自然免疫細胞リモデリングによるウイルス性肝炎の新規治療法の開発

文献情報

文献番号
201125025A
報告書区分
総括
研究課題名
自然免疫細胞リモデリングによるウイルス性肝炎の新規治療法の開発
課題番号
H22-肝炎・一般-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
大段 秀樹(広島大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 茶山 一彰(広島大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 田原 栄俊(広島大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 田中 純子(広島大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 立野 知世(向谷知世)(株式会社フェニックスバイオ)
  • 伊藤 敬(長崎大学 医歯薬学総合研究科)
  • 渕本 康史(慶應義塾大学 小児外科・移植外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
25,740,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
C型ウイルス(HCV)性肝硬変は肝移植の高頻度の適応疾患の一つであるが、肝炎の再発が高率に起こり、進行も急速である。本研究は、現在使用されている免疫抑制剤に抵抗性を示すNK/NKT細胞を、末梢血あるいは骨髄造血幹細胞やiPS細胞から誘導し、養子免疫療法に用いるHCVの根治療法の開発が目的である。
研究方法
ヒト骨髄由来CD34+細胞株を用いて、CD56+細胞への分化誘導を検討した。分化・誘導したCD56+細胞のHCVウイルス増幅抑制効果について、HCVレプリコン保持肝細胞株(Huh-7)を用いて評価した。ヒト線維芽細胞由来iPS細胞を使用し、CD34+CD45+細胞に分化させた後、NK細胞への分化・誘導を行った。増殖能力を保持したNK細胞を分化誘導できるヒトiPS細胞を樹立するため、予めテロメラーゼ遺伝子(hTERT)を導入した線維芽細胞を用いてiPS細胞の誘導を行い、複数のクローンを樹立した。キメラマウスへのヒト免疫細胞の生着をより促進させることを期待して、キメラマウス肝臓の類洞内皮細胞をヒト類洞内皮細胞で置換した。
結果と考察
骨髄CD34+造血幹細胞は、H3000 mediumに、Flt3、SCF、IL-3、IL-6を添加して7日培養後、Flt3、SCF、I L-15、IL-7を加えたX-VIVO mediumでさらに21日間培養すると、最も高いNK細胞増殖率が得られた。また、HCVレプリコンアッセイでは、CD34+幹細胞由来NK細胞の有意なHCV複製抑制効果が確認された。Ticを用いて、血液幹細胞への分化を評価した結果、円形の血液細胞様の形態を示す細胞集団の出現を確認できた。培養32日目には約60%がCD56+NK細胞に分化した。テロメラーゼ発現TIG-3細胞は、ES細胞マーカーであるNanogとともに、SSEA-4、Tra-1-60、Tra-1-81の発現を免疫蛍光法で確認した。ヒト肝細胞およびヒト類洞内皮細胞を同時移植した結果、hCD31陽性細胞は肝臓中にわずかに点在しているのみであった。
結論
成23年度の研究成果は、CD34+造血幹細胞由来増殖NK細胞のHCV複製抑制効果を、HCVレプリコン細胞を用い解析した。さらに、iPS細胞からのCD56+NK細胞のリモデリング法を確立し、今後、HCV複製抑制効果を確認する予定である。

公開日・更新日

公開日
2012-06-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
201125025Z