文献情報
文献番号
201128039A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性好中球減少症の効果的診断方法の確立と治療ガイドライン
課題番号
H22-難治・一般-078
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
小林 正夫(広島大学 大学院医歯薬学総合研究科小児科学)
研究分担者(所属機関)
- 稲葉 俊哉(広島大学 原爆放射線医科学研究所ゲノム疾患治療研究部門)
- 小島 勢二(名古屋大学 大学院医学系研究科小児科学)
- 布井 博幸(宮崎大学 医学部生殖発達医学小児科学)
- 石井 榮一(愛媛大学 大学院医学系研究科小児科学)
- 中村 和洋(広島大学 大学院医歯薬学総合研究科小児科学)
- 小池 健一(信州大学 医学部小児医学講座)
- 渡邉 健一郎(京都大学 大学院医学系研究科小児科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本邦における先天性好中球減少症の症例数 (正確な臨床診断と責任遺伝子の解析, 原因遺伝子未知の疾患の遺伝子解析)から,効果的診断方法を確立することである。また,本疾患はG-CSF製剤の開発により長期生存が可能となってきたが,G-CSF製剤の長期投与は骨髄異形成症候群, 急性骨髄性白血病への進展が明らかとされている。本症の治療ではこの点を留意しながらの長期観察が必要であり,唯一の根治療法である造血幹細胞移植を含めた治療の選択を行うにあたり, 重症感染症の頻度, G-CSF製剤の有効性と副作用, 造血幹細胞移植を含めた治療ガイドライン作成を最終的な目的とする。
研究方法
本邦における先天性好中球減少症症例を集積し,臨床病態の解析と予後調査を行う。また責任遺伝子が同定されていない症例について,次世代シーケンサを用いた新規責任遺伝子同定を試みる。
結果と考察
先天性好中球減少症42症例と特発性好中球減少症が6症例であった。好中球減少を主とする骨髄不全と膵外分泌不全を主徴とするShwachman- Diamond 症候群(SDS)の全国調査からは20例が遺伝子診断され,臨床情報が把握された。35例中18例でG-CSFの連日投与を必要とし,10例は感染症合併時のみ投与されていた。G-CSFを使用されていない軽症例は7例であった。G-CSF連日投与例の8例(44%)において造血幹細胞移植を実施されていた。このうち3例はMDS合併例であった。一方,G-CSF連日投与以外の症例では,MDS合併例は認められなかった。また感染合併時のみG-CSFを必要とした10例のうち,3例(30%)で造血幹細胞移植を実施されていた。このうち2例はG-CSF反応不良例であった。
結論
先天性好中球減少症の本邦症例を集積し,臨床病態の検討を実施した。遺伝子診断を実施されていない症例が約半数あり,正確な診断のために,遺伝子診断を含めた効果的診断ガイドラインが必要である。またG-CSF連日投与例で骨髄異形成症候群への進展が認められ,G-CSF治療や造血幹細胞移植の適応を含めた治療ガイドラインを作成中である。
公開日・更新日
公開日
2013-03-10
更新日
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