaspirinのリンパ浮腫に対する効果を判定するRCTである。後者ではヒトリンパ管内皮細胞、トランスジェニックリンパ浮腫マウスおよびマウスリンパ浮腫モデルを用い、今仮説の検証および作用機序の同定を行う。
前者ではCTによる皮下断面積を主要評価項目とし、理学所見、皮膚毛細血流およびシンチグラフィにてcilostazolおよびaspirinのリンパ浮腫に対する効果を判定するRCTである。後者ではヒトリンパ管内皮細胞、トランスジェニックリンパ浮腫マウスおよびマウスリンパ浮腫モデルを用い、今仮説の検証および作用機序の同定を行う。
結果と考察
リンパ浮腫に対する治療において、cilostazolの内服と電動式波動型末梢循環促進装置の使用を組み合わせた治療は、原発性あるいは2次性の如何に拘わらず、片側肢浮腫で罹患期間が1年前後の場合、完全寛解率は80%と高率で、自宅において高齢者でも実行可能で有効性の高い治療法であると考えられた。また、効果不十分な治療に対する抵抗性を持つと考えられる症例の存在が認められた。これはリンパ浮腫罹患期間および罹患肢数(両側か片側か)に強く影響を受けているため、より早期の治療介入が重要と考えられた。基礎研究部分においては、ヒトリンパ管内皮の培養細胞を用いたin vivoの実験系で、cilostazolには、細胞の増殖を促進するとともに遊走を促進する効果が認められた。また、同薬剤にリンパ管障害の条件下でリンパ管新生の促進によるリンパ液輸送能の改善を認めた。
結論
臨床研究部分においては、cilostazol内服と電動式波動型マッサージ機の複合療法はリンパ浮腫の治療に対し一定の治療効果を認めた。
基礎研究部分においては、cilostazolはリンパ管障害の条件下でリンパ管新生を促進することでリンパ管輸送を改善することが示唆され、リンパ浮腫の有効な治療薬の選択肢となりうると考えられた。
基礎研究部分においては、cilostazolはリンパ管障害の条件下でリンパ管新生を促進することでリンパ管輸送を改善することが示唆され、リンパ浮腫の有効な治療薬の選択肢となりうると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2013-03-28
更新日
-