HIV・HCV重複感染血友病患者の長期療養に関する患者参加型研究

文献情報

文献番号
201124026A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV・HCV重複感染血友病患者の長期療養に関する患者参加型研究
課題番号
H22-エイズ・指定-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山下 俊一(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 白阪 琢磨(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
  • 宮崎 泰司(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 )
  • 中尾 一彦(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 )
  • 八橋 弘(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター)
  • 兼松 隆之(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 )
  • 秋田 定伯(長崎大学 病院)
  • 澄川 耕二(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 )
  • 大津留 晶(長崎大学 病院)
  • 田中 純子(広島大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 柿沼 章子(社会福祉法人はばたき福祉事業団)
  • 中根 秀之(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 )
  • 照屋 勝治(国立国際医療研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV・HCV重複感染血友病患者における長期療養課題を患者参加型研究で明らかにする。合併症、特に肝炎ウィルスHCV重複感染による肝不全や肝癌による予後不良例への対策を講じる。
研究方法
全国の対象患者に対して、患者実態調査アンケート調査を行い、ウィルス肝炎の新規臨床治験導入に向けての開発研究を文献調査する。『はばたき福祉事業団』を患者側窓口とし、短期入院患者に対する臨床データの収集管理と、聞き取り面談調査時に健康情報モニタリングを行い、24時間連続記録健康基礎データを収集解析する。
結果と考察
はばたき福祉事業団を調整窓口として、400通のアンケートを発送し、136名(回収率34%)より回答を受けた。また87名の個別面談調査を終了した。内容の詳細は現在検討中であり、10年前と比較しHIVに対する治療法が進歩・確立した現在でも体調が悪化している患者が多く、今後の不安を抱える者が42%を占めた。体調悪化の理由はAIDS関連は15%のみでそれ以外の理由が85%を占めた。その中でも肝疾患18%、薬の副作用15%、血友病関節症11%であった。GHQ-12による心の健康状態調査と、GHQ-28解析の結果から精神医学的問題の存在が明らかとなり、心身面からの適切なサポートの重要性が判明した。HCV単独感染者における肝線維症の評価に有用な検査項目が明らかとなり、本指標を用いた重複感染者の肝機能及び形態の再評価の必要性が示唆された。血友病長期生存例は、高齢化に伴う運動器障害合併症が日常生活で解決されるべき課題であった。精神機能障害がその生活背景からも大きいことが示唆された。その他、薬剤長期服用による副作用問題が解決すべき課題である。
結論
過去の実態調査と比較し、対象患者へのアンケート調査結果から最大の合併症であるHCV感染症による肝障害が長期療養課題として明確になった。個別の症例に対するセカンドオピニオン的な取組みの必要性と死因の半分以上が肝不全・肝癌である実態から、HIVだけでなくHCV感染に対する治療の成否が生命予後に影響する。HIV・HCV重複感染の重篤性・複雑性については、類似研究の調査解析に加えて、他の疾患との比較検証も進行中である。しかし、高齢化と慢性疾患進行に伴う訪問看護や緩和ケアなどの個別調査と積極的な受け入れ施設などの開拓は継続課題として残る。早急に長期療養対処法を提言し、同時に各種課題に対する診療ガイドライン作成や医療制度の活用、患者支援ネットワークの構築が必要である。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-01-17
更新日
-

収支報告書

文献番号
201124026Z