文献情報
文献番号
201128107A
報告書区分
総括
研究課題名
原因不明の慢性好酸球性肺炎の病態解明、新規治療法、およびガイドライン作成に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-難治・一般-147
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 正実(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 長瀬 隆英(東京大学医学部附属病院・呼吸器病学)
- 玉利 真由美(理化学研究所 ゲノム医科学研究センター呼吸器疾患研究チーム)
- 森 晶夫(独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
原因不明の慢性好酸球性肺炎(CEP)の病因病態、予後因子などは世界的にも明らかにされていない。標準的治療法も未確立である。
研究方法
①新規発症頻度・予後
②発症機序、寄生虫感染や環境真菌の関与
③バイオマーカー、予後予測因子
④病態解析、細胞モデル、動物モデル
⑤遺伝子解析
⑥情報公開・診断治療指針の手引き
②発症機序、寄生虫感染や環境真菌の関与
③バイオマーカー、予後予測因子
④病態解析、細胞モデル、動物モデル
⑤遺伝子解析
⑥情報公開・診断治療指針の手引き
結果と考察
1)新規発症(喘息から)の検討を行い、再燃例や肺機能低下例が非常に多いこと、難治性血管炎(Churg-Strauss 症候群)への移行が少なくないこと(24%)を証明した。また一般成人喘息患者前向き研究で1.5%に経過中にCEPが発症することが判明した。しかし一方では、(高用量ICSの影響か)難治性喘息においてはCEP発症がここ10年で減少していることも明らかとなった。
2)新規発症例での各種寄生虫や多種環境真菌の血清抗体価の上昇がなく、否定的であった。
3)CEPのバイオマーカーとして尿中ロイコトリエン濃度が病勢に応じて増加するだけでなく、著明高値例では、再燃やCSS発症が有意に多く予後予測因子になることを見出した。一方、抗炎症性メディエーターであるLXsの新規代謝産物を尿中で初めて同定し、その低下が好酸球性炎症の程度と相関することを見出した(CEA 2011)。さらに唾液検体も有望な好酸球性メディエーター指標となる可能性を見出した(AI 2011)。
4)T細胞のIL-5産生能がin vivoにおける好酸球活性化に関連していることを証明した(森)。Cys-LTs関連および新規転写コアクチベーターTAZノックアウトマウスの解析し、好酸球性炎症との関連を証明した(長瀬)。
5)好酸球活性化に関わる遺伝子TSLP, IL-33, IL-25の多型と検討したが、有意な相関は認められなかった。(玉利)。
6)過去文献国内誌183主要論文、海外誌251主要論文(総説を含む)を解析した。また今回の結果をふまえて、その要旨は教科書に掲載予定(2012)であり、さらにHPに公開予定である。
2)新規発症例での各種寄生虫や多種環境真菌の血清抗体価の上昇がなく、否定的であった。
3)CEPのバイオマーカーとして尿中ロイコトリエン濃度が病勢に応じて増加するだけでなく、著明高値例では、再燃やCSS発症が有意に多く予後予測因子になることを見出した。一方、抗炎症性メディエーターであるLXsの新規代謝産物を尿中で初めて同定し、その低下が好酸球性炎症の程度と相関することを見出した(CEA 2011)。さらに唾液検体も有望な好酸球性メディエーター指標となる可能性を見出した(AI 2011)。
4)T細胞のIL-5産生能がin vivoにおける好酸球活性化に関連していることを証明した(森)。Cys-LTs関連および新規転写コアクチベーターTAZノックアウトマウスの解析し、好酸球性炎症との関連を証明した(長瀬)。
5)好酸球活性化に関わる遺伝子TSLP, IL-33, IL-25の多型と検討したが、有意な相関は認められなかった。(玉利)。
6)過去文献国内誌183主要論文、海外誌251主要論文(総説を含む)を解析した。また今回の結果をふまえて、その要旨は教科書に掲載予定(2012)であり、さらにHPに公開予定である。
結論
多角的かつ国際的なレベルで、CEPの病態、予後、バイオマーカーを臨床的基礎的アプローチで解明しえた。このうち、幾つかは世界初の成績も含まれており、CEP医療に貢献できたと思われる。
公開日・更新日
公開日
2013-03-28
更新日
-