安全かつ効果的な抗HIV療法開発のための研究

文献情報

文献番号
201124029A
報告書区分
総括
研究課題名
安全かつ効果的な抗HIV療法開発のための研究
課題番号
H23-エイズ・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
潟永 博之((独)国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター)
研究分担者(所属機関)
  • 太田 康男(帝京大学医学部内科学講座)
  • 杉浦 亙((独)国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター感染・免疫部)
  • 吉村 和久(熊本大学エイズ学研究センター吉村プロジェクト研究室)
  • 川村 龍吉(山梨大学医学部附属病院皮膚科)
  • 児玉 栄一(東北大学病院内科・感染症科)
  • 横幕 能行((独)国立病院機構名古屋医療センターエイズ治療開発センター)
  • 本田 元人((独)国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター )
  • 塚田 訓久((独)国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
抗HIV療法は様々な新規薬剤の登場により複雑化している。感染者一人一人のHIVの薬剤感受性状況に基づいて抗HIV効果を予測し、生じ得る副作用・併用薬との相互作用などを考慮しながら、最適と思われる組み合わせを選び出すこととなる。複数存在する治療ガイドラインは、主に欧米で行われた臨床試験の結果に基づいており、小柄な日本人にそのまま当てはめられるものではない。本研究の目的は、安全で効果的な日本人のための抗HIV療法を開発し実践可能にすることである。
研究方法
日本人感染者における副作用の解析・毒性回避法の探索のために、テノホビルの腎毒性の解析、プロテアーゼ阻害薬の糖・脂質代謝・骨代謝への毒性メカニズムの解明、プロテアーゼ阻害薬およびアバカビルの心血管系への影響の評価、副作用回避のために新規薬剤に治療変更した症例の解析を行った。
感染個体内の進化に伴う薬剤感受性変化の解析、インテグラーゼ阻害薬などの新規薬剤に対する薬剤耐性の解析、マラビロクなどの侵入阻害薬に対する薬剤耐性の解析を行った。
結果と考察
テノホビルの腎毒性の解析については、低体重がリスク因子として重要であることを明らかにし、また、アバカビル投与群と比較し、有意にeGFRが低下することを報告した。プロテアーゼ阻害薬による糖代謝異常の分子機序については、インスリン受容体直下のIRS-1が主たる標的であることを示した。心血管系評価については、201人のHIV感染者に頚動脈エコーを行い、80人に血管壁肥厚等の所見を認めた。
in vitroの継代培養によるマラビロク耐性選択実験により、HIVのサブタイプによらず、CCR5低発現細胞への馴化の後、高度耐性変異の獲得が起こることを示した。
結論
頸動脈エコー検査により、予想外に多くの患者で血管壁肥厚などの異常所見を認めており、今後の更なる解析が急務である。

公開日・更新日

公開日
2014-05-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201124029Z