HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究

文献情報

文献番号
201124005A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究
課題番号
H21-エイズ・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
白阪 琢磨(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 渡邊 大(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センター )
  • 岩谷 靖雅(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター)
  • 桑原 健(独立行政法人国立病院機構南京都病院 薬剤科)
  • 鯉渕 智彦(東京大学医科学研究所 先端医療研究センター)
  • 西田 恭治(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 統括診療部感染症内科)
  • 杉浦 亙(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター)
  • 佐保 美奈子 (井端 美奈子)(大阪府立大学 看護学部)
  • 廣常 秀人(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 精神科)
  • 仲倉 高広(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床心理室)
  • 中田 たか志(中田歯科クリニック)
  • 加藤 真吾(慶應義塾大学 医学部)
  • 桜井 健司(特定非営利活動法人HIVと人権・情報センター)
  • 藤原 良次(特定非営利活動法人りょうちゃんず)
  • 井上 洋士(放送大学 教養学部)
  • 山内 哲也(社会福祉法人武蔵野会八王子生活実習所)
  • 小西 加保留(関西学院大学 人間福祉学部)
  • 下司 有加(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 看護部)
  • 高田 清式(愛媛大学医学部附属病院 総合臨床研修センター)
  • 秋田 定伯(長崎大学病院 形成外科)
  • 秋葉 隆(東京女子医科大学 腎臓病総合医療センター)
  • 横幕 能行(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 感染症内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
82,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV感染症はHAARTにより医学的管理ができる慢性疾患となったが、治療の分野で克服すべき課題が山積している。本研究ではA. 治療・合併症B.ケアC.長期療養支援D.患者支援における課題の抽出と解決方法の提示を目的とし、最終的に対策と提言を行う。
研究方法
A
残存プロウイルス量測定系の開発
新規臨床指標としてケモカイントロピズム解析系の検討
拠点病院施設に実態調査
英文誌や学術集会の新知見を吟味しガイドラインを改訂
自覚的副作用と服薬のQOLへの影響等を調査し血友病と非血友病で比較
HIV、HBV重複感染者のHBV分子学的解析
小動物を用いたリポディストロフィーモデルの検討
日本透析医学会施設会員全施設にHIV感染者の受入れの実態、意識調査
名古屋医療センターと他施設間でネットを用いた診療連携システムモデル構築

B
看護研修の実施とアンケート調査
陽性者のメンタルヘルス調査、精神科診療施設へ実態調査、精神科医向け研修会の実施等
初診患者の神経心理学的障害の実態調査、心理学的問題事例の多職種による事例検討、チーム医療のアンケート分析と簡易な調査法の開発
アドバンスコース研修会の試行、セクシュアルヘルス調査の質問項目の抽出
毛髪を用いた薬剤濃度の測定系の開発
地方診療モデルとして愛媛県と四国のHIV診療の実態調査

C
社会福祉施設向けHIV陽性者受入れマニュアルの作成と研修プログラムの開発
退院援助用支援シート最終版と政策提言の要望書の作成
研修会の開催、全国訪問看護連絡協議会登録事業所の調査と全国拠点病院に自立困難なHIV陽性者の現状調査

D
H20年度以降実施の検査相談での要確認結果と陽性告知の検討
CMP基礎研修、ケースマネージャ-育成研修の実施、HPでの広報等
歯科診療受診ニーズの認知と受診実現の働きかけ、陽性者ニーズ調査、携帯での服薬支援ツールの改良と検査予約システム開発、HIV治療の薬剤情報提供HPの開発
結果と考察
残存プロウイルス量測定、トロピズムアッセイ、毛髪薬剤濃度測定系の開発にある程度成功。臨床的有用性を含めた検討は今後も必要と考えた。研究成果に基に、治療ガイドラインとチーム医療マニュアルの改訂、受入れ支援マニュアルや各種ハンドブックを作成できた。有用性が認められた研修には今後の検討が必要と考えた。その他多くの研究から重要な結果が得られた。
結論
HIV感染症の治療と関連分野(治療・合併症、ケア、長期療養支援、患者支援)で克服すべき課題を抽出し現状を分析、検討した。ほぼ計画通りに研究を実施できた。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

文献情報

文献番号
201124005B
報告書区分
総合
研究課題名
HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究
課題番号
H21-エイズ・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
白阪 琢磨(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 渡邊 大(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センター )
  • 岩谷 靖雅(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター)
  • 桑原 健(独立行政法人国立病院機構南京都病院 薬剤科)
  • 鯉渕 智彦(東京大学医科学研究所 先端医療研究センター)
  • 西田 恭治(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 統括診療部感染症内科)
  • 杉浦 亙(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター)
  • 佐保 美奈子 (井端 美奈子)(大阪府立大学 看護学部)
  • 廣常 秀人(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 精神科)
  • 仲倉 高広(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床心理室)
  • 中田 たか志(中田歯科クリニック)
  • 今井 光信(神奈川県衛生研究所)
  • 桜井 健司(特定非営利活動法人HIVと人権・情報センター)
  • 藤原 良次(特定非営利活動法人りょうちゃんず)
  • 井上 洋士(放送大学 教養学部)
  • 山内 哲也(社会福祉法人武蔵野会八王子生活実習所)
  • 小西 加保留(関西学院大学 人間福祉学部)
  • 下司 有加(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 看護部)
  • 加藤 真吾(慶應義塾大学 医学部)
  • 高田 清式(愛媛大学医学部付属病院 総合臨床研修センター)
  • 秋田 定伯(長崎大学 形成外科)
  • 秋葉 隆(東京女子医科大学 腎臓病総合医療センター)
  • 横幕 能行(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 感染症内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV感染症は抗HIV薬の多剤併用療法により医学的管理ができる慢性疾患になったが、なお課題が山積している。本研究では治療、ケア、長期療養支援、患者支援における課題を明らかにし解決方法を提示する事を目的とする。
研究方法
研究を4分野に大別。
治療
1.プロウイルス量測定の条件設定2.領域別プロウイルス定量系の検討3.全国拠点病院にアンケート調査4.抗HIV治療ガイドラインの改訂5.血友病患者のHIV治療での課題抽出6.ゲノタイプ解析

ケア
1.HIV専門、非専門看護師対象に調査2.抗HIV療法の心理と精神医学にかかる調査3.外来チーム医療マニュアルの改訂4.セクシュアルヘルス支援体制のモデル研修

長期療養支援
1.関係施設へアンケート2.ソーシャルワークにかかる調査3.訪問看護師向け研修会と調査

患者支援
1.HIV検査受検者からみた効果的な検査相談等の検討2.モデル研修の実施とプログラム検討3.HIV感染症診断の実施例の検討4.HIV陽性者ケア団体向けアンケート調査。研究協力として、携帯での服薬支援ツールの改良、検査予約システム開発等
結果と考察
治療
残存プロウイルス量測定にはCD4陽性T細胞に加え他細胞の測定が必要である事が明白になった。在庫金額調査からHIV感染症診療が病院経営に及ぼす影響は益々増加すると思われた。MSMに多く認められたゲノタイプA集団は遺伝子的に近縁関係であった為最近持ち込まれたと考えられた。

ケア
HIV看護では、他領域の看護にないストレスもあるが看護観、死生観などの深まりも経験していた。

長期療養支援
福祉施設について、特に社会福祉施設従事者がHIV/AIDSに関し自分たちの業務領域と捉えず受入れ不安が強い事が判明した。対策として啓発研修の強化や受入れマニュアルの整備等が課題とされる。訪問看護で障碍となっている知識不足に対する研修会の実施は効果的であった。課題も明確になり新たな課題克服に向けた取り組みが必要である。

患者支援
CMP基礎研修の参加者評価から1日プログラムへ変更とテキスト修正を行った。分担研究毎に現状を把握し課題を明らかにした。
結論
抗HIV治療ガイドラインや外来チーム医療マニュアルの改訂等計画に従い研究をほぼ予定通り実施できた。新しい臨床指標であるプロウイルス量測定系の開発の端緒に付いたし、エイズ看護での独自な教育カリキュラム構築の必要性や、社会福祉施設が積極的に受入れを行う為の職員教育や受入れマニュアルの整備等を社会福祉施設側が主体的福祉問題として捉える必要がある等の重要な成果も得られた。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201124005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
残存プロウイルス量測定、トロピズムアッセイ、毛髪薬剤濃度測定系の開発にある程度成功した。臨床的有用性を含めた検討は今後も必要と考えた。種々の測定の開発に取り組み、学術的意義も高く、国際的にも新規性が高い。
臨床的観点からの成果
治療のガイドラインの改訂、外来チームマニュアル改訂、施設の受け入れマニュアルなどを作成できた。有用性が認められた研修の実施など、いずれも重要であり社会的意義も大きいと考える。
ガイドライン等の開発
「抗HIV治療ガイドライン」平成21年度-平成23年度 毎年1回改訂
その他行政的観点からの成果
大阪におけるHIV/AIDSの現状を知らせ、大阪府や大阪府看護協会の取り組みを紹介し、講演を開催した。認定看護師プログラムの可能性について検討を重ねた。
その他のインパクト
HIV感染症はHAARTによって医学的管理ができる慢性疾患となったが、HIV感染症の治療で克服すべき課題は山積しているという現状はマスコミでも取り上げられた。

発表件数

原著論文(和文)
22件
原著論文(英文等)
12件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
43件
学会発表(国際学会等)
18件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
「抗HIV治療ガイドライン」平成21年度-平成23年度 毎年1回改訂
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
2016-10-03

収支報告書

文献番号
201124005Z