肝移植後C型肝炎に対する治療法の標準化を目指した臨床的ならびに基礎的研究

文献情報

文献番号
201125035A
報告書区分
総括
研究課題名
肝移植後C型肝炎に対する治療法の標準化を目指した臨床的ならびに基礎的研究
課題番号
H23-肝炎・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
上本 伸二(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 千葉 勉(京都大学 医学研究科)
  • 下遠野 邦忠(千葉工業大学 附属総合研究所)
  • 森 正樹(大阪大学 医学系研究科)
  • 大段 秀樹(広島大学 医歯薬学総合研究科)
  • 太田 哲生(金沢大学大学院 医学系研究科)
  • 朝長 毅(独立行政法人 医薬基盤研究所)
  • 上田 佳秀(京都大学医学部附属病院)
  • 丸澤 宏之(京都大学 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
26,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝移植後C型肝炎症例の臨床像、治療成績を詳細に解析し、その予後、治療効果に関与するウイルス側、宿主側の因子を、それぞれ次世代ゲノムアナライザー、プロテオミクスを用いて解析することにより、移植後C型肝炎に対する、効果的で副作用の少ない治療法を確立し、標準化することを目的とした。
研究方法
1. 肝移植後C型肝炎についての臨床研究:肝移植後C型肝炎に対する抗ウイルス治療の効果の現状と効果予測因子の同定を行った。
2. 肝移植後B型肝炎についての臨床研究:HBc抗体陽性ドナーからの肝移植後B型肝炎ウイルス活性化の現状とHBs抗原陽性レシピエントに対する高力価HBs抗体含有免疫グロブリン製剤(HBIG)と核酸アナログ製剤の併用療法の効果について解析した。
3. 肝移植後C型肝炎ならびにB型肝炎についての基礎研究:次世代ゲノムアナライザー解析ならびにプロテオーム解析を行った。
結果と考察
肝移植後C型肝炎についての臨床研究の結果、これまでの肝移植後C型肝炎再発に対する治療成績は、ウイルス排除(SVR)率が33?54%であった。治療効果予測因子として、C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型、肝移植前HCV-RNA量、ドナー・レシピエントIL28B遺伝子多型が明らかとなった。
肝移植後B型肝炎についての臨床研究の結果、HBc抗体陽性ドナーからの肝移植後にはHBIGの投与を行ってもB型肝炎ウイルス活性化が25%に生じることが明らかとなった。一方、HBs抗原陽性レシピエントはHBIGと核酸アナログ製剤による予防策が有効であった。
肝移植後C型肝炎ならびにB型肝炎についての基礎研究については、次世代ゲノムアナライザーによる肝炎ウイルス解析、肝組織におけるプロテオーム解析、ならびにHCV複製を抑制する宿主因子の探索のための基礎研究の準備が整った。
結論
肝移植後C型肝炎治療ならびに肝移植後B型肝炎対策の現状を明らかにした。現時点での肝移植後肝炎ウイルス対策の効果は十分とは言えず、今後さらに有効で有害事象の少ない対策法の検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2012-06-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
201125035Z