新生児食物蛋白誘発胃腸炎(N-FPIES)の疾患概念確立、実態把握、診断治療指針作成に関する研究

文献情報

文献番号
201128027A
報告書区分
総括
研究課題名
新生児食物蛋白誘発胃腸炎(N-FPIES)の疾患概念確立、実態把握、診断治療指針作成に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-066
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
野村 伊知郎(国立成育医療研究センター 免疫アレルギー研究部および、生体防御系内科部アレルギー科)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 健治(成育医療研究センター 免疫アレルギー研究部)
  • 新井 勝大(国立成育医療研究センター 消化器科)
  • 伊藤 裕司(国立成育医療研究センター 新生児科)
  • 山田 佳之(群馬県立小児医療センター アレルギー感染免疫科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新生児食物蛋白誘発胃腸炎(N-FPIES)は1995年頃から急激に報告数が増加してきた。診断が難しいことも多く、重い合併症を残すことがある。本研究班で明らかにしたように、発症率は0.21%であり、年間2000名程度が発症していると考えられる。引き続き①疾患コホートにより臨床像を把握する。②医学情報公開により全国の医師に正確な知識を伝え、患者を救う。③リンパ球刺激試験を診断検査として確立する。④急性期の確定診断法を開発する。⑤消化管組織検査を行い、病態を明らかにする。⑥疾患概念を世界に発信、認知を得ることなどの計画を遂行した。
以下、この①から⑥の項目に従って記載する。
研究方法
①オンライン患者登録システムにより、全国の症例を集積し、臨床症状、検査所見、予後などを検討した。
②診断治療指針を改定、インターネットで一般公開して情報の普及につとめた。
③全国からリンパ球刺激試験の検体を受け付け、診断検査として寄与しつつ、原因サブセット推定を行った。
④末梢血、消化管組織、便から、好酸球の体内動態を明らかにする。
⑤消化管組織検査を行い、病理学的特徴を明らかにする。
⑥成果を国際的な一流誌に投稿し、国際会議で議論を重ねた。
結果と考察
①疾患コホート;既に報告した4つのサブグループごとに、診断治療指針を改定し、良好な使用結果を得ている。
②診断治療指針はウエブサイト上で多くの閲覧を得、主要検索エンジンの内科外科はじめすべての診断治療指針の1位にランクされている。
③リンパ球刺激試験のクラスターごとの特徴が明らかとなり、責任サブセットの特定に迫りつつある。欧州アレルギー学会においてbest poster awardを受賞した。
④好酸球の動態が明らかとなった。
⑤消化管組織検査を行い、その特徴が明らかとなった。
⑥2012年度世界アレルギー学会(WAC)ではシンポジストとして発表を行い、日本特有の疾患概念について欧文誌にreviewが掲載された。
結論
全国で最善の診断治療が実施されつつある。診断検査法の開発、病態の解明も進んでおり、今後もこれを継続し、より正確な診断治療が行える環境を整え、後遺症に苦しむ患者、保護者を減らしたいと願っている。

公開日・更新日

公開日
2013-03-10
更新日
-

文献情報

文献番号
201128027B
報告書区分
総合
研究課題名
新生児食物蛋白誘発胃腸炎(N-FPIES)の疾患概念確立、実態把握、診断治療指針作成に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-066
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
野村 伊知郎(国立成育医療研究センター 免疫アレルギー研究部および、生体防御系内科部アレルギー科)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 健治(成育医療研究センター 免疫アレルギー研究部)
  • 新井 勝大(国立成育医療研究センター 消化器科)
  • 伊藤 裕司(国立成育医療研究センター 新生児科)
  • 山田 佳之(群馬県立小児医療センター、アレルギー感染免疫科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新生児食物蛋白誘発胃腸炎(N-FPIES)は1995年頃から急激に報告数が増加してきた。診断が難しいことも多く、重い合併症を残すことがある。本研究班で明らかにしたように、発症率は0.21%であり、年間2000名程度が発症していると考えられる。診断検査法、病態などほとんど解明されていない。このため、①疾患コホートにより臨床像を把握する。②医学情報公開により全国の医師に正確な知識を伝え、患者を救う。③リンパ球刺激試験を診断検査として確立する。④急性期の確定診断法を開発する。⑤消化管組織検査を行い、病態を明らかにする。⑥疾患概念を世界に発信、認知を得ること;以上を計画した。
以下、この①から⑥の項目に従って記載する。
研究方法
①オンライン患者登録システムにより、全国の症例を集積し、臨床症状、検査所見、予後などを検討した。
②診断治療指針を改定、インターネットで一般公開して情報の普及につとめた。
③全国からリンパ球刺激試験の検体を受け付け、診断検査として寄与しつつ、原因サブセット推定を行った。
④末梢血、消化管組織、便から、好酸球の体内動態を明らかにする。
⑤消化管組織検査を行い、病理学的特徴を明らかにする。
⑥成果を国際的な一流誌に投稿し、国際会議で議論を重ねた。
結果と考察
①疾患コホート;症状、検査所見をもとにクラスター分析を行い、4つのサブグループが検出された。この分類は、診断治療のより安全な遂行を可能にした。内容は米国アレルギー学会誌2011年3月号に掲載された。
②診断治療指針の改訂を繰り返し、一般公開を続けている。
③リンパ球刺激試験のクラスターごとの特徴が明らかとなり、責任サブセットの特定に迫りつつある。米国アレルギー学会にて口頭発表され、高い評価を受け、欧州アレルギー学会においてbest poster awardを受賞した。
④好酸球の動態が明らかとなった。
⑤消化管組織検査を行い、その特徴が明らかとなった。
⑥2012年度世界アレルギー学会(WAC)ではシンポジストとして発表を行い、日本の疾患概念についてreviewも掲載された。
結論
全国で最善の診断治療が実施されつつある。診断検査法の開発、病態の解明も進んでおり、今後もこれを継続し、より正確な診断治療が行える環境を整え、後遺症に苦しむ患者、保護者を減らしたいと願っている。

公開日・更新日

公開日
2013-03-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201128027C

成果

専門的・学術的観点からの成果
2011年6月リンパ球刺激試験の確立により、欧州アレルギー学会best poster award受賞
2011年9月クラスター分類の確立により、日本小児栄養消化器肝臓病学会から、優秀演題賞受賞
2011年12月日本特有の疾患概念を世界アレルギー学会において、シンポジストとして発表
2013年2月リンパ球刺激試験の結果をJ Allergy Clin Immunolに掲載
2016年3月体重増加不良タイプの血清診断検査として、TSLP, IL33の有用性を報告、J Allergy Clin Immunol 2016
臨床的観点からの成果
作成された診断治療指針をもとに、治療が全国で行われている。
クラスター分類で患者の症状から4つに分類して診療を行うことにより、よりよい医療を実施できるようになった。
リンパ球刺激試験は、診断に寄与している。
好酸球の体内動態が判明し、正確な評価が可能となった。
ガイドライン等の開発
診断治療指針を半年ごとに改定し、インターネット上で公開している。http://www.nch.go.jp/imal/FPIES/icho/pdf/fpies.pdf
その他行政的観点からの成果
population-basedの発症率は0.21%であり、年間2000名程度が発症していることを明らかにした。そして、診断治療指針開発以前にはその10%に、重い合併症が起きていた。
その他のインパクト
2010年10月27日朝日新聞、朝刊一面トップで報道された

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
10件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
25件
学会発表(国際学会等)
12件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Nomura I, Morita H, Hosokawa S et al.
Four distinct subtypes of non-IgE-mediated gastrointestinal food allergies in neonates and infants, distinguished by their initial symptoms
J Allergy Clin Immunol , 127 (3) , 685-688  (2011)
原著論文2
Nomura I, Morita H, Ohya Y et al.
Non-IgE-Mediated Gastrointestinal Food Allergies: Distinct Differences in Clinical Phenotype Between Western Countries and Japan
Curr Allergy Asthma Rep  (2012)
原著論文3
Morita H, Nomura I, Orihara K et al
Antigen-specific T-cell responses in patients with non-IgE-mediated gastrointestinal food allergy are predominantly skewed to T(H)2.
J Allergy Clin Immunol  (2013)
原著論文4
Shoda T, Matsumoto K, Nomura I et al.
Sera of patients with infantile eosinophilic gastroenteritis showed a specific increase in both thymic stromal lymphopoietin and IL-33 levels
J Allergy Clin Immunol  (2016)

公開日・更新日

公開日
2014-05-22
更新日
2016-06-13

収支報告書

文献番号
201128027Z