文献情報
文献番号
201128051A
報告書区分
総括
研究課題名
多施設共同研究:劇症1型糖尿病の診断マーカー同定と診断基準確立
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-難治・一般-090
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
花房 俊昭(大阪医科大学 医学部(内科学講座内科学(I)教室))
研究分担者(所属機関)
- 小林 哲郎(山梨大学大学院 医学工学総合研究部 第三内科)
- 池上 博司(近畿大学医学部 内分泌・代謝・糖尿病内科)
- 今川 彰久(大阪大学大学院医学系研究科 内分泌・代謝内科)
- 徳永 勝士(東京大学大学院医学系研究科 人類遺伝学)
- 西田 奈央(国立国際医療研究センター 国府台病院 肝炎・免疫研究センター)
- 安田 和基(国立国際医療研究センター研究所 代謝疾患研究部)
- 大澤 春彦(愛媛大学大学院医学系研究科 分子遺伝制御内科)
- 粟田 卓也(埼玉医科大学 内分泌・糖尿病内科)
- 川崎 英二(長崎大学病院 生活習慣病予防診療部)
- 島田 朗(慶應義塾大学 内科)
- 西村 保一郎(大阪医科大学 医学部 数学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
劇症1型糖尿病の特異的な診断マーカーを確立し、それを用いた診断基準を作成することを目的とした。
研究方法
劇症1型糖尿病患者群、健常対照群について、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施した。また、劇症1型糖尿病患者、健常者を対象とし、HLA-DR遺伝子を多数例で詳細に検討し、同時に連鎖不平衡にあるHLA-DQ遺伝子型を加え、遺伝子診断マーカーとしての感度、特異度を明らかにした。さらに、amylase alpha 2A および heat shock protein (HSP) 10、可溶性CTLA-4の血中濃度を新規対象患者において測定した。加えて、リンパ球診断マーカー候補であるCTLA-4の発現を多数例で測定した。また、CTLA-4遺伝子のCT60多型を検討し、診断の感度及び特異度が上昇する否かを検討した。
結果と考察
GWASによるReplication studyの結果、劇症1型糖尿病との関連が認められる複数の遺伝子領域を検出した。8つのSNPにおいて、TaqMan法によるタイピング結果の検証を実施し、複数の診断マーカー候補を明らかにした。HLA DRB1-DQB1ハプロタイプによる層別解析で、計66SNPが新規遺伝子領域として抽出された。
HLA-DR/HLA-DQ遺伝子型を検討した結果、劇症1型糖尿病においては、DRB1*04:05-DQB1*04:01のハプロタイプが最も高頻度に認められた。遺伝子マーカーDRB1*04:05-DQB1*04:01は感度50.2%、特異度74.2%、陽性的中率55.3%、陰性的中率70.1%であった。
劇症1型糖尿病における抗アミラーゼalpha2A抗体および抗HSP10抗体の陽性率は各々40%および20%であり感度が不十分であった。可溶性CTLA-4は、劇症1型糖尿病患者と健常対照者の間で有意差を認めなかった。末梢血CD4陽性ヘルパーT細胞におけるCTLA-4の発現は、感度90.9%、特異度73.3%、陽性的中率71.4%、陰性的中率91.7%であった。CTLA-4遺伝子のCT60多型を組み合わせても、診断の感度、特異度の向上は認められなかった。
HLA-DR/HLA-DQ遺伝子型を検討した結果、劇症1型糖尿病においては、DRB1*04:05-DQB1*04:01のハプロタイプが最も高頻度に認められた。遺伝子マーカーDRB1*04:05-DQB1*04:01は感度50.2%、特異度74.2%、陽性的中率55.3%、陰性的中率70.1%であった。
劇症1型糖尿病における抗アミラーゼalpha2A抗体および抗HSP10抗体の陽性率は各々40%および20%であり感度が不十分であった。可溶性CTLA-4は、劇症1型糖尿病患者と健常対照者の間で有意差を認めなかった。末梢血CD4陽性ヘルパーT細胞におけるCTLA-4の発現は、感度90.9%、特異度73.3%、陽性的中率71.4%、陰性的中率91.7%であった。CTLA-4遺伝子のCT60多型を組み合わせても、診断の感度、特異度の向上は認められなかった。
結論
現行診断基準に、「HLA DRB1*04:05-DQB1*0401との関連が明らかにされている」という項目を付け加えることが妥当と考えられた。
公開日・更新日
公開日
2013-03-12
更新日
-