移植細胞源を異にする非血縁造血細胞移植の組織適合性に基づく成績向上と移植選択アルゴリズムの確立に関する研究

文献情報

文献番号
201126032A
報告書区分
総括
研究課題名
移植細胞源を異にする非血縁造血細胞移植の組織適合性に基づく成績向上と移植選択アルゴリズムの確立に関する研究
課題番号
H23-免疫・一般-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
森島 泰雄(愛知県がんセンター研究所 疫学・予防部)
研究分担者(所属機関)
  • 村田 誠(名古屋大学医学部附属病院)
  • 小川 誠司(東京大学医学部附属病院)
  • 屋部 登志雄(東京都赤十字血液センター)
  • 鬼塚 真仁(東海大学 医学部)
  • 笹月 健彦(九州大学高等研究院)
  • 高見 昭良(金沢大学附属病院)
  • 森島 聡子(藤田保健衛生大学 医学部)
  • 熱田 由子(名古屋大学大学院)
  • 田中 淳司(北海道大学大学院)
  • 南谷 泰仁(東京大学医学部付属病院)
  • 一戸 辰夫(佐賀大学 医学部)
  • 神前 昌敏(大阪府赤十字血液センター)
  • 高梨 美乃子(東京都赤十字血液センター)
  • 宮村 耕一(名古屋第1赤十字病院)
  • 小寺 良尚(愛知医科大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
13,637,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本骨髄バンクからの非血縁者間骨髄移植は現在までに12000例以上、日本臍帯血ネットワークからの移植が7000例以上実施されているが、長期生存率はそれぞれ約60%と40%に留まり満足すべきものではない。成績を悪化させる主な原因は同種移植に伴う移植免疫反応である重症移植片対宿主病(GVHD)の発症、移植片の拒絶と移植後の造血器腫瘍の再発であり、これらの克服が同種造血幹細胞移植の成績を向上させるために必要である。本研究班は移植免疫反応にドナーと患者の組織適合性抗原の違い、とくにHLA抗原やHLA以外の遺伝子多型がいかに関与しているかを明らかにして 組織適合性に基づく適切な移植選択アルゴリズムを構築し、移植成績の向上に寄与することを目的とする。
研究方法
我が国の同種造血細胞移植のデータ・試料ベースをもとに精緻な免疫遺伝学的敵手法(HLAアリルタイピング、HLAハプロタイプ解析、GWAS解析、SNP多型解析、マイクロサテライト解析 In vitro解析)を用いる。疫学統計学的手法を用いて移植細胞源の異なる移植のリスク解析を実施する。
結果と考察
1.ドナー・移植細胞源選択に有用なHLAと非HLA遺伝子の同定:非血縁骨髄移植や血縁者間移植において解析され報告されている非HLA遺伝子の多型と自己免疫疾患等での関与が報告されている非HLA遺伝子多型合計72SNPsについてHLA-Aから-DPB1まで完全一致非血縁移植で白血病症例402ペアーを用いて解析し、生存と移植免疫反応に有意な遺伝子多型を同定中である。2.HLA不適合非血縁骨髄移植成績とHLA不適合さい帯血移植成績を成人白血病患者を対象に比較解析を行い、HLA遺伝子型1座不適合骨髄移植とさい帯血移植成績がほぼ同等との結果が得られた。3.さい帯血移植の検体を用いたデータ試料ベースの作成を開始した。4.国際組織適合性ワークショップにおける非血縁ドナーからのHLA適合非血縁移植約4000症例の最終解析により、日本人間非血縁ドナーからの移植は白人間の移植に比べて急性GVHDの頻度が低く、さらに白血病の再発が低いことが明らかになった。
結論
非血縁者間造血細胞移植症例とさい帯血移植症例の良く整備されたデータと試料を蓄積し、精緻な遺伝学的な手法を用いHLAと非HLA遺伝子を解析することにより、組織適合性にもとづく移植法選択のアルゴリズムを構築することが可能になってきた。

公開日・更新日

公開日
2012-06-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201126032Z