文献情報
文献番号
201125042A
報告書区分
総括
研究課題名
リツキシマブ併用悪性リンパ腫治療中のB型肝炎ウイルス再活性化への標準的対策法の確立及びリスク因子の解明に関する研究
課題番号
H23-肝炎・若手-008
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
楠本 茂(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科 腫瘍・免疫内科学)
研究分担者(所属機関)
- 上田 龍三(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科)
- 溝上 雅史(独立行政法人国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター)
- 小椋 美知則(名古屋第二赤十字病院 血液・腫瘍内科)
- 木下 朝博(愛知県がんセンター中央病院)
- 鈴木 律朗(名古屋大学医学部 造血細胞移植情報管理学)
- 鈴木 孝世(滋賀県立成人病センター 血液・腫瘍内科/化学療法部)
- 渡辺 隆(国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科・造血幹細胞移植科)
- 田中 靖人(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科 病態医科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
7,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
HBV-DNAモニタリングによる多施設共同前方視的研究では、HBs抗原陰性ハイリスク群悪性リンパ腫に対するリツキシマブ+ステロイド併用化学療法治療中のHBV再活性化の頻度を明らかにすることおよびHBV-DNAを早期に検出し抗ウイルス薬を投与する対策法(”preemptive therapy”)を確立するためのデータを集積する。
研究方法
<対象>
未治療CD20陽性B細胞性非ホジキンリンパ腫患者のうち、リツキシマブ+ステロイド併用全身化学療法(R-CHOP、R-CVP、R-THP-COP、R-C-MOPP 6-8コースのいずれか)を施行するHBs抗原陰性HBV再活性化ハイリスク群(HBc抗体陽性あるいはHBs抗体陽性、両者とも陽性を含む)
<方法>
悪性リンパ腫治療中および治療後、月1回の頻度でHBV-DNA定量検査(研究費負担)を行い、登録後1.5年間までプロスペクティブにモニタリングする(HBV-DNAモニタリング)。HBV再活性化(HBV-DNA陽性化)が認められた場合には、慢性B型肝炎として治療介入を行うことを強く推奨する。
主要評価項目はHBV再活性化割合、目標症例数321例
未治療CD20陽性B細胞性非ホジキンリンパ腫患者のうち、リツキシマブ+ステロイド併用全身化学療法(R-CHOP、R-CVP、R-THP-COP、R-C-MOPP 6-8コースのいずれか)を施行するHBs抗原陰性HBV再活性化ハイリスク群(HBc抗体陽性あるいはHBs抗体陽性、両者とも陽性を含む)
<方法>
悪性リンパ腫治療中および治療後、月1回の頻度でHBV-DNA定量検査(研究費負担)を行い、登録後1.5年間までプロスペクティブにモニタリングする(HBV-DNAモニタリング)。HBV再活性化(HBV-DNA陽性化)が認められた場合には、慢性B型肝炎として治療介入を行うことを強く推奨する。
主要評価項目はHBV再活性化割合、目標症例数321例
結果と考察
<結果>
全国68施設がIRB承認を得て参加し、平成20年8月11日から平成23年8月11日まで(3年間)に症例登録を完了し、最終症例登録数は275例となった。平成23年2月17日時点(約3年6か月経過)で、275例中21例のHBV再活性化例を認めているが、いずれも肝障害・肝炎の発症を認めていない時点でHBV-DNAの上昇を検出し、抗ウイルス薬によるpreemptive therapyが開始されている。
<考察>
本研究によりHBV-DNAモニタリングによる標準的対策法が確立できれば、肝炎・肝障害による入院、劇症肝炎による死亡、リンパ腫治療中止による再発・再燃を最小化することができるとともにウイルス耐性化や医療経済への負担を軽減できる。
さらに、HBV再活性化の問題は、リツキシマブ+ステロイド併用化学療法だけでなく、他の固形腫瘍に対する化学療法や長期の免疫抑制を要する自己免疫疾患および臓器移植の領域においても問題となっており、本研究における対策は“モデルケース”となることが期待できる。
全国68施設がIRB承認を得て参加し、平成20年8月11日から平成23年8月11日まで(3年間)に症例登録を完了し、最終症例登録数は275例となった。平成23年2月17日時点(約3年6か月経過)で、275例中21例のHBV再活性化例を認めているが、いずれも肝障害・肝炎の発症を認めていない時点でHBV-DNAの上昇を検出し、抗ウイルス薬によるpreemptive therapyが開始されている。
<考察>
本研究によりHBV-DNAモニタリングによる標準的対策法が確立できれば、肝炎・肝障害による入院、劇症肝炎による死亡、リンパ腫治療中止による再発・再燃を最小化することができるとともにウイルス耐性化や医療経済への負担を軽減できる。
さらに、HBV再活性化の問題は、リツキシマブ+ステロイド併用化学療法だけでなく、他の固形腫瘍に対する化学療法や長期の免疫抑制を要する自己免疫疾患および臓器移植の領域においても問題となっており、本研究における対策は“モデルケース”となることが期待できる。
結論
本臨床試験は比較的順調に進捗しており、これまでの結果では、HBV再活性化ハイリスク群であるリツキシマブ+ステロイド併用例に対し、本試験のHBV-DNAモニタリングによるpreemptive therapyで対策を講じることが可能であった。
公開日・更新日
公開日
2012-05-21
更新日
-