文献情報
文献番号
201128085A
報告書区分
総括
研究課題名
牟婁病の実態の把握と治療指針作成
課題番号
H22-難治・一般-125
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
小久保 康昌(三重大学 大学院医学系研究科生命医科学専攻 神経感覚医学講座神経病態内科学分野)
研究分担者(所属機関)
- 辻 省次(東京大学医学部付属病院 神経内科)
- 紀平為子(関西医療大学 保健医療学部)
- 長谷川成人((財)東京都医学総合研究所 認知症プロジェクト 病態細胞生物学研究室)
- 広川佳史(三重大学 医学系研究科腫瘍病理学)
- 岡本和士(愛知県立大学 看護学部)
- 富山弘幸(順天堂大学 脳神経内科・神経疾患病態治療探索講座)
- 村山繁雄(東京都健康長寿医療センター研究所 老年病理学研究チーム )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
牟婁病の実態の把握と治療指針の作成にむけた検討を行った。
研究方法
①牟婁病研究の現状 Review –過去から現在、そして将来- ② 古座・古座川・串本地域疫学調査 ③血清、毛髪の元素分析調査 ④穂原地区陰膳調査、大島地区食事聞き取り調査 ⑤遺伝子解析:1) 候補遺伝子解析 2) 全ゲノムシークエンス ⑥ Multiple proteinopathy解析 ⑦iPS細胞作製 ⑧臨床研究経過報告
結果と考察
結果:①臨床像の劇的な変遷という事象から疾患概念について考察した。②平均発症年齢の著明な高齢化を認めた。③住民、患者に共通して血清Caの低値、酸化的ストレス指標であるCu/Zn比高値を示した。地域住民、患者毛髪でMg高値を認めた。④髙アルミニウム摂取量を認めた。⑤SCA2のCAGリピート、p62/SQSTM1は正常で、全ゲノム解析では、全症例に共通する新規variantは認めなかった。古座川ALS症例において、C9ORF72遺伝子変異を認めた。⑥ 1) 皮質基底核変性症病理を伴う4R 優位症例の存在2) 3+4R型はGTが側頭葉部まで広がる。3<4R型は、GTが海馬に限局し側頭葉部では嗜銀顆粒と斑状のグリアの陽性所見。3) TDP-43は、Type A (FTD 型)とType B (ALS 型)がある。脊髄のtau、TDP-43ともに脳のタイピングに一致した。α-synuclein は、DLB型。⑦3例の患者線維芽細胞からiPS細胞を樹立した。⑧エダラボンによる臨床研究を施行中。
考察:有病率の減少、ALSの減少と認知症の増加といった臨床表現型の変化、男性優位から女性優位への性差の変化、発症年齢の高齢化といった特徴がある。環境因として数十年以上におよぶ飲料水や食事などの影響が考えられる。遺伝要因では、臨床像や病理、生化学的タイプ別に発症遺伝子を絞り込んでいく作業が必要である。病理、生化学的解析結果から牟婁病は、環境因を強く受けるALSタイプと遺伝素因の影響が大きいPDCタイプなど、いくつかの疾患単位に分類できる可能性がある。iPS細胞から神経細胞への分化誘導を達成するという大きな課題がある。エダラボンによる臨床研究が進行中である。
考察:有病率の減少、ALSの減少と認知症の増加といった臨床表現型の変化、男性優位から女性優位への性差の変化、発症年齢の高齢化といった特徴がある。環境因として数十年以上におよぶ飲料水や食事などの影響が考えられる。遺伝要因では、臨床像や病理、生化学的タイプ別に発症遺伝子を絞り込んでいく作業が必要である。病理、生化学的解析結果から牟婁病は、環境因を強く受けるALSタイプと遺伝素因の影響が大きいPDCタイプなど、いくつかの疾患単位に分類できる可能性がある。iPS細胞から神経細胞への分化誘導を達成するという大きな課題がある。エダラボンによる臨床研究が進行中である。
結論
環境因子、遺伝素因を含めた病態解明とともに、新規治療介入研究が望まれる。
公開日・更新日
公開日
2013-03-12
更新日
-