外国人のHIV予防対策とその介入効果に関する研究

文献情報

文献番号
201124024A
報告書区分
総括
研究課題名
外国人のHIV予防対策とその介入効果に関する研究
課題番号
H22-エイズ・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
仲尾 唯治(山梨学院大学 経営情報学部)
研究分担者(所属機関)
  • 沢田 貴志(神奈川県勤労者医療生活協同組合港町診療所 内科)
  • 樽井 正義(慶應義塾大学 文学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,948,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
外国人のHIV予防と早期受診を実現するための方策の検討
研究方法
① 外国人のHIV予防と早期受診を促進するプログラムの開発とその検討
② 外国人の出身国及び日本での医療アクセスの現状調査とその検討
③ 拠点病院等における円滑な外国人受療と診療の阻害要因についての検討
④ あるべき制度や施策の実現に向けての検討
結果と考察
①17ヶ月で26人の外国人からHIV抗体検査・CD4測定検査の相談を受けた。そのうち12人にHIV抗体検査を、9人にCD4新規測定を行った。通訳の守秘の徹底と受療相談体制の整った医療機関を確保し、固有の文化行事や自国語メディアへの掲載、自国語での相談電話の設置により早期受診を促す啓発をしたところ、開発途上国出身の外国人の受検を増加させることができた。
②一方、HIV陽性が分かっても、検査や治療に繋がらない外国人が多いことが指摘されている。今回の調査ではその多くが正規の在留資格を持ちながらも、不安定な立場のために健康保険の利用に困難がある点、言語上の問題のために医療へのアクセスに障害がある点、また特に女性の受検は遅れがちである点等が分かった。HIV陽性告知後の初回受診は、その後の療養環境整備に重要であり、通訳や守秘義務の徹底がその円滑な導入に効果があると示唆を得た。
③HIV陽性外国人自身や全国の医療機関等から、これまでに68件の相談があった。的確な療養支援を行うためには、単なる通訳の確保以外に守秘が確保できる環境で正確かつ詳細な情報を対象者から得ること、その得られた問題状況への解決に繋がる国内外の制度や資源についての把握が必要であり、そのためにも、医療相談員担当者等への情報提供の機会を充実させていくことが重要となる。
④ICAAP10でのサテライトシンポジウムを本研究班が主催し、各国の移住労働者のHIV予防、治療、ケアサポートについての情報共有を図った。移住労働者の受入れ国と送出国間での安定的で継続した情報の共有が治療に不可欠であり、受入国での治療確保の優先が望ましく、よりグローバルな視点からの政策が必要であることが確認された。
結論
モニタリングを続けている港町診療所では啓発による早期受診が一定程度実現しているが、農村部の新たな協力医療機関での成果のあがり方は鈍く、さらなる要因解明が必要である。そのためにも、方法③「拠点病院等における円滑な外国人受療と診療の阻害要因についての検討」の分析等を有機的に絡めて研究を進めていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201124024Z