B型肝炎ウイルス感染の病態別における宿主因子等について、網羅的な遺伝子解析を用い、新規診断法及び治療法の開発を行う研究

文献情報

文献番号
201125038A
報告書区分
総括
研究課題名
B型肝炎ウイルス感染の病態別における宿主因子等について、網羅的な遺伝子解析を用い、新規診断法及び治療法の開発を行う研究
課題番号
H23-肝炎・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
徳永 勝士(国立大学法人 東京大学 大学院医学系研究科人類遺伝学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 溝上 雅史(国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター)
  • 五條堀 孝(国立遺伝学研究所生命情報 DDBJ研究センター)
  • 脇田 隆字(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 八橋  弘(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター)
  • 松本 晶博(信州大学 医学部付属病院 消化器内科)
  • 横須賀 收(千葉大学大学院 医学研究院 腫瘍内科学)
  • 持田 智(埼玉医科大学 消化器内科 肝臓内科)
  • 小池 和彦(東京大学 大学院医学系研究科 消化器内科)
  • 坂元 亨宇(慶應義塾大学 医学部 腫瘍病理学)
  • 武冨 紹信(北海道大学 大学院医学研究科 消化器外科学分野Ⅰ)
  • 松田 浩一(東京大学 医科学研究所 ヒトゲノム解析センター)
  • 西田 奈央(国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター)
  • 宮寺 浩子(東京大学 大学院医学系研究科 人類遺伝学)
  • 本多 政夫(金沢大学 医薬保健研究域保健学系)
  • 間野 修平(統計数理研究所 数理・推論研究系)
  • 鈴木 哲朗(浜松医科大学 医学部 感染症学講座)
  • 田中 靖人(名古屋市立大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
57,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HBV持続感染、HBV関連肝癌、HBV再活性化、HBV重症化・劇症化、薬剤への応答性に関連する宿主遺伝因子を網羅的に探索する。
研究方法
1. 臨床情報収集
日本全国のサンプルを収集し、詳細な臨床情報と共にデータベース化して管理するシステムを構築する。
2. ゲノム解析・機能解析
1) AXIOM Genome-Wide ASI Array (AXIOM ASI Array)を用いてタイピング技術を検証する。
2) 慢性肝炎・肝癌発症に関わる遺伝子群のネットワーク解析ならびに検証を試みる。
3) B型肝炎慢性化に感受性・抵抗性および中立性アリルの組換えHLA-DPタンパク質の発現系を構築する。
3. 統計解析・情報
本研究で構築されるデータベースの多型情報と臨床情報を利用し、バイオインフォマティクス、統計解析を実施する。
4. ウイルス因子
細胞・動物実験系の確立を目指す。
結果と考察
1:サンプル収集から解析までを効率的に行うシステムを構築した。
2-1:420人の健常者試料についてAXIOM ASI Arrayを用いたSNPタイピングを行い、プレート毎の遺伝子型決定で精度の高いデータを得られる事が確認された。
2-2:HCC-Cでは4つの遺伝子クラスターで発現上昇を認め(細胞増殖群、間質系細胞群、免疫応答群、腫瘍マーカー群)、主にリンパ球や間質で発現する遺伝子を多く含んでいた。一方HCC-Bの遺伝子発現はHCC-Cとは異なり、細胞増殖群が多く、免疫応答群が少ない傾向が認められた。
2-3:各HLA-DPアリルで組換えタンパク質の細胞表面発現を確認した。一部のアリルでは、タンパク質精製およびペプチド結合測定を実施した。
3:臨床データとSNPタイピングデータを用いて交互作用の解析手法を検討し、その有用性を評価した。
4:培養細胞系(Hep2.2.15細胞、HepAD38細胞、HepaRG細胞)・動物実験系(ヒト初代培養肝細胞を移植したuPA-NOGマウス)において条件検討を行い、各系を確立した。今後は患者ゲノム情報も組み合わせた解析を目指す。
結論
検体収集・臨床情報蓄積システムの構築と新規SNPタイピング技術の検証により、多施設によるサンプル収集からGWASまでを迅速に行うシステムが整った。また、遺伝子発現プロファイルを利用したネットワーク解析やHLA-DPタンパクの発現系構築により、病態に関連する遺伝子の発現解析や機能解析を行う準備も整いつつある。更にウイルス因子を同定する為の実験系の準備も進んでおり、これら全ての因子の関連を調べる統計解析法も検討した。

公開日・更新日

公開日
2012-06-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
201125038Z