胎児診断における難治性脳形成障害症の診断基準の作成

文献情報

文献番号
201128091A
報告書区分
総括
研究課題名
胎児診断における難治性脳形成障害症の診断基準の作成
課題番号
H22-難治・一般-131
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山崎 麻美(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 井関 祥子(国立大学法人 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 伊東 恭子(京都府立医科大学大学院 医学研究科)
  • 宇都宮 英綱(国際医療福祉大学大学院 放射線診断科)
  • 岡本 伸彦(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 遺伝診療科)
  • 加藤 光広(山形大学医学部附属病院 小児科学講座)
  • 上口 裕之(独立行政法人理化学研究所 神経成長機構研究チーム)
  • 金村 米博(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター EBM先進医療研究開発部 再生医療研究室)
  • 小崎 健次郎(慶應義塾大学医学部 小児科学教室)
  • 齋藤 伸治(名古屋市立大学大学院 医学研究科 新生児・小児医学分野)
  • 坂本 博昭(大阪市立総合医療センター 小児脳神経外科)
  • 白根 礼造(宮城県立こども病院 脳神経外科)
  • 西山 健一(新潟大学脳研究所 脳神経外科)
  • 夫 律子(クリフム夫律子マタニティクリニック 臨床胎児医学研究所)
  • 師田 信人(国立成育医療研究センター 脳神経外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、①胎児診断における難治性脳形成障害症の診断基準の作成、及び②新規治療法開発に向けた病態解析研究を支援する臨床病態、画像情報、遺伝子情報、患者由来生体試料(組織・細胞・DNA)などのデーターバンクの構築である。
研究方法
患者の臨床データおよび画像データを収集した。症例登録、閲覧検討のための班会議独自のデータサーバーを立ち上げ、全ての登録は、webでおこなう。全国の症例登録協力病院から、臨床データおよび画像登録を行う。匿名化を行い閲覧・症例検討サイトにアップし、臨床データや画像データを検討する。必要に応じて、遺伝子解析、病理解析、CGHアレイなどを利用して、未知の遺伝子解析を行う。患者由来生体試料(神経組織、胎盤組織、臍帯、羊水、絨毛、臍帯血、皮膚組織、末梢血のバンク化を行う。また一部、患者細胞由来神経幹細胞、間葉系幹細胞iPS細胞の樹立をおこなう。2歳時の予後の調査を行う。診断に至る方法の有効性を検証し、診断基準を策定する。
結果と考察
本研究班が、症例が多く集まる病院の協力を得られた結果、症例登録協力施設18施設から約200例の症例登録があった。サーバーを利用した遠隔診断システムを用い、これまでに105例のレポートを作成している。神経放射線学的診断、分子遺伝子学的診断、病理学的診断方法を駆使し、確定診断がされた。患者生体試料は、15施設から合計255検体の試料の提供を受け、DNA試料115検体、培養細胞試料140検体を分離・樹立し、各々保管した。またこのような難治性疾患において、診断に至るプロセスそのものが、診断基準の基礎となる。
結論
胎児診断における難治性脳形成障害症の診断基準の作成を目的として開始した本研究班が採用したシステムは、画期的で、今後の希少疾患のコンサルテーションシステムの構築の参考になる。

公開日・更新日

公開日
2013-03-12
更新日
-

文献情報

文献番号
201128091B
報告書区分
総合
研究課題名
胎児診断における難治性脳形成障害症の診断基準の作成
課題番号
H22-難治・一般-131
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山崎 麻美(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 井関 祥子(国立大学法人 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 伊東 恭子(京都府立医科大学大学院 医学研究科)
  • 宇都宮 英綱(国際医療福祉大学大学院 放射線診断科)
  • 岡本 伸彦(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府母子保健総合医療センター 遺伝診療科)
  • 加藤 光広(山形大学医学部附属病院 小児科学講座)
  • 上口 裕之(独立行政法人理化学研究所 神経成長機構研究チーム)
  • 金村 米博(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター EBM先進医療研究開発部 再生医療研究室)
  • 小崎 健次郎(慶應義塾大学医学部 小児科学教室)
  • 齋藤 伸治(名古屋市立大学大学院 医学研究科 新生児・小児医学分野)
  • 坂本 博昭(大阪市立総合医療センター 小児脳神経外科)
  • 白根 礼造(宮城県立こども病院 脳神経外科)
  • 西山 健一(新潟大学脳研究所 脳神経外科)
  • 夫 律子(クリフム夫律子マタニティクリニック 臨床胎児医学研究所)
  • 師田 信人(国立成育医療研究センター 脳神経外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、①胎児診断における難治性脳形成障害症の診断基準の作成、及び②新規治療法開発に向けた病態解析研究を支援する臨床病態、画像情報、遺伝子情報、患者由来生体試料(組織・細胞・DNA)などのデーターバンクの構築である。
研究方法
患者の臨床データおよび画像データを収集した。症例登録、閲覧検討のための班会議独自のデータサーバーを立ち上げ、全ての登録は、webでおこなう。全国の症例登録協力病院から、臨床データおよび画像登録を行う。匿名化を行い閲覧・症例検討サイトにアップし、臨床データや画像データを検討する。必要に応じて、遺伝子解析、病理解析、CGHアレイなどを利用して、未知の遺伝子解析を行う。患者由来生体試料(神経組織、胎盤組織、臍帯、羊水、絨毛、臍帯血、皮膚組織、末梢血のバンク化を行う。また一部、患者細胞由来神経幹細胞、間葉系幹細胞iPS細胞の樹立をおこなう。2歳時の予後の調査を行う。診断に至る方法の有効性を検証し、診断基準を策定する。
結果と考察
本研究班が、症例が多く集まる病院の協力を得られた結果、症例登録協力施設18施設から約200例の症例登録があった。サーバーを利用した遠隔診断システムを用い、これまでに105例のレポートを作成している。神経放射線学的診断、分子遺伝子学的診断、病理学的診断方法を駆使し、確定診断がされた。患者生体試料は、15施設から合計255検体の試料の提供を受け、DNA試料115検体、培養細胞試料140検体を分離・樹立し、各々保管した。またこのような難治性疾患において、診断に至るプロセスそのものが、診断基準の基礎となる。
結論
胎児診断における難治性脳形成障害症の診断基準の作成を目的として開始した本研究班が採用したシステムは、画期的で、今後の希少疾患のコンサルテーションシステムの構築の参考になる。

公開日・更新日

公開日
2013-03-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-02-04
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201128091C

成果

専門的・学術的観点からの成果
データーバンクは、今後、難治性脳形成障害症の病態解析、予防法の確立、新規治療法開発の研究に大きく貢献するものである。
臨床的観点からの成果
症例が多く集まる病院の協力を得られた結果、症例登録は順調にすすんでいる。神経小児科医、小児脳神経外科医、産科医など一線の多忙を極める臨床家が登録しやすい体制を整えた。つまり、大型サーバーにオンラインで各症例のDICOMデータをアップし、遠隔診断および議論ができるようにした。小児神経放射線医、臨床遺伝子学、小児神経病理のエキスパートがその診断の議論にくわわり、意見や読影レポートを提出でき、またそれを全体が閲覧できるシステム自体は、このような希少疾患のコンサルテーションシステムとして高く評価できる。
ガイドライン等の開発
1年目は、胎児期水頭症診断と治療ガイドラインの改訂2版を発行した。2年目はその英訳本を出版した。さらに、今回のような正確な診断による予後評価を積み上げることによって従来のガイドラインをより正確なものに作り上げていくことができる。
その他行政的観点からの成果
西欧諸国では、重篤な脳形成障害があれば妊娠後期でも選択的妊娠中絶が施行されるという現状が先行し、われわれが参考にできるガイドラインもデーターベースも存在しない。臨床と基礎・臨床遺伝の研究者が、稀少疾患に対する克服対策について一堂に会して、班会議を形成するのは、貴重なことであり、この分野では国際的にも注目される成果が期待できる。
その他のインパクト
胎児期水頭症の出生前診断の在り方を巡って、実際の家族のドキュメントが、NHK大阪、京都の共同制作による「関西熱視線」(平成24年4月20日放送予定)に取り上げられる。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
9件
その他論文(和文)
13件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
21件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Yamasaki M, Nonaka M, Bamba Y, etal.
Diagnosis, Treatment, and Long-Term Outcomes of Fetal Hydrocephalus
Seminars in fetal & Neonatal Medicine  (2011)
原著論文2
Yamasaki M, Nonaka M, Suzumori N, etal.
Prenatal molecular diagnosis of a severe type of L1 syndrome (X-linked hydrocephalus).
J Neurosurg Pediatr , 8 (4) , 411-416  (2011)
原著論文3
Takenouchi T, Yamasaki M, Kosaki K, etal.
Hydrocephalus with Hirschsprung Disease: Severe End of X-linked Hydrocephalus Spectrum.
Am J Med Genet A  (2011)

公開日・更新日

公開日
2014-05-22
更新日
2015-05-21

収支報告書

文献番号
201128091Z